2013年2月24日日曜日

TPP交渉参加 右翼のくせにアメリカ命の安倍首相

安倍首相は総選挙では「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対する」と公約し、今国会では同じ発言をくり返し、訪米前には、オバマとの会談で聖域なき関税撤廃が前提ではないとの感触を得られるかどうかだと言い、会談後にはその感触が得られたと言ってTPP交渉参加に踏み出そうとしている。

こういうのを茶番というのだろうが、それではすまされないたいへんな事態だ。
宮武嶺は安倍がアメリカで記者会見をした直後、ブログに

安倍首相がオバマ大統領にTPP交渉参加を約束し、国民皆保険・解雇規制など国民を守る制度を米国に売り渡す

を書いている。

自民党が総選挙でTPPについて公約したのは次の6項目だ。

 ①政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
 ②自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
 ③国民皆保険制度を守る。
 ④食の安全安心の基準を守る。
 ⑤国の主権を損なうようなISD(投資家対国家紛争)条項は合意しない。
 ⑥政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

政権についてからの安倍は意図的に①以外の公約を無視している。
これについては共産党の紙議員が参議院予算委員会で追及(末尾にテキスト引用)した。

自民党は個別的にもTPP交渉参加反対を約束して農業関係団体の支持や推薦を取り付けている議員がたくさんいる。
たとえば、全国農政連が推薦した議員は次のようだ。

町村信孝(北海道5区)、小野寺五典(宮城6区)、茂木敏充(栃木5区)、野田聖子(岐阜1区)、稲田朋美(福井1区)、高市早苗(奈良2区)、二階俊博(和歌山3区)、岸信夫(山口2区)

また、現在も「TPP参加の即時撤回を求める会」(会長・森山裕元農水副大臣)には自民党所属国会議員の6割超に当たる236人が加入していて、日米首脳会談でのTPP交渉参加の判断について「絶対に認めることはできない」とする決議(末尾にテキスト引用)を採択までしている。

自治体レベルでもほとんどの県議会が反対や慎重対応の決議をあげたり、全国町村会なども反対決議をあげている。
医療関係団体も強く反対している。
大手新聞の論調だけではわかりにくいが、TPP反対は自民党も含めて圧倒的多数なのだ。
それなのにこの安倍の前のめり姿勢だ。

安倍は日米首脳会談後の記者会見で次のように述べた。

「この3年間で著しく損なわれた日米の絆と信頼を取り戻し、緊密な日米同盟が完全に復活をしたと自信をもって宣言したい」

安倍にとって日米の絆こそが一番大切なのだ。
第1次政権時も、イラクへの自衛隊再派遣ができなくなり、アメリカの信頼に応えられないと涙目になって首相を辞任したほどだ。
どんなに国民が反対しようと、国民の99%が不幸になろうと、美しい国土がどんなに荒れ果てようと、TPPに参加すればアメリカが喜んでくれ、日米の絆が強まるならそれでいいのだ。

ここが私には理解できないところ。
安倍は自他共に認める超保守主義、国粋主義者、要するに右翼だ。
だから、日本の伝統を大切にし、美しい日本を守ろうとし、天皇中心の大日本帝国を復活させたい。
そのためにアメリカから押しつけられた憲法は絶対に改正しなければいけない。
日本の主権を確立しなければいけない。

このような右翼がなぜここまで卑屈になってアメリカに追随するのだろうか。
鬼畜米英はどこにいった、とまでは言わない。
が、右翼の風上にも置けないではないか。

今、中南米をはじめASEANなど世界中の国々がアメリカの支配からのがれて主権を守り、国民を幸せにする路線を歩んでいるとき、ひとり日本だけがさらなるアメリカ追随を強め、破滅への道を歩もうとしている。

宮武嶺はブログの最後で「『日米同盟の完全復活』とは『日本を取り戻す』どころか、日本をアメリカに売り渡して完全従属化することであることに、国民は、今、気づくべきなのです」と言っている。
本当に気づいてほしい。

