2013年2月17日日曜日

日本国が「死の商人」になっていいのか

シリアの紛争がなかなか収束しない。
赤旗2013.2.14付 レイアウトは変える
アサド大統領はテロリストと戦っているといっているが、反体制派武装勢力はもともとはシリアの民間人だ。
アサドは国民を殺しまくっている。
すべての責任はアサド一人にある。

カダフィ大佐同様、アサドの末路も目に見えるようだが、そのためにあと何人死ななければいけないのだろう。
赤旗2013.2.15付

上記記事の翌日に短信が載った。

記事では対空防衛システムのことしかふれていないが、ロシアは一昨年10億ドル相当の武器をシリアへ輸出(末尾にテキスト引用)している。
アサドが国民を殺しまくるその武器は、ロシアが供給しているのだ。
まともな国がこのようなことを公然とできるものだろうか。

もちろんロシア以上にアメリカは武器輸出をしている。
イギリスやフランスなどもしているだろう。
その点ではロシアと似たり寄ったりでまともな国とは思えない。

ところで、このたびちょっと調べてみて、ドイツが米ロに続く世界3位の武器輸出大国(末尾にテキスト引用)になっていることを知って驚いた。
戦後処理において日本とあまりに対照的な対応をしてきて、世界から信用を勝ち得てきたあのドイツが。
私も尊敬していたのだが、そのドイツにもこのような大きな欠点ができあがりつつあったのだ。

日本はどうか。
平和憲法のおかげだと思うのだが、日本は「武器輸出三原則」というものがあって、先進国の中で「死の商人」になっていない唯一の国かもしれない。
日本の政治では数少ない誇りうるものだ。

だが、その「武器輸出三原則」も自民党政権の中で、また直近の民主党政権の中で空洞化がじわりじわりと進んできた。

そしてこのたびのF35部品輸出の問題(末尾にテキスト引用)だ。

ドイツの件で引用した記事には、筆者の熊谷徹が次のように書いてある。

私は、日本が戦後「武器輸出三原則」によって兵器の輸出を禁じてきたことを誇りに思う。武器輸出をめぐり、日本はドイツが歩んできた道を真似るべきではない。

まったく同感だ。

◆ 南イタリアシリーズ⑮ アーモンド(バラ科サクラ属) ◆
アーモンドの木 2012.12.30撮影 アグリジェント
アグリジェントでは2月上旬にアーモンドの花祭りが開かれるみたいで、その頃が満開になるのだろう。サクラ属だから、まるでサクラのようなようそうにちがいない。上の写真はまばらではあるがけっこう花が咲いているのだ。赤丸で囲った花をズームしてみた。
同上
私としては会心の一枚といっていい。


ロシアの武器輸出が過去最高に、プーチン大統領明かす


[モスクワ 17日 ロイター] ロシアのプーチン大統領は17日、同国の武器輸出総額が今年、過去最高の140億ドル(約1兆1800億円)以上となる見通しだと述べた。

ロシアは米国に次ぐ世界第2位の武器輸出国で、近年は増加傾向にある。プーチン大統領はテレビで放送された当局者らとの会合の中で、今年だけでも150億ドル超の新規契約を結んだことも明らかにした。

大統領は特定の主な取引先を挙げることはしなかったが、その中には旧ソ連時代からの取引相手であるインドのほか、中国軍の台頭を警戒するベトナムなど東南アジア諸国が含まれているという。

ロシアは昨年、約10億ドル相当の武器をシリア政府に売却したとして欧米諸国から非難を受けたが、ロシアは国際法に違反するものではないとしている。


 武器輸出大国ドイツ


ドイツ人は、ナチスによる戦争中の犯罪と今なお対決し、歴史教科書などを通じて若い世代に伝える努力を続けている。米軍のイラク侵攻の際に見られたように、戦争について批判的な態度を取る市民も多い。冷戦の時代に西独で激しく燃え上がった反核運動は、第2次世界大戦でドイツが加害者となった経験に基づき、人々の間に平和主義的な思想が広まっていることを示した。

しかし、そのドイツにも矛盾点はある。この国は、米国とロシアに次ぐ世界第3位の武器輸出大国なのだ。スウェーデンの軍事問題研究所SIPRI によると、2006~10年にドイツの武器輸出額は96%増加し、世界の武器市場でドイツが占める比率は7%から11%に拡大した。この国の兵器産業は、輸出ブームに沸いているのだ。

メルケル政権の報告書によると、ドイツの軍事産業が2010年に外国に輸出した武器の総額は21億ユーロ(2100億円・1ユーロ=100円換算)。前年比で50%の増加だ。ドイツの最大の顧客はポルトガルで、輸出額の39%を占める。ギリシャも輸出額の19%を占める「お得意様」だ。一昨年、ギリシャ政府はドイツから4億300万ユーロ(403億円)相当の武器を買っている。ギリシャとポルトガルは、過重な債務を抱え込んだために、現在ユーロ圏に重大な脅威を与えている。これらの国の歳出の中に、ドイツの防衛産業に対して支払われた金も含まれていたというのは、皮肉である。

