ABEMA TIMES から |
とはいうものの、私もまったく同感だということを先に述べておく。
2年前、ウィシュマ・サンダマリというスリランカ人の女性が名古屋入管に収容中死亡した。
収容中のようすを知るにつけ、これはほぼ殺人といってもいいのではないかとさえ思う。
当時のようすを当時の赤旗記事で見てみる。
ウィシュマが名古屋入管に収容されるまでの経緯は、同居していた男性からのDVを逃れて助けを求めに駆け込んだ警察によって逆に自分が入管に収容されたということだ。
いったい日本という国はどうなっているんだ。
佐藤章は一月万冊の中で、日本にいるクルド難民に触れ、2000人程度のクルド難民がいるが、難民として認定されているのはたった1人だ、と言っている。
上記赤旗記事中にあるメメットは、翌年ウィシュマと同じように入管収容中に体調を崩して命の危機を迎えていたにもかかわらず、入管の対応は救急車を追い返すというものだった(くわしくはここ)。
立法事実が崩れる難民審査参与員の重大疑惑
当時のようすを当時の赤旗記事で見てみる。
赤旗 2021.4.18付 レイアウトは変えた |
赤旗 2021.5.8付 |
経緯がちょっと簡略すぎるので、このウィシュマ事件の裁判報告(2022.11.23 交流集会)から引用する。
――ここから引用(2022.11.23 交流集会での弁護団の報告から抜粋)
ウィシュマさんは日本の子どもに英語を教えたいと、2017年6月、千葉県の日本語学校に留学しました。スリランカ人の男性と交際開始後、学校に通わなくなり、2018年9月21日に難民申請します。2019年1月21日に在留期間更新が不許可になり、在留資格を失い、同じ日に難民申請を取り下げています。
2020年8月19日に交番に行き、入管法違反で翌日名古屋入管に行った際の所持金は1350円でした。当初は帰国を希望していましたが、コロナ禍、スリランカ便は停止中でした。また10月14日、交際相手から、警察に自分のことを話したウィシュマさんを咎(とが)め、帰国したら罰を与えると書かれた手紙が届いたことから帰国を恐れ、支援者から仮放免を勧められ、残留に翻意します。その直後から、入管職員の態度は高圧的になりました。
殺人ではないのか。
少なくとも未必の故意(による殺人)または過失致死罪には相当するのではないか。
ウィシュマさんは日本の子どもに英語を教えたいと、2017年6月、千葉県の日本語学校に留学しました。スリランカ人の男性と交際開始後、学校に通わなくなり、2018年9月21日に難民申請します。2019年1月21日に在留期間更新が不許可になり、在留資格を失い、同じ日に難民申請を取り下げています。
2020年8月19日に交番に行き、入管法違反で翌日名古屋入管に行った際の所持金は1350円でした。当初は帰国を希望していましたが、コロナ禍、スリランカ便は停止中でした。また10月14日、交際相手から、警察に自分のことを話したウィシュマさんを咎(とが)め、帰国したら罰を与えると書かれた手紙が届いたことから帰国を恐れ、支援者から仮放免を勧められ、残留に翻意します。その直後から、入管職員の態度は高圧的になりました。
引用ここまで――
なお、冒頭に転載した写真の出所である ABEMA TIMES に掲載されているテレビ朝日「テレメンタリー21」の番組「なんで見えない~名古屋入管で起きたこと~」でも同じような状況に触れている。
入所した当初、本人は帰国を希望していたが、本国にいるDV加害者である男性から手紙で脅されたことにより、支援者からの仮放免の勧めもあって残留に翻意したという。
このあたりの事情から、最近の梅村みずほら驚くような暴言(後述)も出てくるのかなと思ったりする。
ウィシュマの場合、難民と認定されなかったのが問題なのではなく(難民申請は自ら取り下げている)、収容所での処遇が大きな人権問題だったのだ。
何度も体調不良を訴え、病院に、点滴をと懇願するウィシュマを死ぬまで放置した。殺人ではないのか。
