2013年2月18日月曜日

アフガニスタン人の命のおもさ

アフガニスタンの民間人がアメリカを中心とした外国軍によって無法に殺されている。
赤旗2013.2.15付 レイアウトは変えた
赤旗のこの記事はこれがすべてだ。
実に素っ気ない。

何の罪もない人間が、外国軍の空爆によって殺される。
これが先進国で起こったら世界中を駆けめぐる大ニュースだろう。
事件の内容がくわしくわからないから、外国の通信社からの配信だけを頼りに記事にするのだろう。
そういうことを差し引いても、アフガン人の命のなんと軽いことか。

ちなみに他のメディアのあつかいを見てみた。
日本経済新聞のWeb速報(2013.2.13)だ。

空爆で市民10人死亡 アフガニスタン東部

 アフガニスタン東部クナール州のワヒディ知事は13日、反政府武装勢力タリバンの掃討作戦を進めていた国際治安支援部隊(ISAF)が12日に同州で空爆を実施し、子供5人を含む市民10人が死亡したと明らかにした。
 ISAF報道官は「状況を調査中」としている。タリバンは航空機を撃墜するための対空兵器を保有していないためISAFは空爆を多用しているが、誤爆による民間人の被害が相次いでおり、外国部隊への反発が強まっている。
 ワヒディ知事によると、ISAFから空爆の事前通告はなかったという。空爆でタリバンのメンバー数人も死亡した。(イスラマバード=共同)

この日経の記事は「誤爆による民間人の被害が相次いでおり、外国部隊への反発が強まっている」と書いてあるだけ赤旗に比べると少しはましかも。

続報があるだろうと思っていたら、今日(2/18)になって次のような記事が載った。
赤旗2013.2.18付 レイアウトは変えた
アメリカの傀儡だったカルザイ大統領が、しだいに目覚めていく過程がここ数年の間見られるが、そこの分析は私にはできない。
それにしてもこの赤旗記はやはり素っ気ない。

空爆によって民間人が犠牲になり、その加害の事実を外国軍自身が認めているのだ。
一面に載せるべきではないか。

「iran Japanese Radio」 というサイトで昨年9月以降のアフガニスタンにおける外国軍の空爆による民間人の被害を調べてみた。

2012.9.10   アメリカ軍の攻撃で民間人1人死亡(リンク
2012.9.15   NATOの空爆で女性7人が死亡(リンク
2012.10.1   アメリカの無人機による空爆で民間人3人が死亡(リンク
2012.10.6   アメリカ軍の空爆で少なくとも5人(民間人?)が死亡(リンク
2012.10.15 外国軍の攻撃で少なくとも子ども3人が死亡(リンク
2012.10.21 アメリカ軍の攻撃で少なくとも子ども4人が死亡(リンク
2012.11.12 アメリカの無人機による空爆で若者が3人死亡(リンク
2012.12.2  アメリカ軍の空爆で民間人3人が死亡(リンク
2013.1.17  アメリカ軍の攻撃で民間人4人死亡(リンク
2013.1.20  アメリカの無人機による空爆で民間人5人が死亡(リンク
2012.1.23  アメリカ軍の空爆で民間人3人死亡(リンク

空爆でないのもいくつか含まれているが、このような頻度で何の罪もない人たちが殺されている。
もっとあるにちがいない(たとえばこちら)。

2009.5.8 にはアメリカ軍の空爆で村民が100人以上死に(リンク)、それから4か月もたたない 9.4 にも、ドイツ軍がタンクローリーへの空爆で30人規模の民間人が死んだ(リンク)。

2001.9.11 に端を発するアメリカ軍アフガン空爆以来、絶え間なくアフガニスタン人は殺されつづけている(それ以前のソ連の侵略も考えるとアフガンの悲惨さはただごとではない)。

2002年までの最初の1年間で3000人を越える民間人が死んだとされる(リンク)。

iran Japanese Radio の2013.2.7の記事には、2008年から現在までに、アフガンで米軍により子どもが数百人死んだとある(末尾にテキスト引用)
数百人とはおおざっぱな数字だが、把握しきれないぐらいあちこちで頻繁に起こっているのだろう。

いまだに外国軍は「誤爆」といい、メディアはそのまま報道する。
断じて誤爆ではない。
外国軍はアフガン人を人間とみなしていない。
アメリカの脅威であるテロリストを1人殺すためには、そのためにアフガニスタンの民間人が100人死んでもどうってことはないのだ。

毎日のように起こる外国軍による民間人殺害を逐一追いかけ、新聞の第一面に載せるのは現実的ではないかもしれない。
しかし事実として民間人が多数死に、その原因を外国軍自身が自分たちにあると認めている(誤爆というが)場合、それはやはり一面に載せるだけの意義、もしくは義務がメディアにはあるのではないか。

まだイラクから米軍が撤退していない時期、イラク人が虫けらのように米軍に殺されていた。
「誤爆」により多数のイラク人が死んだ記事が国際面に載ったとき、私は赤旗編集局に抗議の電話をした。
米軍自身が認めているこの事件を、なぜ一面に大きく載せ、米軍の非道を告発しないのかと。

人間の命が不当に軽くあつかわれ過ぎている。
国際社会はいつまでこのような無法(特にアメリカの)を許すのだろうか。

◆ 南イタリアシリーズ⑯ ◆
2012.12.30撮影 アグリジェント
アブラナ科の特徴である十字花と細長い実がはっきりしている。まわりに咲いているキク科の黄色い花は何だろうか。


2008年から現在までに、アフガンで米軍により子ども数百人が死亡


2008年から現在までに、アフガニスタンで同国駐在のアメリカ軍により子ども数百人が死亡しました。

プレスTVの報道によりますと、国連・子どもの権利委員会は6日水曜、報告の中で、「2008年から現在までに、アフガニスタンでのアメリカ軍の軍事行動により、アフガン人の子ども数百人が死亡しており、さらに多くの子どもが逮捕され、刑務所に収監されている」と発表しています。
同委員会はまた、アフガニスタンではアメリカによる戦争の為、アフガン人の子どもにとって醜悪な状態が発生していることに懸念を表明しました。
この報告によりますと、アフガニスタンにあるアメリカ軍の刑務所では、アフガン人の子どもの一部が拷問や虐待を受けているということです。
さらに、2011年にアメリカによる戦争で殺害されたアフガン人の子どもの数は、2010年と比べて倍増しているにもかかわらず、これらの殺害に関わった人物は、一切その責任を問われていない」とされています。
国連・子どもの権利委員会は、アメリカ政府に対し、アフガン人の子どもの殺害を阻止し、より多くのアフガン人の子どもの生命を守るための措置を講じるよう求めました。
国際人権団体ヒューマン・ライツウォッチも、アメリカ政府に対し、戦火に見舞われたアフガニスタンで、子どもの生命をさらに守るべく、国連からの勧告を受容するよう要求しています。
アメリカは2001年に、テロとの戦いを口実にアフガニスタンを攻撃しました。
アメリカによるアフガニスタン攻撃により、これまでに多数のアフガン民間人の死亡者や難民を生み出しています。
2013.2.7 iran Japanese Radio

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