赤旗で見るかぎり、自民、公明、民主、維新、みんなの各党の賛成とあるから、共産党以外すべてが賛成したのだろう。
と思って、ネットで委員会のメンバーを調べてみた。
自民28名、公明3名、民主5名、維新5名、みんな2名、共産1名、無所属1名の計45名だ。
無所属の1名は阿部知子だった。
阿部知子といえば、昨年末の総選挙時に社民を離脱して未来の党というわけのわからない党に合流し、その代表になったにもかかわらず、今はみどりの風の代表代行にもなっているというチンプンカンプンわからん人だ。
阿部知子がこの委員会で生活保護法改悪案に賛成したのか反対したのかわからない。
彼女のホームページを見ても、最後の更新が5/30で、この衆院委での論戦がまったく見えない。
腐っても鯛ではないが、阿部知子ともあろう人が、自分のホームページで、自分が所属している衆院委の今ホットに論議されてきた事柄にまったく触れていないというのはどういうことだろう。
「あべともこと共に歩む会」というブログがあったのでのぞいてみた。
5/29から6/1まで毎日更新しているが、そこにも衆院委でのことが一言もない。
ぜんぜん共に歩んでいないではないか。
阿部知子の国会議員としての活動は衆議院厚生労働委員会の一員としての活動がメインではないのか。
その活動のようすがホームページにも後援会のブログにも一言も触れられていない。
まさにチンプンカンプンだ。
そこでホームページに載っている阿部知子事務所の連絡先に電話して聞いてみることにした。
13時前だったが、電話に出てきた男性に5/31の衆院委において生活保護法改悪案に阿部知子は賛成したのか反対したのかと単刀直入に質問した。
その男性は、ちょっとしどろもどろになり、それは反対したでしょうよみたいなことを言う。
私がはっきり知りたいのですがと突っ込むと、秘書が5時過ぎに帰ってくるからそのときにまた電話してくれと言う。
それではあなたは何者ですかと問うと、この事務所を手伝っていると言う。
もう少し突っ込んでみようかとも思ったが、受話器を置いた。
共産党なら知っているだろうと思い、赤旗の編集局に電話した。
委員会の採決のようすは、会派ごとの賛否はわかるのだが、無所属は個人個人の態度だから、委員会に出席している人が、その人がどうしたかを見ていないとわからないという。
電話で応対してくれた男性は、採決前は阿部知子はどうするのだろうかと秘書たちとも話題になったが、実際どうだったかは聞いていないらしい。
共産党の委員は高橋ちづ子ひとりだ。
今日は日曜日で、国会の議員室が閉室なので、明日電話して高橋議員に直接聞いてみてほしいといわれ、電話番号(03-3508-7506)を教えてくれた。
この生活保護改悪案が閣議決定されたとき、自公は人間の血が流れていないことが証明されたのだが、今回の衆院委の可決で、民主、維新、みんなも人間の血が流れていないことがわかった。
さて阿部知子はどうなのだろうか。
それも今日の17時過ぎにわかる予定だ。
で、17時15分に阿部知子の事務所に電話した。
「はい、阿部知子事務所です」
「お昼にも電話したのですが、31日の衆議院厚生労働委員会で審議・採決がされた生活保護改悪法案の件ですが、阿部知子さんは賛成だったのか反対だったのか教えていただきたいのです」
「はあそうですか。こちらは藤沢の地元の事務所なのでちょっとわかりません。国会事務所の方に連絡してもらえませんか」
「そちらは地元の事務所なんですか」
「国会でいつどんな審議がされたかという具体的なことはこちらではよくわからなくて、おそらく反対しただろうと思うのですが、正確な情報を持っていませんので、そういうことは国会事務所でわかっているのでそちらへ問い合わせていただけますか」
ここで赤旗編集局と同じように、今日は日曜でやっていないが、明日の10時以降に国会事務所へ電話するよう電話番号(03-3508-7303)を教えてくれる。
しかしこのままではちょっと引き下がれない。
「あなたはその事務所でどういう身分であり、阿部知子の何なんですか」
「阿部知子の秘書です」
「阿部知子は厚生労働委員会の委員ですよね」
「はい」
「彼女はその委員会でただひとりの無所属議員ですよね」
「はい」
「その委員会で5月31日に生活保護改悪法案の審議・採決がされているんですよね」
「反対したとは思うんですけども、正確にどうだったのかに関してはこちらでは把握しておりませんので」
