赤旗2013.5.25付 |
NHKニュースで菅官房長官が「断じて許せない」といっているのを見て、日本政府としてはそのように抗議するのはあたりまえだし理解もできた。
しかし、今日(5/25)の赤旗の右のような囲み記事を見て、どうなんだろうかと違和感を持った。
日本が終戦(敗戦)記念日とする8/15を韓国は「光復節」として祝う。
36年におよぶ過酷な日本による植民地支配からようやく脱した日だから、韓国が祝うのは当たり前だし、日本人もそれは理解できるのではないか。
それでは「原爆投下は神の懲罰」は理解できないのだろうか。
非難をおそれずに言うならば、私はそのような考えは容認はしないが、理解はできると言わざるをえない。
それほど日本は韓国・朝鮮にひどいことをしたのではないか。
そしてそれはいまだに精算されていないではないか。
この投稿をするに当たって、問題の記事の全文を読みたかったのだが、残念ながら探し当てることができなかった。
概要は次のようなmsn産経ニュース(5/23)の記事でわかった。
さらに、大規模空襲や原爆投下を神による「過酷な刑罰」としたうえで、第二次大戦末期のドイツ・ドレスデンへの空襲を「ユダヤ人の復讐だ」、広島、長崎への原爆投下については「日本軍国主義へのアジア人の復讐だった」と主張。非戦闘員への無警告、無差別の大規模殺傷という事実も「国家を改造して歴史を変えた」と支持している。
記事は、「日本に対する火雷(爆撃)が足りないと判断するのも、神の自由だ」と、日本への軍事攻撃を肯定する主張で締めくくられている。
さらには、松井と長島に国民栄誉賞をあたえて、露骨な政治利用をするとともに、5/5には東京ドームで96番のユニフォームを着て自らの野望のために松井や長島をさらに利用するという醜いパフォーマンスまで行った。
安倍の村山談話見直し発言もふくめてのいっかんした侵略戦争無反省、偏狭なナショナリズム煽動の言動のもとで、高市自民党政調会長や橋下徹市長の問題発言(慰安婦は必要だった)なども起こった。
普段においても韓国の反日感情は一般的に広く存在するのに、このように日本の総理大臣を筆頭に挑発的なパフォーマンスや言動をくり返し見せられれば、「原爆投下は神の懲罰」記事ぐらいのことは起こってもまったく不思議ではないと思う。
しかもそのような発信が韓国大統領とかの政府高官からあったわけではなく、一新聞社の一論説委員の記事だ。
日本中がよってたかって韓国を非難するようなことだろうか。
それでも日本政府や広島市長などが立場上激しく抗議することは理解できる。
理解に苦しむのは、どうして敬愛する志位委員長までが「許しがたい」などとツイッターで発信し、それをまた赤旗に転載するようなことをするのかということだ。
共産党は東アジアの平和と発展のためには日本が侵略戦争、植民地支配の歴史をきちんと総括することからはじめなければいけないと大昔から主張している。
尖閣諸島や竹島の領土問題でも、両方とも明白に日本固有の領土ではあるが、その解決には日本が侵略戦争と植民地支配の歴史問題にきちんと向き合うことが前提だと正論を主張している。
その共産党の委員長が、韓国の一新聞社の一論説委員の記事をとらえて「許しがたい。排外主義的ナショナリズムをあおるのは、百害あって一利なしです」などとなぜ言うのだろうか。
排外主義的ナショナリズムをあおっているのは安倍首相をはじめとする日本の政権中枢、保守主流派ではないか。
歴史的に被害者である韓国と加害者である日本、一国の総理大臣の言動と一新聞記者の記事を同じ天秤にのせてもいいのだろうか。
今日(5/25)のmsn産経ニュースの記事の中には次のようなものもある。
メディアを中心に世界で最も日本非難の議論が活発な韓国では、今回のような日本の原爆被害を「歴史的復讐」として正当化する発想はよくある。近年、内外で長期公演を続ける韓国が世界に誇る歴史ミュージカル「明成皇后」も、冒頭シーンは広島原爆の写真になっている。
19世紀末、親ロシア派の中心人物として日本人によって殺害された王妃(明成皇后)の悲劇の人生を描いた歴史ドラマだが、日本の原爆被害は歴史的にその“因果応報”という設定だ。これが欧米各国で盛大に上演されてきた。
先に36年の植民地支配と書いたが、その起点は1910年の韓国併合だ。
だが、閔妃暗殺は1895に起きている。
韓国併合に先立つこと15年。
閔妃(日本語読みではビンヒだが韓国の発音ではミンビ)は国王の后であり、皇后だ。
その閔妃は王宮に乱入してきた日本の軍隊、警察、無頼者たちによって惨殺され、遺体は陵辱されたあと焼却された。
当時43歳ぐらいだった閔妃は、20代に見える若々しさだったという。
この事件は角田房子が1988年に「ミンビ暗殺―朝鮮王朝末期の国母」として出版した。
この事件に関わった日本人は裁判により全員無罪となっている。
首謀者であった三浦梧楼は釈放されたあと凱旋将軍のような扱いを受けたという。
