スティーブン・スピルバーグ監督の「リンカーン」を先日観た。
リンカーンはアメリカ歴代大統領のなかでも際だって有名で立派な大統領という評価はだれも否定できないだろうし、私も尊敬している。
それは、「人民の人民による人民のための政治」という有名な言葉以上に、奴隷解放の偉業を成し遂げたことにあると思う。
映画を観てあらためてリンカーンの偉大さをかみしめたかというとそうでもなかった。
逆に幻滅した部分があるかも知れない。
それは大義のためなら手段を選ばないという政治手法を赤裸々に描いた映画だからだ。
それはさておき、私が妙に感じ入ったのは、憲法改正の問題だ。
奴隷解放を成し遂げるための憲法改正(修正)には、議会で3分の2以上の支持を取り付けなければいけない。
映画はこの賛成票をいかにリンカーンが獲得していくかというストーリーといってもいい。
リンカーンはいくら奴隷解放に大義があるといっても、憲法改正要件の3分の2以上は厳しすぎるので過半数にしてほしいと思っただろうか。
たぶんそんなことは考えもしなかっただろうと思う。
昨日(憲法記念日)の赤旗の「主張」に次のような文が載っていた。
最近話題になった、アカデミー賞受賞の映画「リンカーン」をご覧になりましたか。リンカーン米大統領が19世紀半ば奴隷解放を実現するため、南北戦争のさなかに憲法改正を実現する話です。権謀術策のすさまじさは映画に譲って、注目したいのは、奴隷解放のための憲法修正13条も、議会の3分の2以上の賛成と4分の3の州議会での承認で成立した事実です。
安倍首相は、憲法を改定するには衆参両院の「3分の2以上」の賛成で発議しなければならないというのは世界でも異常であるかのようにいって、発議要件の緩和を先行させようとしています。しかし、「リンカーン」に見るまでもなく、憲法改定にきびしい条件を設けているのは世界での常識です。それはなにより、権力の活動を縛る憲法は、時の政権の都合で簡単に改正されてはならないからであり、憲法は国の法律のなかで最高の法規だからです。
チャンスがあれば大統領になるという決意も披露した。
しかし彼女は現憲法下では大統領になれない。
彼女の息子は外国籍であり、そのことが憲法によって大統領への就任要件を奪っている。
彼女が大統領になるためには憲法を改正しなくてはいけない。
ミャンマーの憲法改正要件は議会の4分の3以上の支持だ。
世界で最も一般的だと思われる3分の2よりも厳しい。
しかしそれだけではないのだ。
現憲法では議員数の4分の1は無条件で軍人に割り当てられることになっている。
この非民主的な憲法を改正するためには、軍人議員を取り込まなければできないのだ。
これほど憲法改正要件が厳しい国はないのではないか。
アウンサンスーチーが自分が大統領になるために、とりあえず軍人議員の条項は棚上げしておいて、大統領就任要件のみの改正に着手し、軍人議員を1人でも多く取り込もうとすることは理解できる。
と書いてはみたが、本当のくわしい情勢を私は今のところ勉強不足なので、まちがった理解をしているかも知れない。
こんにちの憲法96条改定の動きの中で、日本の為政者のくだらなさと対比する意味でリンカーンとアウンサンスーチー両氏の話題であった。
なお、映画としての評価だが、「リンカーン」は★2つと3つの間ぐらいだ。
昨年上映されたアウンサンスーチーの映画「The Lady」の方がはるかによかった。
◆ ムラサキサギゴケ(ゴマノハグサ科サギゴケ属)◆
ムラサキサギゴケ 2013.4.16撮影 |
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