「私が不思議に思うのは、阿部知子の秘書がそれを把握していないのはどうしても理解できないんですけどもね。なぜ把握していないんです」
「それをいわれても困るんですが」
「阿部知子の一番大切な国会活動ではないんですか」
「はい、いろんな法案にたいして…」
「いろんな法案といったって、厚生労働委員会で今やってる法案というのはそれなのに、どうして秘書であるあなたがそれを把握していないのか、どう考えても理解できないのですが」
「どういう論点でどういう形で賛成したのか反対したのかということも含めまして、反対したことはまずまちがいないと思うのですが」
「まずまちがいないという言い方ですね」
「はい」
ここで大きなため息が出てしまった。
「よくわからないですけれども、わかりました。また明日国会事務所へ電話させてもらいます」
といって電話を切った。
けっきょく今日は阿部知子に人間の血が流れているかどうかは確認できなかった。
わかったことは、阿部知子の側近たちは、阿部知子が国会で何をしているのかよく知らないことと、生活保護法が改悪されようとしている情勢などにも無関心だということ。
この政治団体(未来の党またはみどりの風)に未来はあるのだろうか。
この改悪法案は4日に衆院本会議で採決されて参院に送られる予定らしい。
人間の血が流れていない議員がどれだけ増えるのだろう。
阿部知子の件は、国会事務所に問い合わせた結果を後日報告することにする。
そもそもこの投稿で阿部知子のことを書く気はまったくなかったのに、思わぬ展開になってしまった。
◆ アカメモチ(バラ科カナメモチ属) ◆
アカメモチ 2013.5.5撮影 |
生活保護改悪案 高橋議員が追及
申請書類提出 義務づけるな
「“水際作戦の合法化”ではないか」――。29日の衆院厚生労働委員会で生活保護法改悪案の撤回を求めた日本共産党の高橋ちづ子議員。最後のセーフティーネットである生活保護から国民
を締め出す重大な問題点が浮き彫りになりました。
法の基本理念変えぬと答弁
高橋氏は憲法25条(生存権)に基づいた生活保護法の基本理念は変わっていないのかと確認。田村憲久厚労相は「憲法の権利を具現化するセーフティーネットが生活保護制度。根幹は何も変えていない」と答弁しました。
誰にでも受ける権利はある(無差別平等)、個々の事情を顧みず機械的な対応をしない(必要即応)―という生活保護の大原則についても、桝屋敬悟厚労副大臣は「何ら変わらない」と答弁しまし
た。
「水際作戦」の合法化になる
ところが法案では、これまで生存権を守る立場から口頭でも申請を受け付けていたのを、申請書や内容を証明する書類の提出を義務付けます。高橋氏は、今でも申請にまでたどりつける割合は49・7%(2011年)と半数以下だと指摘。日弁連も「水際作戦を合法化させる」と批判していることを挙げ、義務付けをやめるべきだと求めました。
高橋 書類がそろわないと保護は受け付けないのか。
村木厚子社会・援護局長 実際の運用を変えることは一切ない。そろわないと受け付けないものではない。
高橋 変わらないのなら、書かなければいい。法律に書いたわけだから義務になる。
高橋氏は、福岡県北九州市の餓死事件では、申請を締め付ける「水際作戦」が判決(09年)で断罪されたことを指摘。申請したくても半分以上が書類にさえたどりつけない実態を挙げ、「水際作戦の合法化ではないか」と追及すると、田村厚労相は「それは不適当な対応だ」と答えざるをえませ
んでした。
「扶養義務」を強め締めつけ
改定案は、親兄弟などが扶養義務を履行していない場合は、扶養義務があることを通知したり、「報告を求めることができる」ことなどを盛り込んでいます。
村木局長は、「必ず扶養できる人に限って行うものだ」とし、収入などの調査についても、「本人同意がない場合は適当でない」と答えました。
高橋 現場ではかなりのことがやられている。大学に通う19歳の学生に姉の扶養義務の照会がきた事例もある。家族の絆、親族の関係もみんな壊れる。
村木 家族の問題に行政が踏み込んでいくのは相当慎重にしなければならない。
高橋 国会で取り上げられてから、申請をためらうケースが増えるなど、すでに「アナウンス効果」が抜群に発揮されている。
高橋氏は、札幌市の女性がニュースを見て「簡単には受給できないだろう」と考えて母親と心中を図った例を紹介、申請の締め付けになるとただしました。
