これは民自公の悪政談合トリオが8月に強行した社会保障制度改革推進法をもとにしている。
見直しのポイントとしては、
・保護基準を下げる
・保護費を下げる
・保護の有期化
・就労指導の強化
・医療費の一部自己負担
・薬は後発品を原則
・扶養義務の強化
などがあげられている。
11/17の政府の「新仕分け」によってこの方向性は強まっている。
どれも許しがたいことだと思うが、ここでは「保護基準の見直し」を中心に述べる。
赤旗2012.11.11付の記事だ。
赤旗2012.11.11付 |
「所得が生活保護基準を下回る世帯のうち保護を受けている世帯はわずか15%(07年)」とある。
この割合を捕捉率とよんでいるが、15%という数字はどうなのだろう。
次のような捕捉率の国際比較がある。
日本 15~20% (2011年)
イギリス 90% (2008年)
フランス 91.6%(2008年)
ドイツ 65% (2008年)
国際比較というのはいろいろ条件がちがっているから単純には比べられないと思うが、日本の捕捉率が低いのは明らかだろう。
ついでに同じ資料(サイト)に公的扶助を受けている人の人口比がのっている。
日本 1.6% (2011年)
イギリス 9.7% (2008年)
フランス 5% (2008年)
ドイツ 9.7% (2008年)
日本が捕捉率15%を90%にあげたら、人口比は1.6を6倍して9.6%になるのでヨーロッパなみになるのかもしれない。
さて日本では本来保護を受ける法的権利を持ちながら、80~85%の世帯は保護を申請する気がないか申請しても行政に拒否されているのだ。
申請できることに気づいていない世帯もあるかもしれない。
誤解している人も多いのだが、保護費というのは保護基準に満たない分を支給してもらうものだ。
まったく働くことができず、全額保護費を受給している人も多いが、ワーキングプアといわれるように、働いていながら生活保護を受ける場合もたくさんある。
例えば、公立中学校の非常勤講師で教師をしながら生活保護を受けている人がいる。
自分(1人世帯)の給料が10万円で保護基準が12万円とすれば2万円を生活保護で受給するのだ。
自分の所得が生活保護受給者より低いといって保護者を非難する人がたくさんいる。
保護基準を下げればワーキングプアの溜飲も下がるとでもいうのだろうか。
そういう人は自分が保護を受けるべきなのだ。
受ける資格があるし、憲法で保障された権利でもある。
そのようなバッシングの世論を奇貨として(世論を誘導したのかも)政府は生活保護の見直しを進めようとしている。
「生活保護を利用して当然の困窮状態なのに受けていない人を膨大に放置しながら、その層と比べて生活保護基準の方が高いなどとするのはまったく不合理」
と赤旗記事にある。
生活保護基準が下がると最低賃金も連動して下がり、ワーキングプアはさらに増える。
そうするとますます保護受給者は増えるはず。
ところが岡田副総理は受給者増は「財政上成り立たない」と言った。
赤旗2012.11.18付 |
要するに財政支出が少なすぎるのだ。
それを与党も野党もよってたかってさらに減らそうとしている。
では生活保護費のGDP比は各国でどうなっているのだろうか。
これに関してはいい資料が見つからない。
次のようなデータも見つけたがどこまで信頼できるものかわからない。
生活保護費対GDP比はOECD平均が0.7%であるのに対して日本は0.3%(参考サイト)
イギリスは4%、フランス、ドイツは2%、アメリカは4%、日本は、わずか0.2%(参考サイト)
日本がかなり低いことはまちがいないようだ。
さて、本日のタイトル「生活保護基準引き下げはみんなの問題」だが、2011/10/8付の赤旗に次のような記述がある。
生活保護基準引き下げが影響する主な制度
・住民税の課税最低限
・就学援助
・公営住宅の家賃
・保育料
・児童入所施設の一部負担金
・療育医療の一部負担金
・障害者福祉サービス利用者負担の軽減
・自立支援医療の自己負担額
・国民健康保険料(税)の減免
・介護保険料の減免
・後期高齢者医療の保険料・窓口負担の軽減
・最低賃金
・生活福祉資金の利用
なんと多くのことが生活保護基準と連動しているのだろう。
生活保護基準に近い経済的に苦しい世帯や人ほど被害は大きくなる。
貧しい人が生活保護をバッシングしている場合ではないのだ。
まさに「ワーキングプアを固定化し国民生活全体を負のスパイラルに引きずり込むもの」だ。
◆ ピーマン(ナス科トウガラシ属) ◆
ピーマン 2012.11.9撮影 |
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