赤旗2013.5.24付 |
もちろん私は暇だけはあるものの、体力も金もないので登れない。
5/23、三浦雄一郎がエベレスト登頂の史上最高齢記録を塗り替えた。
彼は70歳、75歳に続いて3度目の登頂だった。
これだけでも驚異的なことだが、彼は今回の登頂前に不整脈の手術を2回受けている。
まさに鉄人としかいいようがない。
山頂に到達したときには「世界最高の気分。80歳でまさか着くとは。ヒマラヤの景色が眼下に見える。ひじょうに美しい。頑張って、頑張ってたどり着いた」と語った。
この登頂成功のニュースをリアルタイムで見たとき、心からおめでとうと祝意を表すると同時に、無事に下山してこその登山だと彼の身を心配した。
しかし、登頂後の経緯をみていくと、最初に抱いた三浦に対する敬意にはだんだんと疑問符がつくようになっていった。
朝日新聞デジタル2013.5.25付 |
三浦の衰弱が激しく、命の危険があったのでこの選択は正しいと思う。
しかし、このような登山は記録としては認められるものだろうか。
史上最高齢登頂として胸を張って言えるのか。
5/26のカトマンズでの記者会見のもようが赤旗5/28付に載った。
その一部を抜粋する。
「これほど疲れ、みんなに面倒をみてもらって、命からがら帰ってきた。しばらくのんびりしたい」と実感を込めました。
今回の挑戦は「アンチエイジング」がテーマ。「年を取ると自分を諦める人が多すぎる。80歳でもまだまだスタートだと思えば、人生が面白くなる」と、同年代の人々にエールを送りました。
アンチエイジングとは、はてなキーワードによると「抗加齢療法、抗老化療法。年を取ることによって起る老化の原因を抑制することによって、老化を予防したり、老化を改善すること。ここ数年、医療や美容・健康分野で注目されている言葉である」とある。
三浦の挑戦は確かに多くの高齢者に勇気と希望をあたえたかも知れない。
アンチエイジングもけっこうなことだ。
私も恥ずかしながら多少の努力もしている。
しかし三浦のアンチエイジングはやり過ぎではないだろうか。
はっきり言って私は引いてしまう。
みんなに面倒をみてもらいながら、しかも命からがらになって。
そこまでやるかと。
などと疑問を深めていたところ、6/6に安倍が「三浦雄一郎記念日本冒険家大賞」なるものを創設するというニュースが流れた。
つい先日長島と松井に国民栄誉賞をあたえるという醜い政治利用をしたばかりなのに、その余韻も消えぬうちにまたまたの露骨な政治利用。
安倍に対してははなから希望など持っていないので失望もしないが、三浦雄一郎が次のような対応をしたことに対しては大いに失望した。
「大変、光栄な申し出で、すばらしいことなのでお受けしたい。自分としては、夢にチャレンジして、それを成し遂げ、世界的な評価を受けている人たちを年齢に関係なく対象にしたい」
自分の生きているうちに自分の名前を冠した賞の創設に同意できるものだろうか。
芥川賞も直木賞も死後の創設だ。
植村直樹冒険賞も死後10年以上たって創設されている。
もちろん生存者の名を冠した賞はいくつもあるのだろう。
橋田壽賀子賞がある。
橋田壽賀子のドラマをまともに見たことは一度もないので、彼女のドラマに対する評価はできないし、まして彼女の人となりなどまったく知らない。
しかし、橋田壽賀子賞というものがあるというだけで、橋田壽賀子という人物に対するマイナスイメージを持ってしまう。
三浦雄一郎絶賛の記事があふれる中で、彼を批判したものはないのかといろいろ調べていると、「日々坦々」というブログの資料ブログに「色あせてきた80歳エベレスト登頂『三浦雄一郎 冒険家大賞』のドッチラケ」という記事を見つけた。
日刊現代の記事らしいが、オリジナル記事を見つけることができない。
この日刊現代の記事には悪意を感じさせるようなものがあって、全面的に支持するわけにはいかないが、納得するものもある。
などと書いていたら、たまたま今日のNHKクローズアップ現代が「老いてこそ挑め~三浦雄一郎 80歳のメッセージ~」というもので、先ほど視聴した。
このクローズアップ現代を見てしまうと、三浦冒険家大賞創設以前の三浦に対する疑問符を感嘆符に替えてもいいくらいの気になる。
アンチエイジングに対する認識も変わってくる。
三浦が安倍の提案を断ればどんなに彼の評価が高まったことだろう。
それを思えば、安倍の所行は本当に罪なことだ。
クローズアップ現代の最後に次のようなフリップが現れた。
「人生の目標」質問内容
●どんな人生を送りたいか はっきりしているか
●自分の将来に夢を持っているか
●生きている意味を見いだせているか
高校生・大学生に向けたものではなく、70代・80代の高齢者に向けたものだ。
ありきたりの内容ではあるが、今回の三浦雄一郎のエベレスト登頂と合わせてみれば考えさせるものがある。
今回もまとまらない記事になり恐縮。
◆ ユウゲショウ(アカバナ科マツヨイグサ属) ◆
ユウゲショウ 2013.5.6撮影 |
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