◆南イタリアシリーズ⑱ ノースポール(キク科フランスギク属) ◆
ノースポール 2012.12.30撮影 アグリジェント
一見ノースポールに似ているので、Wikipediaで調べてみた。そこには、「原産地はアフリカのアルジェリア周辺ないしはヨーロッパ。地中海沿岸に広く分布している」とある。そこで勝手にノースポールと確定した。日本では園芸種だが、ヨーロッパでは野草なのかな。そうであればなおさら美しい。


論戦ハイライト TPP不参加しかない 参院予算委 紙議員が迫る


 19日の参院予算委員会で環太平洋連携協定(TPP)交渉参加問題についてただした日本共産党の紙智子議員。自民党が総選挙で掲げた公約を守るというのなら、「TPP交渉不参加」という選択肢しかないことが浮き彫りになりました。

紙議員「総選挙公約守るのか」
首相「6項目念頭に日米会談」


 自民党は総選挙で「国民皆保険制度を守る」などの「6項目」(1面別項)を公約。しかし、政府が衆院に提出した「統一見解」には「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対」とした1項目しか記していません。

「6項目がセット」

 公約では六つがセットだ。国民は公約が違ったのかと思う。
安倍晋三首相 「聖域なき関税撤廃」以外の残りの5項目も踏まえて(交渉参加を)判断していく考えだ。

 紙氏は、林芳正農水相に対しても1項目しか守らないというのかと追及。林氏は「政権公約だから、(6項目に)反することが明白な場合は、交渉参加は難しい」と答えました。

「食の安全も守る」

 紙氏は、自民党の政権公約について具体的にただしました。
 公約に「食の安全安心の基準を守る」とあることについて、残留農薬や食品添加物の使用規制などが、米国から貿易の障害になるとして「非関税障壁」とされかねないと指摘しました。
 安倍首相は「個別のことは交渉されていないが、食の安全基準も含まれる」と答えました。紙氏が米国産牛肉の検査月齢を20カ月から30カ月に緩和していることをあげ、食の安全を脅かすと指摘すると、安倍首相は「守るべきものがある。そうなったらしっかり主張していく」と述べました。

命に関わる重大事

 さらに紙氏は、自民党が公約で「国民皆保険制度を守る」としていることに関し、日本医師会が混合診療の全面解禁を行わない、株式会社を医療に参入させないなどを求めていることをあげ、公的医療保険制度を守れるのかとただしました。
 安倍首相は「皆保険制度をゆるがす考えは毛頭ない」と答弁。紙氏は「政府の『規制改革会議』では混合診療拡大を打ち出し、地ならしではないか」と指摘しました。

 「非関税障壁の撤廃」は国民の健康や命に関わる重大問題だ。生活のあらゆるところに影響を与え、日本の主権にも関わる問題だ。
首相 国民の皆保険を守っていくのは、主権の問題というのはまさにそのとおり。食の安心・安全を守っていくのも当然のことだ。「6項目」をしっかりと念頭において(日米)首脳会談に臨まなければならない。

紙議員「全重要品目“聖域”か」
首相「関税撤廃なのかどうか確認」

 さらに紙氏は、「聖域なき関税撤廃を前提にする限り交渉参加に反対する」とする公約についても大きな問題があると追及。現在、高率の関税がかけられている品目を列記したパネル(グラフ)を掲げ、「『聖域』の範囲は重要品目すべてを対象にしているのか」とただしました。

 重要品目はこれだけある。どこまで対象にするのか。
首相 個別項目については、影響を勘案して判断していく。

 2011年11月の衆院予算委員会で林芳正議員(現農水相)は「(例外措置は)何年でゼロにするかという例外はあっても、関税が残るという例外はないのだ」と野田佳彦首相(当時)を追及し、例外を認めさせても5~10年で関税ゼロとなると確認していました。