田村厚労相は、「心配の点は各自治体に通知し、ご懸念のない形ですすめる」と答弁。高橋氏は、国内の餓死者(栄養失調と食糧不足による死者の合計)が2000年の1314人から11年の1746人に増加していると指摘(表)し、「これほどの経済大国・日本で餓死者がこれだけいるということは非常に重大だ」と強調しました。
また、いわゆる「不正受給」は生活保護受給額全体の0・5%にすぎず、申告漏れなど悪意のないものがほとんどだと指摘。「生活保護申請の却下との関連も含めて調査し、こうしたことが起こらないようにすべきだ。保護のハードルを下げてまず命を守る姿勢に転換すべきだ」と主張しました。
2013.5.30 赤旗
安倍・自公政権が十分な審議も抜きに強行採決しようとしている生活保護改悪案。閣議決定(17日)以来、日本弁護士連合会など各団体から廃案を求める声が強まっています。その最大の問題点は、申請時の書類提出を義務付け、違法な「水際作戦」(申請排除)を合法化することです。
批判の高まりを受け、民主党は29日に修正案を出し、自公、みんな、維新の5党で合意しました。しかしその内容は「特別の事情があるときは、この限りでない」とのただし書きを付け加えるだけ。
必要書類がなければ申請を受けつけない原則を法律で定め、申請者を入り口で締め出すという改悪案の本質は変わりません。
改悪案はさらに、福祉事務所に扶養義務者に対する調査権限を付与。生活保護の要件ではなかった親族の扶養(仕送りなど)を事実上の要件にします。
親、子、きょうだいなどの親族は自分の資産や収入についての報告を行政に求められ、銀行や勤め先にまで照会をかけられます。親族が扶養を強いられる圧力となり、家族間のあつれきを引き起こしかねません。生活保護の辞退にもつながります。著しい申請権の侵害です。
生活保護利用者のプライバシーに踏み込む問題点も含まれます。健康の保持・増進や、収入・支出などの生計の状況を適切に把握することを、利用者の責務として新たに課していることです。
健康管理に問題がある場合に必要なのは専門的な支援や治療です。一方的に利用者に責務を課して指導・支持すれば、個人の抱える困難をさらにこじれさせる恐れがあります。家計の支出内容にまで踏み込む人権侵害の指導が行われる危険もあります。
改悪案と一体で提出された生活困窮者自立支援法案は、生活保護の利用者削減という一つの目的の達成を狙うものです。中核となる「相談支援事業」は、具体化が自治体に丸投げされ、必要な相談・支援がされる保証はありません。生活保護も「相談支援」も受けられない貧困層を拡大するだけです。
生活保護の入り口で利用を妨げ、利用者をさらに締め付けるのが今回の法案です。「最後のセーフティーネット」まで破壊して国民の生存権を否定する安倍内閣の暴走です。 (鎌塚由美)
2013.5.31 赤旗 志位委員長が会見
日本共産党の志位和夫委員長は30日に国会内で記者会見し、自民、公明、民主などが生活保護改悪法案を一部「修正」のうえ、31日にも委員会採決を強行しようとしていることについて、「いまでも多くの方の(生活保護の)受給権がはく奪され、餓死・孤独死という状況が起こっています。その改善こそ早急に取りくむべきなのに、逆に憲法25条に基づく受給権をはく奪するのは断固として許すわけにいかない。最後まで廃案を目指し奮闘したい」と表明しました。
このなかで志位氏は、改悪法案の最大の問題点は、「役所が生活保護を申請する際の書類提出を義務付け、窓口で追い返す『水際作戦』を合法化することにあります」と強調しました。
そのうえで「修正」案について「特別の事情があるときは、この限りではない」というただし書きをつけ加えただけだと指摘。「それを判断するのは役所であって、何の歯止めにもなりません。
法改悪の根幹にまったく手をつけない、姑息(こそく)な『修正』案を明日にも委員会で採決を強行しようとしている。絶対に許されません」と厳しく批判しました。
志位氏はまた、“不正受給対策”が法改悪の理由にされていることについて見解を問われ、「不正受給は、全体の0・5%です。99・5%は適正に執行されています。むしろ権利を持ちながら、受けている人が2割程度で、捕そく率が低いことが問題です」と強調しました。「受給権を保障するために“手続きの簡略化こそ必要だ”と国連からも指摘されています。そういう前向きな対応こそ必要です」と述べました。
2013.5.31 赤旗 主張
生活困窮に陥った人たちの生活保護からの締め出しにつながる改悪案について、自民、民主、公明、みんなの4党が、申請の条件を厳しくする政府案の「修正」で合意し、今国会で成立させる動きを一気に加速させています。4党の「修正案」は、保護が必要な人の権利を制限する改悪案の危険な本質を変えるものではありません。国民の生存権を保障する生活保護の理念を破壊する大改
