お恥ずかしい。
昨年、三浦しおんの「舟を編む」が本屋大賞を受賞した。
本屋大賞とは「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本」と本屋大賞のホームページにある。
今まであまり気にしなかったのだが、どういうわけか気になって、去年の5月頃図書館に予約を入れておいた。
予約を入れた時点で300人を超える人が予約待ちをしていた。
これじゃあ4・5年先になるなと忘れかけていた頃、今年の4月、映画の方が封切りになった。
原作を読む前に映画を見るというのも気が進ます、けっきょく映画は見ないだろうと思っていたところ、思いがけず10日ぐらい前に本が確保できましたと図書館からメールが来た。
そこで待ってましたと読んだのだが、期待してた以上におもしろかった。
辞書作成の現場という想像もしたことがない知らない世界の奥深さ。
それに携わる人間の情熱というか執念のすさまじさ。
人間のなしえる仕事のすばらしさ。
…
これが実話にもとづいているというからまた感動してしまう。
それで、映画も観てみようということになった。
宮崎あおいも出ていることだし(ファンです)。
今週の金曜日が最終日で、上映もすでに昼の1回だけ。
そのせいか観客も20人ぐらいしかいなく、ゆったりと鑑賞できた。
最初の方で、松本先生が「ら抜き言葉」を誤った日本語と決めつけているシーンがあって、いきなりむかつく。
原作にはこんなのなかったはずだ。
はずだ、というのは、本は待っている人が多いだろうと思い、さっさと図書館に返してしまって確認ができないのだ。
「ら抜き言葉」については稿をあらためて書くつもり。
原作を読んだばかりなので、つい比較しながら観てしまう。
小さなところでちがいはたくさんあった。
あってかまわないし、当然ともいえる。
映画では恋文を毛筆で書いていた。
原作とはちがうがかまわない。
西岡がその恋文を机上に放ったままにしているのを、佐々木が丁寧にたたんで封筒にもどす。
全編を通してこのシーンだけ込み上げるものがあり涙がにじんだ。
このシーンも原作にはないのだが、とてもグッド。
原作ではカグヤが恋文の真意に気づいた後の行動に驚かされ、こんなんあり?と腹が立ったり嫉妬したりした。
映画ではどんな表現になるのかとドキドキしながら観ていたら、まるっきりちがう展開で、ホッとするやら拍子抜けするやら残念やらで複雑な心境。
原作の後半では、マジメのイメージが「ALWAYS三丁目の夕日」の吉岡秀隆に重なっていたのだが、映画では全然ちがっていた。
映画化に当たっては時間の制約でしょうがないと思うが、だいたいにおいて映画は原作を超えることはできないのではないか。
この映画も悪くはないし、むしろ邦画としてはかなりいいと思うのだが、やはり原作の方がすばらしい。
原作では辞書が完成したときには私も泣いた。
◆ ムラサキツユクサ(ツユクサ科ムラサキツユクサ属) ◆
ムラサキツユクサ 2013.4.19撮影 |
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