 (例外措置について)質問をした認識は変わらないのか。
林農水相 当時は野党議員として質問した。
 変わってないということか。
農水相 とくに変わってない。

 紙氏の追及に林農水相は変わってないと認め、さらに「さきほどの6項目を政調会長代理としてとりまとめた」と述べました。

 総理、やはりTPP交渉に参加しないという選択肢しかないではないか。
首相 関税撤廃なのかどうか確かめてみないとわからない。

 紙氏は、ニュージーランドは、例外を認めるよう求めている日本のTPP交渉参加を認めていないことに言及。「日本の主権を損なうものだから国民は不安に思っている。自民党が示した6項目をみたすなら、そもそもTPP参加自体が成り立たない」と強調しました。

 守らないなら重大な公約違反であり、国民は許さないだろう。日米首脳会談で、よもやTPP参加表明はないと約束できるか。
首相 基本は「聖域なき関税撤廃」を確認する。そのうえで、これまでの交渉経過とわが国へどのような影響があるか精査し、分析する。

 紙氏は、すでに北海道では1年間に200戸の農家が離農しており、TPP参加は東日本大震災被災地で復興に励む農林漁業者の意欲をそぐと批判。「美しい風景や棚田を支える農家を本当に守れる政治に変えなければならない」とTPP不参加を求めました。

TPPへの対応について


 安倍総理は、わが国の将来をかけて日米首脳会談に臨むこととしている。
 この会談では、TPPについても取り上げられると報じられているが、TPPは日本の農林漁業のみならず国民皆保険や食の安全・安心の基準など各般にわたる国民生活や、国のあり方にも重大な影響を与えるものであることから、極めて慎重かつ毅然とした対応がなされなければならない。

 とりわけ、政権公約を持して総選挙に勝利したわが党は、TPPにかかわる6項目を堅持しなければならない。また、過日外交・経済連携調査会が改めて決定した6項目は、まさに一体のものである。

 政権公約は、結果としても守られなければならない。TPP交渉の直接的俎上に載らなくても、TPPに乗じて二国間交渉で譲歩を迫られる可能性や、間接的に国益が損なわれる可能性にも備えなければならない。

 ところが残念なことに、新政権誕生後も、これら6項目の具体的な考え方や、これまでの事前協議の内容が全く開示されていないし、国民的議論も行われていない。

 この段階で、首脳会談におけるTPP交渉参加の判断は、絶対に認めることはできない。

 我々は、TPPに関して守り抜くべき国益を別紙の通り示すものである。

 以上、決議する。

 平成25年2月19日

 自民党TPP参加の即時撤回を求める会


決議別紙 TPPに関して守り抜くべき国益 政権公約に記された6項目関連


①農林水産品における関税
 米、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、除外又は再協議の対象となること。

②自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等
 自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等の我が国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと及び自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと。

③国民皆保険、公的薬価制度
 公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面的解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと。

④食の安全安心の基準
 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE基準等において、食の安全安心が損なわれないこと。

⑤ISD条項
 国の主権を損なうようなISD条項は合意しないこと。

⑥政府調達・金融サービス等
 政府調達及び、かんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等のあり方については我が国の特性を踏まえること。

 党内議論において下記事項についても強い指摘があった

医薬品の特許権、著作権等
 薬事政策の阻害につながる医薬品の特許権の保護強化や国際収支の悪化につながる著作権の保護強化等については合意しないこと。

事務所開設規制、資格相互承認等
 弁護士の事務所開設規制、医師・看護師・介護福祉士・エンジニア・建築家・公認会計士・税理士等の資格制度について我が国の特性を踏まえること。

漁業補助金等
 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。

メディア
 放送事業における外資規制、新聞・雑誌・書籍の再販制度や宅配については我が国の特性を踏まえること。

公営企業等と民間企業との競争条件
  公営企業等と民間企業との競争条件については、JT・NTT・NHK・JRをはじめ、我が国の特性を踏まえること。

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