想像してみてほしい。
日本の天皇の后が外国人によって惨殺され陵辱され焼き捨てられることを。
その下手人が裁かれずにいることを。
閔妃暗殺は韓国・朝鮮人にとって民族的恥辱であり、おそらく未来永劫忘れることはないであろう。
その傷が癒される日は来るのであろうか。
角田房子が閔妃事件を知ったのは1984年だったようだ。
そのきっかけになった国立京都国際会館館長(当時)との会話が文庫本のプロローグに書かれている。
「古い話ですよ、明治28年(1895年)ですから。日本ではほとんどの人が知らないでしょうが、韓国人は日本との間に何か不快な事が起きると、この“閔妃暗殺事件”を思い出し、盛んに話題にして、その結果、日本人に対する悪感情があおられる、ということなのです。残念なことですが」
「では」と、私は驚いて問い返した。「韓国では、誰でもその古い事件を知っておられるのですか」
「ええ、誰でも、中学生でも知っていますよ。なにしろ小説やテレビ、映画などで繰り返し扱っていますから。…“忠臣蔵”を知らない日本人はいないでしょう? “閔妃暗殺事件”は、韓国人にとって“忠臣蔵”のようなものですよ」
教養の深い知識人である角田房子でさえ、1984年までこの事件を知らなかったのだ!
36年におよんだ過酷な植民地支配でさえ、日本の支配者層は朝鮮に文明開化をもたらした、いいことをしたなどと言ってはばからない。
明治以来の「脱亜入欧」によって始まった朝鮮蔑視の今日に至るまでの歴史事実を知るならば、今回の「原爆投下は神の懲罰」記事にたいして容認はできないが理解はできるという私の思いは理解していただけるのだろうか。
「許しがたい」という激しい非難は、原爆を投下した当のアメリカに向けてほしい。
アメリカは原爆投下にたいして日本に一度でも謝罪したことがあるのか。
あいかわらず原爆によって戦争を終わらせることができた、原爆によって何十万ものアメリカ兵を救うことができた、原爆万歳! などといっているにちがいない。
原爆を運んだエノラゲイ号は博物館で記念碑的に展示され、パイロットは英雄のままだ。
本当に許しがたい。
ところで、今NHK・BS1で「オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史」という番組を全10回で行っている。
このような良質な番組ができ、アメリカのテレビで放映された(昨年)ということはとても喜ばしいことだ。
少しでも無知で独善的なアメリカ人が改心してくれることを願っている。
話は横にそれたが、今日の本題である志位委員長のツイッターにもどる。
志位(これも恐れ多いが敬称略でいく)が「ニコニコ超会議」でツイッター宣言をしたとき、私は本当にやめてほしいと思った。
私自身ツイッターのアカウントは1年前から持っているのだが、今のところどうでもいいつぶやきが6つだけある。
フォローは橋下徹や赤旗など8つしているが、どれもこれもしょうもないと思う。
特に橋下のツイッターなど、自分の恥をさらしているようにしか思えない。
このブログでさえ1カ月に1度ぐらいは恥ずかしくなってやめようかと思う。
とても実名では書けない。
まして140文字の制限があるツイッターで何が書けるのか。
志位もツイッターに書くからあのような大衆迎合的な書き方になるんだろうと思う。
選挙も近いし。
赤旗の場合は、たとえば今回の記事でも、同じ紙面(第2面)に上の方には「国会論戦にみる自共対決」として「歴史認識 侵略美化の動きをただす」というけっこう長い記事があり、下の方には「日本は侵略の過ち認めよ シンガポール首相が見解」という囲み記事がある。
つまり、志位が「許しがたい」と韓国の中央日報を非難している記事を載せながら、一方で「正しい歴史認識を」と日本側をも非難するというバランスがある程度とれているのだ(編集者が意識しているのかはわからないが)。
また、赤旗読者であれば志位の発言もちょっと長いスパンの中でとらえようとするだろう。
ところがツイッターとなると、そのつぶやきだけで判断されてしまう。
志位の今回のつぶやきを一般人はどうとらえるのだろう。
よく言ったとネトウヨやあまり歴史を知らない人たちが拍手するのだろうか。
私のようにちょっと失望を感じてしまう人もいるだろうか。
今回は特にまとまりのない投稿になってしまった。
私の力量の限界ということで終わりにする。
追記 2013.5.26
ツイッターについての私の意見はずいぶん偏っているみたいだ。
私はうまく使えないが、使い方によってはとても有効なツールなのだろう。
志位委員長のツイッターも、普段はなかなか見聞きすることのない彼の好きな音楽の話とか、けっこう楽しめるものも多い。
◆ タンポポ(キク科タンポポ属) ◆
タンポポ 2013.5.5撮影 |
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