2023年5月28日日曜日

ドイツ、ついに原発ゼロ! 日本は最大限活用!?

 3月22日の赤旗一面を見て思わずオッと声が出る。

赤旗 2023.3.22付 レイアウトは変えた
ついにやったか、という感じ。
メルケルからショルツに変わって、一抹の不安を持っていたのだが、やってくれました。

この時期、日本の原発をめぐる状況はどのようだったか。
赤旗日曜版 2023.3.12付

原発ゼロと最大限活用!

このドイツと日本のちがいはまさに天地の隔たり、雲泥の差、月とすっぽん、筆舌に尽くしがたい。

福島原発事故前後からの政府の原発政策の変遷をごく簡単に振り返ってみよう。

旧民主党政権が2010年に策定した計画では、2030年までに原発を14基以上新増設するとしていた。
同年、菅直人がベトナムに原発輸出が決まったと大喜びしていたことを思い出す。

ところが翌年福島原発事故で状況は一変。
民主党政権は「2030年代の原発ゼロ」を表明、次のような原則を示した。

①運転後、40年たった原発の運転制限を徹底する
②原子力規制委員会が安全確認した原発のみ再稼働する
③新増設は認めない

それまでは経産省(原発を推進する側)の一部門であった原子力安全・保安院(原子力を規制する組織)を独立させて原子力委員会に改変。

とにかく民主党政権は福島事故を受けてそれまでの原発政策を大きく変えたのだ。
新増設は認めず、40年たった原発は廃炉にしていき、2030年代には原発はフェードアウトしていってゼロにする。

赤旗 2014.2.26付
しかし、これらの政策は自民党政権が復活してまたたく間に後退していった。

民主党政権が打ちだした「2030年代の原発ゼロ」方針は、3カ月後の2012年12月に政権復帰した安倍晋三が間髪を入れずにゼロベースでの見直しを指示。

野田佳彦政権からまた始まりつつあった原発輸出の動きが活発化し、まるで安倍は原発のセールスマンと化したようだった。

そして、2014年初めのエネルギー基本計画で、原発は重要なベースロード電源のひとつと位置づけられた。

エネルギー基本計画はおよそ3年ごとに見直されるのだが、原発の電源構成に占める比率は福島以後の20~22%と現在まで変化していない。

赤旗 2021.9.21付
左のグラフは、2019年時点(第5次基本計画)のもので、次の第6次基本計画の案(現在のもの)でも原子力の構成比率は変わっていない。
ちなみに福島事故以前の原子力比率は25%だった。

第6次基本計画では世界の温暖化対策に押されて再エネの比率が高くなっているが、原子力の比率は変わらない。
どうしても原子力にしがみついておきたい。

とはいえ、安倍は公には「原発の依存度を可能な限り低減する」と言っていたし、「新増設は想定していない」という立場だった。

そんな安倍も首相を辞任した後は、原発の新増設・建て替えを推進する議員連盟の顧問に就任して馬脚を現している。

それですべてにおいて異次元のハチャメチャ男、岸田政権になった。
原発政策も今までの路線をかなぐり捨てて、大方針転換だ。

今年2月10日、「GX実現に向けた基本方針」なるものを閣議決定する。
GXとは Green Transformation(グリーントランスフォーメーション)の略称らしいが、どこにXがあるの?
いかにも国民を煙に巻いたような名称だ。
「脱炭素社会の実現に向けた取り組みを通じた、経済社会システム全体の変革」という意味らしい。

40年(最大60年)を超えた原発は廃炉という福島の大きな大きな教訓も投げ捨て、定期点検や規制委員会による審査などで停止していた期間は除いて、60年超(70年超になりそう)も稼働OK。

廃炉にした場所での原発(次世代炉)建て替え(リプレース、つまり新増設)OK。

そして、原発最大限活用!

あ~、ため息が出る。

現在国会では「GX実現に向けた基本方針」に基づいた①原子力基本法、②原子炉等規制法、③電気事業法、④再処理法、⑤再エネ特措法を一括し手改定する束ね法案が審議中だ。
原子力基本法の改定では、原発を「電源の選択肢の一つとして活用」し、利用促進などを「国の責務」と明記している。

そのうえで、国が講ずる「基本的施策」として、①原発活用のための人材の育成・確保、②技術の維持・開発のための産業基盤の整備・強化、③原発事業者が安定的に事業できる環境整備など、原子力産業を優遇する施策が列挙されている。

あ~あ・・・

まさに異次元の原発回帰だな。

ところで、4月15日、ドイツは約束通り、福島の教訓から全原発を停止した。
おめでとう!

赤旗 2023.04.18付


◆ ヤグルマギク(キク科ヤグルマギク属)◆

ヤグルマギク 2019.4.15撮影 近くの河原
かつてはヤグルマソウと呼ばれていた。園芸種だと思うが、この一輪だけが河原に咲いていて目を引いた。

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