安倍首相が出てきて、憲法を変えるのに国会議員の3分の1を超えて1人でも反対したら発議もできないというのは常識的にはおかしいなどと言っていた。
おかしいのはあんただろうと思いつつ、次の画面に出てきた右下のテロップを見て本当に驚いた。
「自民党は96条を改正した後第9条を改
正しようとしている」といった文だったからだ。
NHKのニュースを録画なんてしないから、発言にしてもテロップにしてもそのままではないことはお断りしておく(覚えていられない)。
それにしても録画しておいたらこの歴史的なテロップを画像で本ブログに貼り付けられたのにな。
自民党が9条を改正するために、もっといえば去年4月に作った自民党の憲法草案を今の憲法とごっそり置き換えるためにまず第96条からという本音を、自民党自身そのことを特に隠そうとはしていないのだが、かといってあまりおおっぴらにもしたくないというそのことをNHKがずばりテロップで流したのだ。
驚いたのは私だけではないと思う。
自民党も驚いただろう。
NHK幹部は腰を抜かしたかもしれない。
次に今日衆議院で行われた憲法審査会のもようが流れた。
自民党から始まって共産党まで、参加している7党すべて同じぐらいの時間を配分した映像だった。
さらには、参加していない社民党やみどりの風のコメントまで流した。
ここまででもNHKニュースにしては上出来であって、私もこれで終わるかなと思っていたら、続きがあった。
これは9時のニュースの映像 |
どの国も日本と比べてハードルが低いわけではない。
知っている人は常識なのだが、あまり関心がなかった人は、これを見て、なんだ、3分の1というのは国際標準ではないかと思ったことだろう。
つまり、ニュース冒頭での安倍の常識感覚は非常識である、憲法96条の3分の1要件は不当に高いハードルではない、よって憲法96条は変える必要がないということをNHKが証明してくれたのだ。
とても喜ばしいことだ。
NHKは毎月世論調査をして発表しているが、NHKニュースに対しての支持率世論調査はやっていないのだろうか。
やるんであれば、「女子アナは必ずへその前で掌を重ねるという姿勢は気に入りましたか」という項目を入れてほしい。
5月の数値はきっと高くなるだろう。
もう少し付け加えると、他国では高いハードルにもかかわらず憲法改正を行っている。
映画「リンカーン」を観た人はわかると思うが、リンカーンは奴隷解放のための憲法改正をあらゆる権謀術数(これがいいかどうかは別として)をもちいて行った。
国民の本当の幸せのための改正であれば、どんなにハードルが高くても政治家の情熱で飛び越えることができるんだ。
いつもは見ない9時のニュースを録画して今日見てみた。
女子アナが久保田さんに変わっていてうれしかった(応援しているよ)。
改憲論者で知られる慶応大学の小林節教授がインタビューで出ていた。
体をはって憲法96条改定は阻止するといっていて頼もしかった小林節だが、赤旗でしゃべっていたほど迫力がなく、ちょっと失望。
決して目が笑わない石破茂も出ていて、自民党の自主憲法草案を力を込めて宣伝していた。
自民党の憲法草案なんて、本当に古色蒼然という表現がぴったり。
明治時代からちっとも進化していないんだなとあきれ果てる。
自民党自身が恥ずかしくて中身をあまり宣伝していないのではないか。
また、石破は96条改正の是非を問う国民投票が行われる場合、国民は9条改正を念頭に置いて投票していただきたい(テレビ番組での発言)などと自分で言っておきながら、このインタビューでは、決して憲法9条改正とは関係ないんだと言っている。
ひょっとして7時のニュースを見ていて、あわてて火消しをしているのかも知れない。
みっともない。
今後のNHKニュースに期待したいと思ったが、今日のニュースはアベノミクス賛美で、期待した自分が馬鹿だった。
◆ シロツメクサ(マメ科シャジクソウ属) ◆
シロツメクサ 2013.4.16撮影 |
赤旗2013.5.10付 衆院憲法審 笠井亮議員が意見表明
96条改定 根本精神を否定
日本共産党の笠井亮議員が9日の衆院憲法審査会で行った憲法96条についての意見表明は以下のとおりです。