悪を強行する暴走は絶対に認められません。
危険な本質変わらず
1950年施行の生活保護法の本格改定は今回初めてです。安倍晋三政権が提出した改悪案は、60年以上にわたり国民の最低生活を守り支える役割を果たしてきた生活保護の本来のあり方を大本からゆがめ、掘り崩す重大な内容です。
その象徴が、収入の道が断たれて福祉事務所に救いの手を求めてきた人たちを追い返すことを合法化できる条文の新設です。現行法では、保護が必要な人は口頭でも申請できたのに、改悪案では申請者が通帳や給与明細などを提出しないと申請すら受け付けないとしたのです。
いま全国各地の福祉事務所では、さまざまな理由をつけて申請書を渡さない違法な“水際作戦”が横行しています。この違法を「合法」に転化する改悪案に、日本弁護士連合会や貧困者支援に取り組む市民・法律家の批判が集中したのは当然です。
4党の「修正案」は、書類提出を義務づける改悪案の本質をなんら変えていません。「特別の事
情」のある人だけを例外にするという規定を設けただけです。「特別の事情」にあたるかどうかは、福祉事務所の判断に委ねられることになるため、「あなたは書類を出せるだろう」と一方的に決めつけられ、申請が拒否される危険があることは明らかです。
「修正案」では、扶養義務者にたいする福祉事務所の調査権限強化の条文は一言一句修正されていません。保護を望む人が「親兄弟に迷惑かけたくない」と申請をあきらめてしまう事態はますます広がりかねません。こんな「修正」を加えただけで、大改悪に同調する民主党などの責任は重大です。
生活保護法改悪案とセットで提出されている生活困窮者自立支援法案は、生活保護受給者を無理やりに抑制する手段に使われかねないもので、強行は許されません。
この2法案と同時に審議されている「子どもの貧困対策法案」は、子どもの貧困対策のために必要な措置を国に講じることを求める意義ある法案です。しかし、子どものいる困窮世帯までも制度から締め出しかねない生活保護法大改悪とは絶対に相いれません。実効性ある「子どもの貧困対策法」実現のためにも、生活保護法改悪案は廃案にすべきです。
生存権保障の充実こそ
生活保護受給者が210万人を超えたことをもって政府は保護費削減と受給者減らしを叫びますが、本末転倒です。受給者が増えたのは財界・大企業のすすめる雇用破壊や、低賃金、低年金など政府の失政がもたらした結果です。200万人以上の命と暮らしを支えている「最後の安全網」をお荷物扱いする国に未来はありません。憲法25条が掲げる生存権が名実ともに保障される制度へ充実・改善を求めるたたかいが急がれます。
を締め出す重大な問題点が浮き彫りになりました。
法の基本理念変えぬと答弁
高橋氏は憲法25条(生存権)に基づいた生活保護法の基本理念は変わっていないのかと確認。田村憲久厚労相は「憲法の権利を具現化するセーフティーネットが生活保護制度。根幹は何も変えていない」と答弁しました。
誰にでも受ける権利はある(無差別平等)、個々の事情を顧みず機械的な対応をしない(必要即応)―という生活保護の大原則についても、桝屋敬悟厚労副大臣は「何ら変わらない」と答弁しまし
た。
「水際作戦」の合法化になる
ところが法案では、これまで生存権を守る立場から口頭でも申請を受け付けていたのを、申請書や内容を証明する書類の提出を義務付けます。高橋氏は、今でも申請にまでたどりつける割合は49・7%(2011年)と半数以下だと指摘。日弁連も「水際作戦を合法化させる」と批判していることを挙げ、義務付けをやめるべきだと求めました。
高橋 書類がそろわないと保護は受け付けないのか。
村木厚子社会・援護局長 実際の運用を変えることは一切ない。そろわないと受け付けないものではない。
高橋 変わらないのなら、書かなければいい。法律に書いたわけだから義務になる。
高橋氏は、福岡県北九州市の餓死事件では、申請を締め付ける「水際作戦」が判決(09年)で断罪されたことを指摘。申請したくても半分以上が書類にさえたどりつけない実態を挙げ、「水際作戦の合法化ではないか」と追及すると、田村厚労相は「それは不適当な対応だ」と答えざるをえませ
んでした。
「扶養義務」を強め締めつけ
改定案は、親兄弟などが扶養義務を履行していない場合は、扶養義務があることを通知したり、「報告を求めることができる」ことなどを盛り込んでいます。
