2013年2月14日木曜日

柔道 「指導という名の虐待」 小林夫妻の訴え

赤旗では少し前から「スポーツ 体罰 暴力を問う」というシリーズをはじめている。
今日(2/14)は第5回だが、全国柔道事故被害者の会の小林夫妻の訴えが胸を打つ。

以下、その赤旗記事からの引用。

柔道事故に見る 指導という名の虐待

 「早くしろ」

 柔道場に顧問の怒声が響きました。

 顧問と乱取りをしていた横浜市立奈良中学校の小林くん(当時、中3)は次の瞬間、その場にしゃがみ込むように崩れ落ちました。口は、けいれんし、指をもがくように動かし、まもなく目を閉じました。2004年12月、クリスマスイブの午後の出来事でした。

 いまも残る障害
 
救急車で運ばれた小林くんは、急性硬膜下血腫と診断され、緊急手術を受けました。一命は取り留めたものの、高次機能障害など、生活上の困難を強いられています。

 2人の乱取りは、すさまじいものでした。

 元日本チャンピオンでもあった顧問は、柔道歴1年あまりの小林くんに対し、体落とし、足払い、内また、大外刈りなど次から次へと技をかけたあと、絞め技で落とし、意識を失わせました。小林くんが正気を取り戻すと、またすぐに乱取りへ。帯がほどけ落ちるまで投げ、再び絞め技をかけました。

 「絞め技は通常と違い、気管を締める危険なもの。私たちは、顧問の一連の行為は、教育的な意味は何もなく、制裁を加えようとしたもので、事故の原因にもなったと、裁判で訴えたのです」。父の泰彦さん(66)は、唇をかみしめました。

 判決では、泰彦さんの主張の多くが、認められました。

 突出した事故率

柔道では、練習という名のしごき、暴力まがいの行為が、事故に結びつくケースは多い。

 その多くは、脳に障害を残す重大事故です。1983年から29年間で死亡事故は118件。障害が残るけがは、275人に及んでいます。しかも、これは統計のある、学校だけのもの。

 「町の道場やクラブ、警察の道場などを加えたらもっと数は多いはず」。3年前、「全国柔道事故被害者の会」を立ち上げ、会長を務める泰彦さんは指摘します。

 もう一つ注目すべき数字があります。それは、2010年までの過去20年間の熱中症による死亡率。これも柔道が突出して高く、剣道の2倍、野球の2.7倍です。

 分析した内田良・名古屋大大学院准教授は「柔道の練習のあり方までを含めた広い視野から検討されることが急務」(「柔道事故データブック2012」)としています。

 柔道ジャーナリストの木村秀和さんは、こう解説します。

 「事故の背景には、柔道の非科学的な練習、暴力体質がある。指導者や先輩にしごかれた末に疲労困ぱいになって、受け身が取れず重傷になるといったケースも少なからずある。女子柔道選手の告発でもわかるように、指導者の暴力体質をどう変えるかは、柔道界にとって急務の問題だと思う」

 日本でこれだけ事故死があるにもかかわらず、欧米で事故死がないことは「被害者の会」の調査で明らかになっています。それを防ぐ手だてがしっかり整備されていること、英国やフランスのように指導者資格制度の下で教育されて指導者になるとともに、日本のような異常なしごきがないことも大きい。

 「部活動の顧問や先生のような絶対的な体力、権力を持つ人が、弱者である生徒に対して行う体罰や暴力は、もはや虐待にほかならない」。小林くんの母・恵子さん(63)は、語気を強めます。

 「息子のような事故は、もうこれ以上、起こしてはなりません」。小林夫妻は声を合わせました。

 
◆ 南イタリアシリーズ⑬ ワルナスビ(ナス科ホオズキ属) ◆
ワルナスビ 2012.12.29撮影 シチリア島
前回と同じ場所。花や葉が日本のワルナスビとそっくりだ。しいてちがいをあげれば、実の形が日本のは楕円形だがシチリア島のは丸っこい。しろうと目にはちがいはない。

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