ドイツは、「物づくり大国」として有名だ。故障が少なく信頼性が高いドイツの機械製品は、諸外国の間で人気がある。このことは武器についても当てはまり、「レオパルド2型」戦車は、サウジアラビアなど中東諸国で高く評価されている。昨年ドイツ政府は、こ の戦車をサウジアラビアに輸出する許可を与えたが、同国は反体制派への弾圧で知られており、隣国のバーレーンで民衆の蜂起が起きた際には、装甲車を派遣してデモを鎮圧している。また、欧州最大の銃器メーカー「ヘックラー・ウント・コッホ」社のサブマシンガンは、世界中の軍隊や警察で使われている。

だがドイツから輸出されている武器の「ヒット商品」は、哨戒艇や潜水艦などの艦船で、輸出額の44%に相当する。特にイスラエルに対しては、ドイツの船舶メーカーが潜水艦を輸出してきたが、最近では「SPIEGEL」誌の報道が大きな波紋を生んだ。

同誌は、ドイツやイスラエルの軍事関係者や政治家とのインタビューに基づき、「イスラエルがドイツから買った“ドルフィン” 級潜水艦に、核弾頭付きの巡航ミサイルを搭載している」と報じたのだ。つまり万が一、中東で深刻な紛争が勃発し、イスラエルが存亡の瀬戸際に追い詰められた場合、同国がドイツ製の潜水艦を使って核攻撃を行う可能性があるというのだ。

独政府は、「イスラエルが潜水艦に何を搭載するかについては、輸出を許可する時点ではわからなかった」と弁明するだろう。さらに、歴代の独政府は、ナチスがユダヤ人を虐殺したことに対する一種の「償い」として、イスラエルに多額の軍事支援を行なってきた。メルケル首相は「イスラエルの安全を守ることは、ドイツの国是」とまで言い切っている。これが、ドイツがイスラエルに武器を輸出する大義名分となっている。だが実際に紛争が起きた場合、ドイツの武器がパレスチナ人やアラブ諸国の人々に向けられることになる。イスラエル軍がガザ地区で使用した「メルカバ」戦車の主砲もドイツ製である。

私は、日本が戦後「武器輸出三原則」によって兵器の輸出を禁じてきたことを誇りに思う。武器輸出をめぐり、日本はドイツが歩んできた道を真似るべきではない。

22 Juni 2012 Nr. 924 熊谷徹

 F35部品輸出 紛争助長する国になるだけだ


 安倍晋三政権は、米国などが共同開発している最新鋭戦闘機F35向けに日本企業が製造した部品を米国に輸出し、その部品を組み込んだ機体がイスラエルなどに渡ることを「武器輸出三原則」に抵触しないと認める方針を固めました。

 F35は日本の自衛隊も購入を決めていますが、共同開発に参加しているわけではありません。しかし民主党政権時代に共同開発への参加は「三原則」に反しないと認めているため、その枠内だと称して部品輸出を認め、機体の輸出も容認する方向にしたものです。「三原則」をなし崩しにするやり方は絶対に許されません。

    武器禁輸政策の骨抜き

「武器輸出三原則」は佐藤栄作政権が1967年に国際紛争当事国などへの武器輸出を禁止し、76年には三木武夫政権が紛争当事国以外にも武器輸出を慎むとするなど、長く日本の武器輸出を事実上禁止する原則となってきたものです。ところがその後の自民党政権が、対米技術協力や「ミサイル防衛」に関連する日米共同開発を例外と認め、民主党政権時代の2011年12月には野田佳彦政権が、国際的な武器の共同開発について「包括的」に例外にすると定めて、「三原則」を空洞化してしまいました。

 野田政権当時「赤旗」主張は「武器禁輸を国是としていたからこそ得てきた国際社会の信頼を失わせる『亡国』の決定」と批判しました。その基準を悪用した今回の安倍政権の決定は、その批判の正しさを裏打ちするものです。

 野田政権当時の基準は、共同開発した兵器の第三国への輸出には、日本の事前承認を義務付け、「国際紛争等を助長するのを回避する」などとしていました。しかし、今回の安倍政権による「三原則」の骨抜きは、そうした言い訳さえ完全に投げ捨てるものです。
 

 日本企業が製造した部品を使ったF35が輸出されるイスラエルは、つい最近もシリアやパレスチなどへの武力攻撃をくりかえしている、国際紛争当事国そのものです。部品の売却も機体の売却もイスラエルの武力攻撃を日本が助長する危険を意味します。憲法の平和原則をふまえた「三原則」を完全にふみにじるのは明らかです。

 米国は日本から部品を購入するだけでなく、日本の自衛隊が大量に導入するF35については日本国内にも施設をつくり、組み立てなどを日本の兵器産業にもまかせる方向です。米国が日本の兵器産業のもうけをえさにF35を売り込み、部品も購入して、それによって日本側も大もうけする醜悪な関係です。「三原則」の空洞化はまさに日米の「死の商人」を喜ばせることになります。

    購入は憲法違反の疑いも

 民主党政権時代に日本の導入が決まったF35は、42機で1兆6千億円といわれる、軍事費大盤振る舞いの典型です。初年度となる12年度は1機102億円(4機購入)だったものが、13年度予算案では2機で299億円と1・5倍にもなっています。残りの36機がさらに高騰しない保証はありません。

 長距離攻撃能力と爆撃能力を保有するF35は、憲法が禁止している戦力そのものにあたる疑いが濃厚です。日米の「死の商人」を肥え太らせ憲法を踏みにじる、F35の購入も部品供給など生産への参加もきっぱりやめるべきです。
(2013.2.6 赤旗 主張)

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