村木局長は、「必ず扶養できる人に限って行うものだ」とし、収入などの調査についても、「本人同意がない場合は適当でない」と答えました。
高橋 現場ではかなりのことがやられている。大学に通う19歳の学生に姉の扶養義務の照会がきた事例もある。家族の絆、親族の関係もみんな壊れる。
村木 家族の問題に行政が踏み込んでいくのは相当慎重にしなければならない。
高橋 国会で取り上げられてから、申請をためらうケースが増えるなど、すでに「アナウンス効果」が抜群に発揮されている。
高橋氏は、札幌市の女性がニュースを見て「簡単には受給できないだろう」と考えて母親と心中を図った例を紹介、申請の締め付けになるとただしました。
田村厚労相は、「心配の点は各自治体に通知し、ご懸念のない形ですすめる」と答弁。高橋氏は、国内の餓死者(栄養失調と食糧不足による死者の合計)が2000年の1314人から11年の1746人に増加していると指摘(表)し、「これほどの経済大国・日本で餓死者がこれだけいるということは非常に重大だ」と強調しました。
また、いわゆる「不正受給」は生活保護受給額全体の0・5%にすぎず、申告漏れなど悪意のないものがほとんどだと指摘。「生活保護申請の却下との関連も含めて調査し、こうしたことが起こらないようにすべきだ。保護のハードルを下げてまず命を守る姿勢に転換すべきだ」と主張しました。
2013.5.30 赤旗
生存権侵害の暴走
申請者しめ出し 利用者しめつけ
「廃案に」声強まる
安倍・自公政権が十分な審議も抜きに強行採決しようとしている生活保護改悪案。閣議決定(17日)以来、日本弁護士連合会など各団体から廃案を求める声が強まっています。その最大の問題点は、申請時の書類提出を義務付け、違法な「水際作戦」(申請排除)を合法化することです。
批判の高まりを受け、民主党は29日に修正案を出し、自公、みんな、維新の5党で合意しました。しかしその内容は「特別の事情があるときは、この限りでない」とのただし書きを付け加えるだけ。
必要書類がなければ申請を受けつけない原則を法律で定め、申請者を入り口で締め出すという改悪案の本質は変わりません。
改悪案はさらに、福祉事務所に扶養義務者に対する調査権限を付与。生活保護の要件ではなかった親族の扶養(仕送りなど)を事実上の要件にします。
生活保護利用者のプライバシーに踏み込む問題点も含まれます。健康の保持・増進や、収入・支出などの生計の状況を適切に把握することを、利用者の責務として新たに課していることです。
健康管理に問題がある場合に必要なのは専門的な支援や治療です。一方的に利用者に責務を課して指導・支持すれば、個人の抱える困難をさらにこじれさせる恐れがあります。家計の支出内容にまで踏み込む人権侵害の指導が行われる危険もあります。
改悪案と一体で提出された生活困窮者自立支援法案は、生活保護の利用者削減という一つの目的の達成を狙うものです。中核となる「相談支援事業」は、具体化が自治体に丸投げされ、必要な相談・支援がされる保証はありません。生活保護も「相談支援」も受けられない貧困層を拡大するだけです。
生活保護の入り口で利用を妨げ、利用者をさらに締め付けるのが今回の法案です。「最後のセーフティーネット」まで破壊して国民の生存権を否定する安倍内閣の暴走です。 (鎌塚由美)
2013.5.31 赤旗 志位委員長が会見
生活保護の大改悪許すな
廃案めざし力つくそう
このなかで志位氏は、改悪法案の最大の問題点は、「役所が生活保護を申請する際の書類提出を義務付け、窓口で追い返す『水際作戦』を合法化することにあります」と強調しました。
そのうえで「修正」案について「特別の事情があるときは、この限りではない」というただし書きをつけ加えただけだと指摘。「それを判断するのは役所であって、何の歯止めにもなりません。
志位氏はまた、“不正受給対策”が法改悪の理由にされていることについて見解を問われ、「不正受給は、全体の0・5%です。99・5%は適正に執行されています。むしろ権利を持ちながら、受けている人が2割程度で、捕そく率が低いことが問題です」と強調しました。「受給権を保障するために“手続きの簡略化こそ必要だ”と国連からも指摘されています。そういう前向きな対応こそ必要です」と述べました。
2013.5.31 赤旗 主張
生活保護改悪「修正」
「安全網」破壊の暴走をやめよ
