2022年12月27日火曜日

映画「ラーゲリより愛を込めて」 「旧ソ連の暴虐」は確かにひどかったが、旧日本の暴虐はどうなのか

日本映画「ラーゲリより愛を込めて」が上映中だ。

11月4日付の赤旗日曜版に「旧ソ連の暴虐に抵抗」「主人公が伝えた希望」などの見出しがついて、1ページ全面にわたって、映画の主人公の息子さんが「父を語る」記事が掲載されていた。

つまり、実話だ。

辺見じゅんという作家が書いた「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」が原作で、この作品は講談社ノンフィクション賞(1989年)と大宅壮一ノンフィクション賞(1990年)をダブル受賞している。
1993年にはテレビドラマにもなったそうで(マンガにもなっている)、私は何も知らなかった。

2022年12月13日火曜日

コロナ感染、日本は第8波も世界最多水準。それでも政府は無為無策どころか・・・

前回の投稿では、コロナ感染第7波の状況について述べた。

感染者数・死者数とも世界最多だったという衝撃的な事実が、赤旗もふくめてどうして大きな話題にならないのだろうかと首をひねっていた。

赤旗に次のような記事が掲載された。

赤旗 2022.12.9付

2022年11月11日金曜日

コロナ第7波では、感染者・死者とも日本が世界最多だったという衝撃

赤旗 2021.12.26付
コロナの第7波感染状況の推移を見ていて、どうも合点がいかないことがある。

赤旗には、毎週日曜日に右表のようなジョンズ・ホプキンス大学のデータが載る。
直近4週間のデータ集計というところに注意が必要だが、なぜか赤旗にはこの表を国際面に載せるだけで、ここではこの世界の感染状況についての論評がいっさいない。

右表は昨年末の状況だが、日本の感染死者数は世界の中でも極端に少ない。
15位(表の最下位)のイタリアと比較しても100分の1だ。
致死率も0.7%と非常に低い(ちなみにフィリピンの致死率は40%!?)。
とはいえ、死者数トップのアメリカの致死率も1.0%なので日本とたいして変わらない。

この表はその国の人口を無視しているので注意が必要だ。

この世界16位ランクに日本が初めて入ったのは今年3月5日現在で11位だった(死者5475人)。
その後上がり下がりしながらも常に16位圏内を維持し続け、8月20日現在においては、米国ブラジルに続いて3位の地位を占めるにいたった。
さらに、感染者数においては、8月6日現在において、すでにアメリカを抜いて世界トップの座に躍り出ているのだった。

このあたりの衝撃的な実態はどの程度国内でニュースになったのだろう。

死者数は、8月27日現在では米国に次いで2位になり、以降7週連続2位をキープしている。

毎週日曜日に赤旗を開いてこの表を見ながら、今週も日本のコロナ死者数は世界で第2位!
人口あたりでみると、日本の死者数をざっと3倍(アメリカの人口は日本の3倍弱なので)すれば毎週アメリカを抜いて世界1位ではないか! とひとり驚きの声を上げる。

その驚きは、私の周りではいっさい聞こえてこない。
7時のNHKニュースでも聞いたことがない。

赤旗でさえ、上述したように表を載せるだけで、「ついに日本はコロナ感染者、死亡者とも世界で最多に!」とかいった見出しや解説はないのだ。

確認のために、面倒とは思いながら赤旗の表を元にして自分で推移の表を作ってみた。
まず死者数だ。











8月下旬から10月上旬にかけて日本はずっと米国に続いて死者数は2位だ。

国別の二酸化炭素排出量とかGDPとかいろいろな指標があるが、これらの中には人口あたりで比較しなければ大きな誤解を生むものがある。
このコロナによる死者数や感染者数も人口あたりでで比較しないと正確な姿は見えてこないと思うので、上記表を人口10万人あたりで計算し、その多い順に並び替えてみた。
人口はELEMINISTというサイトから最新と思われる2022年のものを使用した。




この人口あたりの表は、実数で上位16カ国のみを対象にしたものだから、現実には16位以内に他の国がいくつも入ってくることはあるだろう。
(例えば人口100万の国で死者が100人出たら、実数では16位の圏外だが、人口10万人あたりでは10人の死者になり、1位か2位になる)

米国はパンデミック以来、死者数の首位を2~3回ブラジルやロシアに譲ったことはあるが、ほぼ一貫して世界トップの座は揺らいでいない。
が、この上記期間、人口比で見ると一度も首位になったことはない。

かつて優等生と思われていた台湾がトップになっていることや、オーストラリアやフィンランドなどが世界一なんてのも意外だ。

日本はというと、9月17日現在においてはまさにトップだが、それを挟んで1カ月ぐらいは死者数において世界最多だったといってもいいのではないか。
直近4週間の数字なので、実質2カ月近くはオーストラリアと並んで世界一の死者数を出していたといえるだろう。

