NHKも含めてほとんどのメディアがかなり初期の段階から容疑者の名を実名で報道している。
さらに顔写真もいっしょに公開されてきた。
一連の報道を見ていて、まあすべての犯行の主犯格はまちがいなく彼女だろうと思ってしまう。
そして報道を見るたびにこの女は本当に極悪人だとすり込まれていく。
ところで赤旗の報道だが、本日付現在をもってしても「被告(64)」という表現のみで実名を表記しない。
最初から首尾一貫してそうなのだ。
あまりにもかたくなな態度のように思われる。
そこで考えてしまう。
今までマスコミによってこいつはとんでもない犯罪者だと思わされてきた人物が、結果無実だったということはたくさんある。
すぐ思い起こされるのはオームの松本サリン事件だ。
その河野氏の場合は、心の傷は癒えてないにしても名誉回復はなされたといっていいだろう。
しかし、2005年の姉歯建築事務所による耐震偽装建築の事件はどうだろう。
報道により、事件は木村建築の篠塚が主導し、姉歯などはかわいそうな被害者というイメージが作り出された。
私もそう信じて、篠塚の顔を見るたびこいつは本当に悪いやつだと思ってきた。
ところが、姉歯がウソをついていたことが判明し、篠塚は無実だということになった。
驚愕である。
赤の他人とはいえ、罪もない人に対して私はこの悪人がと憎しみに近いものをもってきたのだ。
篠塚氏の名誉は河野氏と同じぐらいは回復されたのだろうか。
メディアは自らの責任を自覚し、篠塚氏のために十分な事後報道をしただろうか。
私はかなり早い段階からNNNドキュメントなどにより彼の無実とその無念さと彼が受けた傷の深さを知った。(例1、例2)
しかし、多くの人は事実をあまり知らないのではないだろうか。
何度もくり返されるメディアによる報道被害。
それらの教訓から、報道機関は実名報道や写真などの扱いにはよほどの慎重さが必要とされてきたのだと思う。
赤旗はその教訓を肝に銘じて報道しているとも考えられる。
つい先日、今回の尼崎事件の女性容疑者の写真がまちがっていたことがわかった。
NHKや各報道機関は謝罪をしているが、そんなことですむ問題だろうか。
*私自身はメディアの影響を受けて性懲りもなくその女性を極悪人だと思いこまされている。
このことじたいがこわい。
◆ ハバヤマボクチ(キク科ヤマボクチ属) ◆
ハバヤマボクチ 2012.11.1撮影 |
追記(2012.12.21): 12/12に角田容疑者が留置場で自殺した。赤旗でも翌日に記事が載っていたが、やはり「容疑者(64)」という表記で実名は書かれていない。
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