安倍首相が参院選の結果を待たずして憲法を変えようと前のめりの姿勢を打ち出したため、今日は例年以上に各地でさまざまな動きがあることだろう。
昨夕、1週間遅れの赤旗日曜版を見ていたら、1面に「改憲論者も怒った 96条改定は憲法破壊!」という見出しで小林節という憲法学者が意見を述べていた。
これがとてもおもしろいので、最後に引用する。
この赤旗日曜版の記事を読み終えた直後、NHKの7時のニュースが始まり、憲法に関する世論調査の結果を紹介しはじめた。
6年前と比較して、「憲法改正」について「必要ある」は変わらないが、「必要ない」がずいぶん減っている。
憲法9条については「改正必要」が増え、「必要ない」が減っている。
北朝鮮や中国の動向が大きいし、自衛隊が東日本大震災で活躍したということもあるのだろう。
注目したのが、自民党を筆頭とする改憲派が参院選での公約にもあげようとしている憲法96条改定に関する項目だ。
賛成と反対が拮抗しているが、賛成がやや上回っている。
この結果は他のメディアと比べてどうなのだろうか。
たとえば、産経では賛成が42.1%、反対が44.7%であり、あの産経でも反対がわずかに上回っている。
共同通信では賛成が42.7%、反対が46.3%で、こちらははっきりと反対が多い。
NHKの調査では賛成と反対を合わせても50%しかいない。
産経や共同通信では85%を超えているのに比べて異常に少ないのはどうしてだろう。
この結果を紹介したあと、有識者へのインタビューということで、改憲派と護憲派から1名ずつ登場した。
おもしろいことに、改憲派を代表しては小林節だ。
先ほど赤旗日曜版で彼の意見をおもしろく読んだばかりなのだ。
小林節は改憲派だが、96条改定については猛反対している。
残念ながらそこのところには触れていなかった。
NHKは知ってか知らずか、96条については2人とも改定反対の学者を登場させたわけだ。
ところで、今朝になって今日の赤旗を開くと、朝日の世論調査の結果が載っていた。
朝日デジタルWEBから 無断転載お許しを |
それにしても朝日は賛成と反対を合わせると92%であり、NHKの結果(50%)の異常さがより際立ってくる。
さらにはあの産経よりも右よりなNHKの結果を見るにつけ、いよいよNHKの政府広報機関としてのはたらきを強く感じさせる。
〈以下引用〉
赤旗日曜版2013.4.28
改憲論者も怒った 姑息な思惑に広がる反発
96条改定は憲法破壊 !!
憲法改正の国会の発議を、各議員の「3分の2」以上の賛成から「過半数」にしようという96条改正は、憲法を一般の法律のようにしてしまう。
憲法は権力者たちを縛るものです。変えるには、法律よりも厳格な手続きが必要だからこそ、憲法なんです。その時々の政治の多数派によってクルクル変えさせてはいけない。一般の法律以上に改正ハードルが高いのは当たり前なのです。
権力者たちが、憲法の拘束へのいらだちから、憲法を憲法でなくし、法律のように変えようというのは、ぼくの言葉でいえば「邪道」です。大学で言うと「裏口入学」。憲法改正のルール以前の悪事ですよ。「憲法改正」ではなくて「憲法破壊」。論外です。
憲法を基本に国を統治していくという立憲主義の否定だと、ぼくは驚き、怒っているのです。
世界は「3分の2」が普通です
日本の憲法だけが「改憲のハードルが異常にきびしい」などというのも間違いです。
赤旗2013.4.21付 |
諸外国で改憲要件を変えるための憲法改正が行われたという例は聞いたことがありません。
先日、日本商工会議所で憲法問題に関する研究会があって、私も学識委員として出席しました。司会が「96条問題は単なる手続きの問題なので…ハイ次」といったので、ぼくは「ちょっと待ってください」と論争を始めました。話をすると、半分くらいの方は、“ああ、これはさわるべきじゃないな”と理解してくれたように感じました。
権力者を縛る唯一の仕組み
憲法というのは、日本の法体系の中で唯一、国民が権力者を縛ることができる仕組みです。権力者が判断を誤って暴走することがないよう、国民がブレーキをかけるためのものです。だから96条で天皇や閣僚、国会議員、公務員に憲法尊重擁護義務を課しているのです。
これが立憲主義ということです。ここの理解がないから、改憲ハードルだけ下げよという考えが出てくる。憲法が何なのか分かっていない人たちが、憲法の拘束を逃れたくて、憲法との位置関係を破壊しようとしているのです。破壊的改憲論はアウトですよ。
自民改憲案のアナクロニズム
自民党が憲法を変えたいというなら、正々堂々と国会の「3分の2」の多数で改憲をめざすべきです。それをしないで、まずは改憲要件の緩和からやろうというのは、自分たちの改憲案が国民を説得できないからです。
ぼくは日本の改憲派の改憲案にも大きな問題があると思っています。
かつて第1次安倍内閣のときの自民党改憲案には「愛国の責務」が盛り込まれていました。ぼくが「国を愛してほしかったら、良い政治をすればいいだけの話だ。そうすればこの国に暮らして良かったと思う。それが愛国心だ」といったら、自民党の幹部が「発言を控えてくれ」などと電話してきました。
今回の自民党改憲案には、「愛国心」はなくなったが、「家族は互いに助け合え」とか、道徳に触れたりしている。やたら、「上から目線」で本当に大きなお世話です。一般国民までふくめて、憲法尊重擁護義務を負わしている。まるで明治憲法にもどるかのようなアナクロニズム(時代錯誤)です。
共産党宣伝カーに感激した訳
先日、東京・町田市で日本共産党の宣伝カーに出会うと、「憲法を守らせるぞ」と書いてあった。ぼくはすごく感激しました。その通りで、憲法は国民が「守る」ものではなく、権力者に「守らせる」ものなのです。共産党にも、ここはがんばってほしい。
この話は国民大衆が選挙でけりをつけなくてはいけない。真の護憲派に投票しなくてはいけない。
安倍首相の支持率は高いが、96条問題が命取りになる可能性もある。私と同じことをいう人が増えてきました。これから常識の大反撃を受け、ボディーブローのように効いてくると思います。
ぼくはあるインタビューで96条改憲に「体を張って」反対といいました。いろいろな政治問題ではっきりした発言をすると、無言電話や警察から警備の打診とかが来ます。しかし、学者として、真実を発言するのに、社会的リスクや身辺の危険で屈してはいけないという思いなのです。
◆ ムラサキケマン(ケシ科キケマン属) ◆
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