2012年12月22日土曜日

見直したハナ肇だが「馬鹿まるだし」はないと思う

NHK・BSプレミアムでは2年近く前から「山田洋次監督が選ぶ日本映画100選」というやつをやっている。
全部とはいかないがけっこう観るようにしている。

シリーズが終了したら感想を書きたいと思うが、ここでひとこと言っておくと、つまらない作品が多い。

選挙の前だったか、ハナ肇主演の「馬鹿まるだし」(1964年作品)を観た。

ハナ肇といえばドリフターズ。
いやちがった、クレージーキャッツだ。
こんがらがっている。

ハナ肇はクレージーキャッツのリーダだった。
でも目立つのは植木等だったり谷啓だったりして、ハナ肇は控えめな印象がある。
馬鹿になりきれず、ちょっと照れ屋で地味。


私は彼らとは一回り若いので、彼らが絶頂期の頃は私が小学生高学年から中学生だったかな。
特に好きでも嫌いでもなかったが、スーダラ節とかは今でも歌える。

「馬鹿まるだし」という映画だが、題名からして観る気がしない。
監督は山田洋次自身。
自分の映画を自分で選ぶの?
って感じでハナ(はじめ)から期待していない。

ところが観ているうちに引き込まれていった。
ヒロイン役の桑野みゆきがとてもいい。
山本晋也もべたほれみたいだったが、私もこのタイプが好みかも。

そして何より主役のハナ肇に驚いた。
今まで抱いていたイメージがガラッと変わってしまった。
演技派なのだ。
自然体の演技で、おもしろおかしくこっけいなのだが、不自然で大げさでナンセンスな感じがしない。
ストーリーは「無法松の一生」を思わせるもので、主人公の安五郎をいとおしく思ってしまう。

ちょい役で渥美清も出ていた。
このあと山田洋次は渥美清と組んで寅さんシリーズを大ヒットさせるわけだが、個人的にはこの映画で見たハナ肇の方がよほど好きだ。
なぜ山田洋次はもっともっとハナ肇を大事にしなかったのだろう。

「山田洋次が選ぶ…」シリーズは、この次に植木等の「ニッポン無責任時代」を放映したが、単なるドタバタではないにしても、やはりナンセンス映画でつまらない。
この映画にもハナ肇は出演していて、彼らしい木訥なおかしみを出していた。

植木等は「馬鹿まるだし」でも物語のナレーションをつとめていたのだが、軽すぎる。
その軽いキャラクターを生かすためか、ラストで安五郎の人生を軽んじるような語りをさせた。
ミスシナリオではないか。

このシリーズでは、本編の前後にNHKの小野アナウンサーと山本晋也が解説をする。
そこで山田洋次の次のような言葉が紹介された。

「映画が完成して、私が通して見ると、ぜんぜん笑えない。失敗作かと思っていたが、劇場へ足を運ぶと、客が大笑いしていた。良かったんだと思った」

私も1回も笑えなかった。
おもしろおかしいところはたくさんあるのだけれど、声を出して笑うような場面はなかった。
それでもいい作品だと思う。

最後にタイトルだが、「馬鹿まるだし」は映画会社がつけたもので、山田洋次監督はいやがってかなり抵抗したらしい。
会社には馬鹿シリーズを作っていくという思惑があったらしいが、このタイトルはいただけない。
この映画にまったくふさわしくないだけでなく、この映画のテーマを台なしにしている。
映画会社がこのようなセンスでは当時の日本映画のレベルが知れようというものだ。

*馬鹿シリーズは3作あるみたいだ。残りの2つを見るとまたちがった感想になるのかも。

◆ アオサギ(コウノトリ目サギ科アオサギ属) ◆
アオサギ 2012.12.11撮影
あまり撮ろうとは思わないアオサギだが、また撮ってしまった。日光浴しているアオサギ物思いにふけってるアオサギのように静的なものから、第3弾は今にも餌に飛びつこうとしているダイナミックなものだ(自己評価)。直前に撮ったゴイサギと同じ場所。生活水路が川に合流する場所で、餌が豊富なのだろう。人への警戒心が薄くなるみたい。かなり近くから撮影できる。それで私のようなものでもけっこうピントのあった写真が撮れる。

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