生活困窮に陥った人たちの生活保護からの締め出しにつながる改悪案について、自民、民主、公明、みんなの4党が、申請の条件を厳しくする政府案の「修正」で合意し、今国会で成立させる動きを一気に加速させています。4党の「修正案」は、保護が必要な人の権利を制限する改悪案の危険な本質を変えるものではありません。国民の生存権を保障する生活保護の理念を破壊する大改
悪を強行する暴走は絶対に認められません。
危険な本質変わらず
1950年施行の生活保護法の本格改定は今回初めてです。安倍晋三政権が提出した改悪案は、60年以上にわたり国民の最低生活を守り支える役割を果たしてきた生活保護の本来のあり方を大本からゆがめ、掘り崩す重大な内容です。
その象徴が、収入の道が断たれて福祉事務所に救いの手を求めてきた人たちを追い返すことを合法化できる条文の新設です。現行法では、保護が必要な人は口頭でも申請できたのに、改悪案では申請者が通帳や給与明細などを提出しないと申請すら受け付けないとしたのです。
いま全国各地の福祉事務所では、さまざまな理由をつけて申請書を渡さない違法な“水際作戦”が横行しています。この違法を「合法」に転化する改悪案に、日本弁護士連合会や貧困者支援に取り組む市民・法律家の批判が集中したのは当然です。
4党の「修正案」は、書類提出を義務づける改悪案の本質をなんら変えていません。「特別の事
情」のある人だけを例外にするという規定を設けただけです。「特別の事情」にあたるかどうかは、福祉事務所の判断に委ねられることになるため、「あなたは書類を出せるだろう」と一方的に決めつけられ、申請が拒否される危険があることは明らかです。
「修正案」では、扶養義務者にたいする福祉事務所の調査権限強化の条文は一言一句修正されていません。保護を望む人が「親兄弟に迷惑かけたくない」と申請をあきらめてしまう事態はますます広がりかねません。こんな「修正」を加えただけで、大改悪に同調する民主党などの責任は重大です。
生活保護法改悪案とセットで提出されている生活困窮者自立支援法案は、生活保護受給者を無理やりに抑制する手段に使われかねないもので、強行は許されません。
この2法案と同時に審議されている「子どもの貧困対策法案」は、子どもの貧困対策のために必要な措置を国に講じることを求める意義ある法案です。しかし、子どものいる困窮世帯までも制度から締め出しかねない生活保護法大改悪とは絶対に相いれません。実効性ある「子どもの貧困対策法」実現のためにも、生活保護法改悪案は廃案にすべきです。
生存権保障の充実こそ
生活保護受給者が210万人を超えたことをもって政府は保護費削減と受給者減らしを叫びますが、本末転倒です。受給者が増えたのは財界・大企業のすすめる雇用破壊や、低賃金、低年金など政府の失政がもたらした結果です。200万人以上の命と暮らしを支えている「最後の安全網」をお荷物扱いする国に未来はありません。憲法25条が掲げる生存権が名実ともに保障される制度へ充実・改善を求めるたたかいが急がれます。
締め出しの道具になる
質問する高橋ちづ子議員 31日、衆院厚生労働委 |
高橋氏は、与党と修正案を共同提出した民主党もこれまで、“水際作戦”につながるため保護申請時の書類提出の義務付けの削除を主張していたことを示し、なぜ削除しないのかと迫りました。提出者の山井和則議員(民主)は「政府は運用を変えないとしている」と答弁。高橋氏は「まるで政府のようだ。質問での指摘はなんだったのか」と批判しました。
高橋氏は参考人質疑で、現在でも就労を迫ったり、扶養義務をたてにした受給抑制が横行している実態が出されたことを指摘。「別れた夫や縁を切られた子どもにまで連絡が行くのは困ると保護をあきらめる実態をこれまで多く見てきた」と述べ、扶養義務者に対する福祉事務所の調査権限の強化を削除するよう主張しました。
さらに、高橋氏は一体で提出された生活困窮者自立支援法案は、生活保護を受けるべき人でもまず自立支援相談事業に回される危険性があると指摘。桝屋敬悟厚労副大臣は「(自立支援と保護で)しっかりと連携していく」と答えました。
高橋氏は、この法案が、「低賃金でもとりあえず就労」「手当より仕事」など、働きたくても働けない実態を無視して押し付け、生活保護からの追い出しと水際作戦のツールとなると批判しました。
2013.6.1 赤旗 衆院厚労委 参考人が批判
生活保護法の根幹を前近代的に改悪
衆院厚生労働委員会は31日、生活保護法改悪法案について参考人質疑を行いました。