次に同じ方法で同じ期間の感染者数を見てみる。
赤旗の表の感染者の欄でソートした。






この16カ国は死者の多い上位16カ国のみなので、感染者においては、実際にこの16カ国以外に16位以内に入る国はいくつかあるだろうことに留意。

感染者数は実数においては日本が世界最多を3カ月ぐらい続けていたようだ。
驚くべき実態ではないだろうか。
日本中が大騒ぎになってもおかしくないと思うのだが。

それでも人口あたりで見てみないと本当のことはわからないと思って、死者数と同じように10万人あたりの感染者数を計算して、多い順にソートしてみた。



人口あたりで見ると、日本が世界最多だったのは8月20日現在のみだったが、前後2カ月ぐらいはまあ世界最多の国の一つといっていいだろう。

つまり、コロナ感染第7波においては、日本は死者数、感染者数とも2~3カ月間世界最多が続いている国だったのだ。

麻生太郎はこれでも「民度のレベルのちがいだよ」などと言うのだろうか、聞いてみたい。

この期間、日本のコロナ禍はどのようなものであったのか、赤旗記事の見出しをいくつか抜き出してみる。

8月12日 感染 累計1500万人 厚労省助言組織「医療体制の深刻化懸念」
8月12日 高齢者施設 クラスター最多 現場悲鳴「政府無策・弱者が犠牲」
8月17日 救急搬送困難 3週連続最多
8月18日 繰り返される医療逼迫 背景に絶対的な医師不足
8月20日 死者増と医療体制懸念
8月27日 コロナ「第7波」医療・介護・保健所の苦悩 次々

赤旗は死者や感染者が世界最多になったことについてはあまり大きく報道してはいないが、具体的なコロナ禍の惨状についてはけっこう力を入れて報道している。

この危機的状況下、政府はどのような対策をとってきたのか。

参院選後の岸田改造内閣が発足した日(8月10日)の首相の記者会見について赤旗は次のように報道した。
赤旗 2022.8.12付


8月10日といえば、上記表を見ればわかるように、日本の死者、感染者がともに世界最多のフェーズに入った時期ではないか。
ひどすぎる。
赤旗 2022.9.27付

さらには、9月26日にはあの「GO TO トラベル」を10月11日から始めると発表し、事実その通り始めた。
9月26日といえば、死者、感染者ともに世界最多の真っ最中の時期だ。



さらにさらに、入国時の水際対策を大幅に緩和すると発表。
赤旗 2022.8.28付
正気か?
安倍の国葬のことで頭がいっぱいだったのだろうか。

8月27日には感染者の全数把握の見直しを全国一律で導入と発表。
感染者数を少なく見せたい?

9月7日、感染者の療養期間の短縮をこの日から実施すると厚労省が発表。
科学軽視の乱暴な決定だと全日本民主医療機関連合会の会長(増田剛)は言っている。

きわめつけは、10月3日の国会での所信表明演説だ。
コロナについては次のように述べた。

「3年ぶりに、緊急事態宣言等の行動制限を行わずに、今年の夏を乗り切れたのは、国民の皆様お一人おひとりが、基本的な感染対策を徹底してくださったおかげです。
また、日々の感染リスクがある中で、医療、福祉の現場を支えていただいている方々に、厚く御礼申し上げます」

「今年の夏を乗り切れた」って?
気は確かか?

国民の感染対策のおかげ? 医療・福祉の現場の方々に感謝?
おまえはいったい何をしたのかって話だろう。

と怒りのためについ下品になってしまう。

今、第8波が襲ってこようとしている。
第7波を超える状況になるのではという専門家の声が多い。
岸田政権で国民の命は守れるのか。
自民党のコロナ対策本部長はあの瀬戸際大臣として名をはせた山際元経済再生担当相だ。
統一協会問題でグチャグチャの自民党政権はコロナ対策でも無為無策。
無為無策ならまだしも、いまだに病床削減に固執して実行しているしまつ。

これからも国民の一人ひとりが基本的な感染対策を徹底するしかないのか。
コロナ感染で医療も受けられずに死んでも自己責任ってワケだな。

国は何をなすべきか、岸田は今日の赤旗を読めといいたい。

赤旗 2022.11.11付



冒頭「合点がいかない」と述べたのは、この第7波の危機的状況をなぜメディアがきちんと取り上げなかったのかということだった。

今回のブログをアップするにあたって、ネットで検索してみたら、Yahoo!ニュースで「コロナ、日本が7週連続世界最多 新規感染、死者数は2番目」(9月8日)や産経が「日本、10週連続で世界最多 新型コロナ感染者数」(9月29日)などと報道していることがわかった。

私が勝手に合点がいかなかっただけなのかもしれない。


◆ サラサウツギ(アジサイ科ウツギ属)◆

サラサウツギ 2018.5.21撮影 近くの川土手の植え込み
何度も歩く散歩コースだが、このように美しく咲いていた時期があったのかと初めて知った思い。何とかネットで調べてサラサウツギという落葉低木だと同定した。ウツギの園芸品種

