2012年7月3日火曜日

金持ち減税3段跳び

貧乏人ほど負担が重くなる(逆累進)最悪の消費税が増税されようとしている。
一方で金持ちは3段跳びで減税されてきた。

1(ホップ) 最高税率の引き下げ

 現在所得税の最高税率は40%だ。
1983年まで75%だったものが下図のように段階的に下がってきた。


住民税をあわせると、93%という時代があった!
以下住民税は考えずに所得税のみで考察。

最高税率75%といったとき1億円の所得なら7500万円が税金と思ってしまう。
これはまちがいで、超過累進税率といって、1983年までなら8000万円を超えた部分、つまり2000万円に75%かかるという意味だ。
ちなみに1億円の所得にかかる所得税は6076万円で実質税率は60.8%になる。

1億円の所得を今の税率で計算すると、所得税は3720万円で実質税率は37.2%だ。
2356万円の減税になっている。

500万円の所得であれば、所得税は1983年では87万円(17.4%)、今では57万円(11.5%)で30万円の減税。

カルロス・ゴーンの所得が9億8700万と報道されたが、単純に9億円で計算すると、1983年であれば6億6076万(73.4%)、今では3億5720万(39.7%)の所得税だ。
ざっと3億円の減税になる。

*すべて自作のエクセルワークブックで計算したもの。所得控除分など細かいことは考慮に入れていない。

2(ステップ) 分離課税

所得の種類はいろいろあるが、それらをまとめて課税するのが総合課税、種類によって分けて課税するのが分離課税だ。

金持ちの所得の特徴は証券にあり、株式の配当益、譲渡益が多くを占める。
下のグラフを見ると(赤)、所得が1億円を超えるとこの証券による所得の割合がいっきに増えている。

配当金でいえば、2003年3月までは1銘柄10万円まで分離課税だったのが、それ以後上限が撤廃され、すべて分離課税(20%)になった。

鳩山兄弟の母は毎年3億円程度の配当を得ているらしい。
今の総合課税(最高税率40%)であれば1億1720万の所得税だが、分離課税だから6000万だ。
1983年の累進課税(最高税率75%)を当てはめれば2億1076万の所得税になる。

3(ジャンプ) 証券優遇税制

2003年に株式の配当や譲渡に関わる所得が上限なしで分離課税になったとき、経済を活発にするためとかで期間限定の優遇策がとられた。
本則20%の税率を10%にしたのだ。
この優遇策は何度も延長され、民主党政権でも延長された。

貯金の利子にも20%の税金をかけるくせに、配当金・譲渡益には10%だ。
先ほどの3億円の配当なら税金は3000万。
1983年の累進課税・総合課税→現在の累進課税・総合課税(としたら)→現在の分離課税・本則(としたら)→現在の優遇税制 で所得税を並べてみると、

2億1076万→1億1720万→6000万→3000万

*大口株主(発行済株式の総数等の5%以上を有する)は軽減されないから鳩山のママは20%税率かもしれない。

このようにして金持ちは優遇され、年間所得1億円を超えるような大金持ちは下のグラフ(青)のように実質の税率が下がってくる。

*このグラフは横軸が圧縮されているので、実際にはずっとゆるやかなカーブになる。


今年2/10の衆院予算委員会で共産党の志位委員長の質問に野田首相は証券優遇税制は延長しないと明言し、2014年1月から本則の20%にもどる見込みだ。

*以上の考察(といえるほどのものではないが)はひじょうに荒っぽいもので、実際にはさまざまな条件や区分、例外などがあり、私などにはとても正確なことがわからない。とんでもない大きなまちがいがあるかもしれない。しかし大まかにいって金持ち優遇ということではまちがいないのでは。



ヒメジョオン 2012.6.29撮影
◆野草の花が少ないこの時期、もっとも目立つ花。そこら中咲きまくり、10月ぐらいまで咲き続ける。5月頃からもう咲き始めているので、本当に花期が長いのだ。

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