朝日訴訟の会理事の朝日健二さんは「申請を抑制し、生存権を否定し、生活保護法の根幹を前近代的に改悪するもので断じて認められない」と強調。就労指導強化による生活保護からの追い出しとあわせて、「垣根を高くして寄せつけず、かろうじて寄っても門戸が非常に狭められる」と指摘しました。
生活保護水準は憲法25条の生存権保障に反するとした東京地裁判決を受けて引き上げられたことにふれ、生活保護基準の切り下げを批判するとともに、最賃など国民全体の生活水準を引き下げるとのべました。
自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛理事長は、20年間で3000人の生活保護申請に同行した経験を交え、窓口で申請を受け付けない「水際作戦」が後を絶たないことを告発。「扶養義務が強化されると、家族の所得や資産が丸裸にされてしまうと考え、確実に申請の抑制につながる」と指摘しました。「遺児と母親の全国大会」の緑川冬樹実行委員長は、「子どもの将来が生まれ出た環境に左右されない国に」とのべ、貧困率削減の明確化を求めました。
質問で日本共産党の高橋ちづ子議員は(提出を)義務化しながら「運用は変わらない」では矛盾しているし、機械的しめつけが強まると主張。稲葉氏は「ますます違法な水際作戦が広がり被害が出る」と答えました。
生活困窮者自立支援法について高橋氏は、保護からの追い出しと水際作戦につながると指摘。稲葉氏は「何でもいいから仕事を探して生活保護から出すことは精神疾患を発症することになりかねない」とのべました。
また「憲法25条がゆらいでいる」とのべた高橋氏に、朝日氏は「朝日訴訟の東京地裁判決文で小中信幸裁判官は『人間に値する生存』を保障することが判決のポイントだとのべていた。この点を大事に審議していただきたい」と訴えました。
生活保護問題対策全国会議のホームページから
生活保護制度について、国連社会権規約委員会から「申請手続の簡素化」「スティグマの払拭」について勧告がされました
日本の生活保護制度について、国連の社会権規約委員会より、「生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう」「スティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう」という勧告がされました。
現在、国により断行されようとしている、生活保護法改正法案(生活保護はねつけ法案)は、この国連勧告とは正反対の方向へ進もうというものです。
反対の声を、ぜひ地元の国会議員に寄せてください。
経済的、社会的および文化的権利に関する委員会
第50会期(2013年4月29日~5月17日)に採択された、日本の第3回定期報告書に関する総括所見
(訳文)
22.委員会は、締約国の高齢者、とくに無年金高齢者および低年金者の間で貧困が生じていることを懸念する。委員会は、貧困が、年金拠出期間が受給資格基準に達していない高齢女性に主として影響を与えていること、および、スティグマのために高齢者が生活保護の申請を抑制されていることをとりわけ懸念する。委員会はさらに、「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」で導入された改正により、多くの高齢者が無年金のままとなることを懸念する。(第9条)
委員会は、国民年金制度に最低年金保障を導入するよう締約国に対して求めた前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はまた、生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう、締約国に対して求める。委員会はまた、生活保護につきまとうスティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう勧告する。委員会は、締約国が、性別、収入源および所得水準によって細分化された高齢者(被爆者を含む)の状況に関する情報を、次回の定期報告書で提供するよう要請する。委員会は、高齢者の経済的、社会的および文化的権利に関する一般的意見6号(1995年)および社会保障についての権利に関する一般的意見19号(2008年)を参照するよう、締約国に対して求める。(日本語訳:社会権規約NGOレポート連絡会議)
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