少なくとも未必の故意(による殺人)または過失致死罪には相当するのではないか。
刑務所でもあり得ないような非人道的な入所者への処遇が常態化している。
この入管のありようが大問題なのだ。
2007年以降、17人の収容者が死亡している。
ABEMA TIMES から |
いったい日本という国はどうなっているんだ。
この事件を契機として、日本の入国管理のあり方が大いに問題化した。
1つは難民認定率の低さだ。
難民支援協会HPから |
難民というのは言うまでもなく、本国にいたら逮捕・拷問・処刑などの命にかかわるような危険があるので他国へ逃れてきている人たちだ。
その人たちを100人に1人ぐらいしか難民として認めず、他は何とかして強制送還させようとしている。
この実態を指して佐藤は「日本は鬼の住む島、鬼ヶ島と言える」「現代の先進国では考えられないような国」「鬼の心の人たち、それが入管」と言っている。
入管法の改定案
ちょうどウィシュマ事件が起こった前後に政府は入管法の改定案を国会に上程した。
この改定案の肝は、難民申請は2度までしか認めないということ。
現法のもとでは、難民申請中の人は一律に送還が一時停止される。
それで、日本には、申請が認められなくても何度も難民申請をして何年も日本に滞在している外国人たちがかなりいる。
なかには日本人と結婚し、子どもも生まれて家庭を持っている人も多い。
このように「送還忌避者」が増えることが問題だとして入管法の改定案が2021年に出された。
2度目で難民申請が認められなかったら、原則強制送還にしようというたくらみだ。
この改定案は、ウィシュマ事件と重なったため世論の批判が強く、廃案になった。
ところで、難民申請が認められなかった人は収容所に収容される。
一定の条件が満たされれば仮放免になる。
仮放免中は居住地や移動が制限され、就労も禁止されている。
さらに健康保険などの社会保障からも排除され、病院は10割負担となる。
つまり、誰かの援助がなければ生きてはいけない状態だ。
このように非人道的な規則で本人を苦しませることにより、帰国を促している。
やはり鬼だ。
それでも、強制送還される恐怖や家族と引き離される苦しみなどを思えば日本にいたいのだ。
赤旗 2018.7.7付 |
結果的には病院へ搬送されて助かったのだが、それから4年経過している。
彼ら一家の物語は2021年に「東京クルド」という映画になった
このときの改定案が、骨子はそのまま今年再び国会に上程され、4月28日衆院を通過した。
賛成したのが自民・公明・維新・国民の4党。
それで佐藤章が「鬼の法案に賛成したのは、自民・公明・維新・国民の鬼の4党、日本を鬼ヶ島として管理したい4党」と言った。
衆院を通過した法案は参院法務委員会で論議されているのだが、5月25日にその委員会で行われた参考人質疑でのトルコ国籍クルド人の陳述を紹介しておく。
5月12日、参院本会議で維新の梅村みずほ議員がが右のような発言を行った。
赤旗は翌日すぐに「支援者おとしめるデマ」と囲み記事で報道。
ウィシュマの遺族も「(入管が録画した)姉のビデオを見て病気のふりをしていたと疑うことができる人はいない」「遺族の心をこれ以上ないほど深く傷つけた」と批判。
入管自体がそのような事実はないといっているのに、それでも「可能性は否定できない」などと謝罪する気はさらさらなく、「信念を持って発言した」と居直る。
世論の猛烈批判に、さすがに維新は梅村の所属する法務委員会の法務委員を更迭し、さらに党員資格停止6カ月という処分を下した。
しかしながら、馬場維新代表は「質問のテクニック、何かまちがっているということではない」などと擁護。
維新ってのはこんなやつばっかりだ。
それで、この梅村発言を聞いて、佐藤章は「梅村みずほの発言 まさに鬼。人の皮を被った鬼」と言ったわけ。
赤旗 2023.5.19付 レイアウトは変えた |
立法事実が崩れる難民審査参与員の重大疑惑
赤旗 2023.6.1付 赤丸は筆者 |