2022年3月5日土曜日

日本の民間企業が1000万という中国人を死に追いやった痕跡、万人坑の戦慄

大同炭鉱万人坑遺跡記念館・無名労働者の墓碑
万人坑、字義通りなら万単位の人が埋まっている穴という意味だ。

私がこの言葉の真の意味を知ったのは、30歳頃に読んだ本多勝一の「中国の旅」だった。
この本では、日本軍が中国大陸で何をやってきたかが網羅的に取り上げられていて、万人坑についてもけっこうくわしく書いてある(文庫本30ページ分で、写真もかなり掲載)。
しかし、南京大虐殺や100人切り競争、平頂山事件、731部隊、三光作戦などといった蛮行についてほどは以後あまり関心を払ってこなかった。

ところが、日中友好協会が発行している日中友好新聞が昨年1年間連載した「中国本土に現存する万人坑と強制労働現場を訪ねる」を読んで、その悪魔の所業のすさまじさにあらためて慄然とした。

2022年2月26日土曜日

国際ホロコースト記念日 ②日本では

1月27日の国際ホロコースト記念日に、日本が関連行事をしたとかなにがしかの反応を示したとかいう話ではなく、この時期に日本ではどのような歴史認識をめぐる動きがあったかを書いておきたい。

佐渡島金山 世界文化遺産推薦をめぐって

佐渡金山 2017.10.1筆者撮影
佐渡島金山を世界遺産に推薦しようとする動きは、新潟選出の国会議員を中心として2015年ぐらいからあったらしいが、政府は慎重な態度を崩さず、今回も見送る方針でいた。

それが急きょ推薦する方向で検討に入り、今年2月1日、閣議決定された。

くわしい経過は「佐渡金山、歴史的価値はそっちのけ 世界遺産推薦の舞台裏にただよう政局と外交の思惑」などを見てほしい。

概略は次のようだ。

2022年2月22日火曜日

国際ホロコースト記念日 ①世界では

ホロコースト記念碑(ベルリン)
1月27日は国際ホロコースト記念日だった。

Wikipediaには次のようにある。

2005年11月1日、国連総会はナチス・ドイツ政権により、600万人以上のユダヤ人、20万人のロマ人、25万人の身体及び精神障害者、1万5千の同性愛者が迫害され大量に殺害されたホロコーストを確認し、憎悪、敵対感情、人種差別、偏見がもつ危険性を永遠に人々に警告することを目的とした国際連合総会決議60/7を採択した。
1月27日はアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所がソ連軍によって解放された1945年1月27日を基準としている。

「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」ともいう。
つまり、あのホロコーストを決して忘れまいと世界中で毎年確認する日だ。
この日の前後、世界各地で記念行事が行われている。

2022年2月5日土曜日

岸田首相の公約「新自由主義からの転換」は何だったのか

岸田文雄 2021.9.3

自民党の総裁選からはや4カ月。

政権党とはいえ、そしてその総裁が自動的に日本の総理大臣になるしくみとはいえ、あくまで一政党の党首選である。

それが電波ジャックともいえるような状況で毎日毎日総裁選を垂れ流すテレビ報道の中で、最も注目を引いたのが岸田の「新自由主義からの転換」発言だった。

2年前に拙ブログ「『自助・共助・公助』と言い続ける管首相の無知蒙昧」で、世界は新自由主義からの転換をめざしているのに、相変わらず管首相は「自助・共助・公助、そして絆」などとトンチンカンなことを言っていると書いた。

しかし、ここにきてついに日本でも「新自由主義からの転換」と言い出す党首候補(実質首相候補)が現れた!?

本当かいな、とにわかには信じがたかった。

2022年1月16日日曜日

今でも原発に固執する日本に未来はあるか

2015年にドイツのメルケル首相が来日したとき、彼女の記念講演が朝日新聞社の浜離宮朝日ホールで行われた。

(ああ、メルケルは2021年12月8日に首相を退任し、政界を引退したのだった)

その記念講演と講演後の質疑応答のすべてはドイツ大使館のHPに掲載されている。
その中から原発問題に関する部分を抜き出してみる。

――ここからメルケルの講演会(2015/3/9)からの引用

2015.3.9 メルケルの来日記念講演

次に政治と女性の問題です。
例えば、脱原発の決定という場合には、男性か女性かという違いは関係ないと思います。
私は長年、核の平和利用には賛成してきました
これに反対する男性はたくさんいました。そうした男性たちは今日では、私の決定が遅すぎたと言っています。

2022年1月11日火曜日

鳥類研究者・宮城秋乃には起訴状ではなく感謝状を送れっての(沖縄の米軍廃棄物問題)

確実な抑止力の維持といって、安倍政権以来アメリカ・米軍に対する卑屈さが際立っている。
最近の米軍基地を由来とするコロナ・オミクロン株の感染拡大でさえ、米軍に断固とした要請は「日米関係の抑止力は必要というのが政府の判断。毀損するようなことは判断しない」などと山際担当相が言うしまつ。
赤旗 2022.1.9付
他にも核兵器禁止条約への否定的態度、敵基地攻撃能力保持とか、狂気といってもいいようなアメリカ従属の事例はいくらでもあるが、今回の投稿は、なぜか赤旗でもほとんど報道されていない話題だ。
沖縄の新聞では大きく報道されているが、本土の一般紙ではどうなのだろう。