日本もアメリカも力の限りを尽くして戦い、どちらが金メダルをとってもおかしくなかった。
彼女たちに心からおめでとうといいたい。
今日の赤旗はスポーツ面の「ライバル同士 ベストゲーム」と題したコラムで次のように書いている(抜粋)。
ライバル米国の存在も日本を強くしている。この一戦もそうだった。丸山は「米国はW杯よりも集中力や忍耐力が上がっていた。日本がどうというより、相手がすごかった」とすなおに感心した。
目を引いたのは、後半のロスタイムに入ってもシュートを狙い続けてきた姿勢だ。時間稼ぎのプレーなどまったく頭にない。終了の笛が鳴るまで、全力プレーでぶつかってきた。「最後に米国と戦えて楽しかった」。沢は実感を込めた。
実力を認め合い、高めあう両チーム。サッカーの聖地に8万以上を集めた大一番は、最高の舞台にふさわしく、ベストゲームとなった。
「目を引いたのは、後半のロスタイムに入ってもシュートを狙い続けてきた姿勢だ。時間稼ぎのプレーなどまったく頭にない。終了の笛が鳴るまで、全力プレーでぶつかってきた」というところに注目してしまう。
日本は1点差を追う立場で総力を挙げて最後まで戦いきった。
その中で、世界一ともいわれるGKソロに惜しくもはばまれはしたが、岩淵のうなるようなシュートも生まれた。
勝っている側が時間稼ぎなどの卑劣な行為さえしなければ、ゲームはおのずと感動的なものになる。
それをアメリカは示してくれたと思う。
日本女子はどうだったかを振り返るとき、どうしても準決勝フランス戦での宮間のプレイが引っかかる。
予選リーグ南アフリカ戦の卑劣さの極みは佐々木監督に全責任があり、選手は被害者だからここではもう触れない。
準決勝はフランスの猛攻をしのいで奇跡的ともいえる勝利をした。
シュートに持ち込むまでは技術だが、シュートが決まるかどうかは運しだいだなと思わせるようなゲームだった。
感動的な勝利に水を差すような話だが…
アディショナルタイムも残り2分のときだった。
日本はコーナーキックを得て、いつも通り宮間がコーナーに向かった。
このとき主審が腕時計を示しながら宮間に何かを告げた。
宮間はボールをちょこんと蹴ってキープの体勢に入った。
そのキープはフランスのプレスによってすぐ解けたのだが、明らかに時間稼ぎのプレイだった。
昨年のオリンピック最終予選北朝鮮戦を思い出す。
1点リードの日本が残り10分というところでコーナーキックを得た。
宮間はそこで露骨すぎるキープをした。
このときは佐々木監督の大声での指示が飛び、宮間は「マジーっ!」と叫んだぐらいだから、彼女に責任はない。
今回フランス戦での宮間のキープは彼女自身の判断だったのだろうか。
そこに触れている報道を目にしていないので私にはわからない。
フランスの猛攻をしのいでアディショナルタイムの4分が経過したが、主審は笛を吹かない。
さらに20秒以上経過してやっと笛が鳴った。
アディショナルタイムがこれほど延長されたのはめずらしいのではないか。
理由はわからない。
が、私は勝手に次のような推測をした。
コーナーキック時に主審は宮間に時間稼ぎプレイをしないよう注意した。
それを無視して宮間は時間稼ぎに入った。
主審はその失われた時間をフランスのために補償したのだ。
男子と対照的にフェアプレーが売りの女子サッカー界で日本はとくにフェアであると思う。
それは今回のオリンピックのファール数にも現れている。
その日本女子のなかでも宮間のフェアプレー精神は特筆すべきものがある。
昨年のワールドカップ決勝でアメリカに勝ったとき、日本選手は歓喜に包まれて抱き合った。
その中で宮間だけはうちひしがれるアメリカ選手に歩み寄り、声をかけていた。
そんな宮間がなぜフランス戦の最後に時間稼ぎプレーをしたのだろうか。
監督の指示だったとわかれば監督のせいにして私も納得がいくのだが。
そんなわけで、フランス戦での勝利の喜びも半減したのだ。
決勝戦の後、佐々木監督は会見で「これから受け継いでいきたいものは」と問われ、次のように答えている。
「明るくて、正義感あふれるフェアプレー。相手をいつも尊敬するような子たちが結集すると、すごいパワーを持つ。そうした日本女性の素晴らしさを、なでしこジャパンは身につけている」
女子サッカーを思うとき、フェアプレーという言葉はどうしても切り離せない。
それこそが女子サッカーの神髄であり、サッカーの希望だからだ。
それを損なうとき女子サッカーに未来はないのではないだろうか。
◆2011年夏 北アルプスシリーズ 26 三俣蓮華岳から高瀬ダム
ミヤマタンポポ 2011.7.31撮影 |
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