デフレ脱却のためにむりやり物価を2%上昇させるという。
私などまったく理解できない。
物価が上がることを喜ぶ庶民がいるのだろうか。
物価が上がるのを喜ぶのは企業だ。
同じ量が売れた場合、価格が高いほど利益が上がるのはあたりまえだ。
しかし、国民というのは全員が消費者であり、どう考えても納得がいかない。
国会の論戦を見ていると、安倍首相は次のようにいっている。
「将来への確かな期待を持てるような成長戦略により企業の収益を向上させ、それを雇用の拡大や賃金の上昇につなげていきたい」
(2013.1.31 衆院本会議代表質問 志位委員長への国会答弁)
これはかつて聞いたトリクルダウンというやつだ。
企業が繁栄すればそのおこぼれがしたたり落ちて庶民もうるおうと。
事実高度経済成長時代の日本はそうだった。
企業がどんどん成長し、物価が上がり続け、そして給料も上がり続けた。
そして日本は豊かになった。
今はどうか。
赤旗2013.1.18付 |
バブルがはじけた1990年代初頭から2008年のリーマンショックをへて現在まで企業の内部留保は増え続けている。
しかし、国民の年収は減り続けているのだ。
この間、高度経済成長時代のイザナギ景気を越える好景気が続いているとさかんに報道され、多くの国民はいったいどこの国の話だろうと首をひねっていたと思う。
2/8の衆院予算委員会では共産党の笠井議員が次のようなフリップを示した。
赤旗2013.2.9付 |
つまり、10年以上にわたる事実がトリクルダウンを否定している。
その破綻した政策を安倍はまだ平気で国会においてしゃべっている。
志位委員長は代表質問で次のようにデフレ不況の原因を問いただした。
私は、働く人の所得が減り続けてきたことが、デフレ不況の最大の原因だと考えます。1997年を100として、企業の経常利益は163まで増えましたが、労働者の所得・雇用者報酬は88に落ち込んでいます。総理は、賃下げとリストラの繰り返しで、働く人の所得を減らし続けてきた、このことにこそデフレ不況の最大の原因があるという認識をお持ちでしょうか。
さらに、日本をこうした賃下げ社会にしてしまったのはだれなのか。私は、その重大な責任は、歴代自民党政権にあると考えます。労働法制の規制緩和をすすめ、派遣やパートなど、非正規雇用を拡大してきたことが、賃金を引き下げ、貧困と格差を拡大したことは、政府の統計でも明らかです。総理、今日の深刻なデフレ不況をつくりだした重大な責任の一端を、あなたも含めた歴代自民党政権が負っているという認識と反省はありますか。
これに対しての安倍答弁は、
「わが国経済は長期にわたり需要が弱いなかで、企業などによる日本経済の将来に対する成長期待の低下やデフレ予想の固定化もあって、デフレが継続してきたと考えております。自民党政権においては、経済、産業構造の変化に応じて、必要な労働分野の改革を行ってまいりました」
などと珍論を述べながら反省はまったくない。
しかも安倍のやろうとしていることは、消費税の増税であり、公務員の賃金や退職金カットであり、生活保護費の削減だ。
めちゃくちゃではないか。
志位委員長は代表質問(動画 テキストはこちら)において、デフレ不況から抜け出す方策として「三つの決断」をせまった。
減り続けている働く人の所得を増やす方向に転換する――ここにこそデフレ不況から抜け出す最大のカギがあります。私は、つぎの「三つの決断」を政府に求めるものです。
消費税増税、社会保障削減――国民の所得を奪うあらゆる政策を中止せよ
第一は、消費税増税の中止です。一口で消費税10%といいますが、サラリーマン世帯でいえば、1カ月分の給料がまるまる消費税に消えてしまうのが「税率10%」です。消費が凍りつき、景気の底が抜ければ、税収も落ち込む――そのことは、97年の消費税増税後に14兆円もの税収が減ったという事実によって証明ずみのことではありませんか。同時に、社会保障削減計画を中止すべきです。政府はその突破口として、生活保護制度の大幅切り下げを進めようとしていますが、これは受給者の生存権を乱暴に破壊するとともに、最低賃金など国民生活全体の悪化をもたらし、賃下げ社会をいよいよ深刻にすることにもなり、断じて認めるわけにはいきません。
総理に、真剣にデフレ不況から抜け出す決意があるのならば、国民の所得を奪うあらゆる政策の中止を決断すべきだと考えますが、いかがですか。
財界の身勝手な賃下げ・リストラに、政治の責任でストップを
第二は、大企業・財界の身勝手な賃下げ・リストラに、政治の責任でストップをかけることです。日本経団連は、賃上げを拒否するだけではなく、「定期昇給の延期・凍結」など、新たな賃下げ宣言を行っています。電機・情報産業の大企業は、「業績悪化」を理由に、13万人の首切り計画を進めています。
個々の企業だけを見れば、賃下げ・リストラは、利益をあげるようにみえますが、それを全体の企業が競い合って行えば“合成の誤謬(ごびゅう)”に陥る―社会全体の需要がますます冷え込み、デフレ不況をいよいよ深刻にし、企業もたちゆかなくなります。
政府として、日本経団連・財界にたいして、賃下げ・リストラ競争の中止を強く要請すべきではありませんか。これは、ヨーロッパ各国の政府ならば、当たり前のように行っていることです。
大企業の内部留保は不況下でも増え続け、260兆円にものぼっており、そのごく一部を還元しただけで賃上げは可能です。答弁を求めます。
人間らしい暮らしを保障するルールを――政府として「賃上げ目標」こそもつべき
第三は、人間らしい暮らしを保障するルールづくりに踏み出すことです。――労働者派遣法の抜本改正、パート労働法の改正など、非正規社員の待遇を改善して、正社員化の流れをすすめる。
――中小企業への手当てをしっかり行いながら、最低賃金を時給千円以上へと大幅に引き上げて日本から「働く貧困層」をなくしていく。
――独占禁止法の強化など、大企業と中小企業が公正に取引できるルールをつくる。
政治の責任でこれらの改革をすすめ、賃下げ社会から脱出し、働く人の所得が増える社会への転換をはかるべきではありませんか。
安倍総理は、無制限の金融緩和で「2%の物価引き上げ目標」を持つとしていますが、かりに物価が上がっても、賃金が下がり続けたままでは、生活はいよいよ苦しくなります。政府として目標を持つというのなら、賃上げ目標こそ持つべきではありませんか。答弁を求めます。
笠井議員は2/8の予算委員会で次のようなフリップを示した。
赤旗2013.2.9付 |
◆ カワセミ(カワセミ科カワセミ属) ◆
カワセミ 2013.2.7撮影 |
同上 トリミングあり |
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