審議が参院に移って新たな事実が明らかになった。
そもそもこの改定案が2021年に提出された理由(つまり立法事実)のひとつに、難民審査参与員による「難民認定申請者の中に難民がほとんどいない」という証言だ。
「難民審査参与員」の存在は私も今回初めて知った。
外国人が難民申請をして入管により不認定になったとき、その外国人はそれに不服を申し立てれば、そこで難民審査参与員なるものによって審査を受けることができる(右図)。
2021年の衆院法務委員会の参考人質疑で、この難民審査参与員の一人である柳瀬房子なるものが、「難民を探して認定したいと思っているのに、ほとんど見つけることができない」と述べた。
以下、右図が載っている赤旗の本文から抜粋する。
ところが、参院での審議で、この柳瀬氏に、全体の4分の1にあたる審査が集中していた事実が明らかになりました。
入管庁が示した資料によると、柳瀬氏は21年に全体の処理数の約20%にあたる1378件、22年には全体の1231件を審査していました。
16日現在で参与員は111人いるにもかかわらず、4分の1の審査を担うのは異様な偏りです。
全国難民弁護団連絡会議の調査では、回答した参与員10人の年間処理数の平均は、36.3件。
29日に開かれた難民問題の国対ヒアリングでは、21年から参与員を務める2人がこれまでの審査件数がそれぞれ3件、4件だったと証言しました。
柳瀬氏の勤務日数は21年に34日、22年に32日で、これに照らすと1日約40件を処理した計算になります。
慎重で丁寧な審査が行えるとは到底思えません。
抜粋ここまで――
柳瀬は改定案の土台となる提言を出した「収容・送還に関する専門部会」の委員も務めていて、そこでの発言や21年の衆院法務委員会での発言から計算すると、彼女は1年半で500人(勤務日数からすると1日約10人)の対面審査をしたことになっている。
この件について斎藤健法相は4月30日の記者会見で、記者に問われ「1年6カ月で500件の対面審査を行うことは可能」だと回答した。
ところがその日のうちに「不可能」の言いまちがいだったと訂正。
所管の法務大臣にしてこの体たらく。
なんの理解もしていなく、いいかげんに「可能」と言ったものの、官僚に指摘されてあわてて「不可能」と訂正したのだろう。
斎藤兼法相も柳瀬なる参与員も鬼だ。
入管庁はさらに弁明のために柳瀬は「臨時班」に所属していたと言い出しているが、もうやめよう。
入管法改定の根拠は崩れたのだ。
それでもこの鬼の法案は今日にも成立されそうな勢いになっている。
こんな国会を構成する国会議員を選出している私たち国民も鬼なのだろうか。
◆ シロツメクサ(マメ科シャジクソウ属)◆
シロツメクサ 2019.4.7撮影 |
シロツメクサはヨーロッパ原産のマメ科の帰化植物です。 和名の由来は1846年(江戸時代末期)、オランダから将軍家にガラス製の花瓶が献上された際、箱の中に乾燥したこの草が詰められていたことによります。 器が割れないための詰め物に使われたので「詰草」、さらに花が白いので「白詰草」となりました。
以下はWikipediaから。
シロツメグサは、食べられる野草としても知られる。春から秋にかけて採取した、やわらかい若葉と花が食用にできる。灰汁は弱く、さっと茹でて水にさらしてから、和え物、汁の実、バター炒めなどにして食べる。花は、茹でて三杯酢や和え物にしたり、茹でずに焼酎に漬けて花酒に、花と葉を絡めてかき揚げにする。マメ科特有のコクがあり、加熱しても形が崩れにくく、色があせにくい花は、料理の見た目を楽しませてくれる。
以下は私の拙文。シロツメクサはマメ科の植物。一つの花に見える白く丸い部分は頭花といって、たくさんの花の集まり。マメ科なので一つひとつの花が豆の花と同じつくりになっている。それにしても食べられるということは知らなかった。機会があれば食べてみたい。
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