映画ではしょっちゅう使われる手法だが、現在の出来事からはじめて過去にさかのぼり、現在と過去が同時進行で展開されるパターンだ。
慣れるまでは、登場人物の関連性や年齢などをイメージするのに混乱するような読みにくさがある。
荒さが気になる文章表現も見られる。
弟たちの人物造形にはまったく納得いかない。
小夜子の不倫という設定も何の意味があるのかと思う(不快)。
そのようなマイナス要因を差し引いても、この本にはあふれるほどの愛がつまっている。
意表を突くようなストーリーの展開もすばらしく、最後は圧倒されてしまう。
高く評価されていい作品だと思う。