近代の立憲主義は、主権者である国民が、その人権を保障するために、憲法によって国家権力を縛るという考え方に立っています。
多数決以上のきびしい要件
そのために憲法改定の要件も、ときの権力者に都合のいいように、憲法をころころと改変することが難しくされています。日本国憲法も、改憲の発議にあたって各議院の総議員の3分の2以上という通常の多数決以上の厳格な要件を課し、国会の単純な多数派でなく、圧倒的な賛成が得られて初めて、国民に承認を問えることにしているのです。
憲法改定の第一歩として、96条を改定し、改憲の発議要件を「各議院の総議員の過半数」に引き下げようとする動きがありますが、これは単なる「手続き論」や「形式論」ではありません。
ときの権力者が自由勝手にやれるように一般法律並みにハードルを下げるというのは、憲法の根本精神を否定するものです。憲法が憲法でなくなるという「禁じ手」であり、断じて許されません。まして、安倍首相のように、ときの政権が、これを求めるなど、本末転倒だといわなければなりません。
自民党の狙い憲法9条改悪
なぜいま、96条改定か。自民党の石破茂幹事長も、96条改正の是非を問う国民投票が行われる場合、「国民は(9条改正を)念頭に置いて投票していただきたい」と明言しているように、その狙いが9条改憲にあることは明白であります。
それに向けてハードルを低くする、あるいは、国民に改憲の体験を積ませることで改憲に「慣れ」させる。このような姑息(こそく)なやり方は、国民をあざむくものと言わなければなりません。
日本国憲法は、「世界でも特別に変えづらい」「諸外国と比較して厳しすぎる」という主張がありますが、事実に反します。それぞれの国の歴史を反映してさまざまですが、多くの国で共通しているのは、一般の法律の制定・改正よりも厳しい規定が設けられているということです。国民主権と立憲主義の要請によるもので、日本だけが特別に憲法改定が難しい国などということは、まったくありません。改正要件の引き下げのみを先行させて改憲をおこなった国も、一つもありません。
「国会が過半数で発議したとしても、国民投票の規定がある」という主張もありますが、国民投票で判定できるのは、国会が発議した改憲案に賛成か反対かだけであって、国民が憲法改定案の内容を変えられるわけではありません。だからこそ、国会の発議というのは、十二分にも熟議の結果、ときの政権党だけではなく、野党も含めて、国会の圧倒的多数が合意しておこなう必要があるのです。
「諸外国では改憲が頻繁に行われており、1度も改憲していない日本国憲法は時代に合わなくなっている」などという主張がありますが、日本国憲法は、世界に先駆けて戦争放棄とともに戦力の不保持・交戦権の否認まで定めた9条をはじめ、基本的人権でも世界に誇れる先駆的な内容をもっています。
188カ国の憲法を分析した米国の法学者らが昨年、日本国憲法は世界で主流となった人権の上位19項目までを全て満たしており、65年も前に画期的な人権を先取りしたと高く評価しています。
こうした先駆的で豊かな内容をもっている日本国憲法だからこそ、国民は改憲してこなかったのであって、ハードルが高いからではありません。
問われるのは全条項の実施
今日、憲法問題で問われていることは、改憲ではなく、9条をはじめとする憲法の平和的、民主的条項の完全実施をはかるとともに、憲法の全条項を守り抜き、どう生かすかです。
日本共産党は96条改定には断固反対です。憲法96条改定を9条改定の突破口として押し出す動きは、いま、9条改定の是非をこえて多くの人々からの批判を広げています。
日本弁護士連合会は「憲法96条の発議要件緩和に反対する意見書」を出し、9条改憲派で有名な小林節慶応大学教授も「本来、権力者を制限する、権力者を不自由にするのが憲法ですから、こんなことが許されたら憲法はいらないということになる。良心的な法律家、憲法学者はみな反対するでしょう」と発言しています。
わが党は96条改定反対の一点で、国民的共同を広げ、改定を許さないため、力をあわせるものです。
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