2023年5月23日火曜日

G7広島サミット 「核兵器のない世界」をめざすといいながら、あいかわらす大ボケの岸田首相

2023.5.19 原爆慰霊碑前のG7首脳たち
岸田はなぜ広島でサミットを開こうとしたのか。

「広島ほど平和へのコミットメントを示すのに、ふさわしい場所はない」
「核兵器の惨禍を人類が二度と起こさないとの誓いを示したい」(以上昨年5月23日の記者会見)

「『核兵器のない世界』について成果文書を盛り込みたい」(今年5月8日の記者会見)

など、「広島出身」を自称する岸田自身の会見からもあきらかである。
つまり、議長国の首相である自分がリーダーシップを取って、「核兵器のない世界」を実現するためにG7をとりまとめたと世界に発信したいのだ。

これが本当にできたなら、岸田の名声は歴史に刻まれたことだろう。

岸田は生まれも育ちも東京だ(小学生時3年間ニューヨーク)。
ただ、実家が広島であるため、一族は広島に多く存在し、毎年夏に父(岸田文武衆院議員)に連れられて帰省したりしている。
そして、父の地盤を引き継いで広島一区から立候補し、衆議院議員になる。

以上のことから、彼が自分を「広島出身」とさかんにアピールすることにはちょっと疑問符がつくかもしれないが、故ないことではない。

さて、広島サミットが終わった今、多くの課題が議論されたなかで、この稿で問題にしようとしている「核兵器のない世界」の実現についての成果はあったのだろうか。

G7開催初日夜にいきなり今回G7の核心と思われる「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」なるものが発表された。

赤旗 2023.5.21付 レイアウトは変えた
全文は外務省のHPでどうぞ(PDF)

NHKのHPから
初日の日程は右のようになっていて、ワーキングランチ①では「分断と対立ではなく協調の国際社会へ」、セッション②は「ウクライナ情勢」、ワーキングディナー③は「外交・安全保障」がそれぞれテーマになっていて、核軍縮については③で論議されたことになっている。

それにしてもワーキングディナーだから、夕食をとりながらの議論だ。
昼間に慰霊碑に献花し、その後原爆資料館を視察して、被爆者の体験も聞いている。
そのような首脳たちの刺激的な体験はこのワーキングディナーでどのような議論を巻き起こしたのだろう。
その白熱した議論の果てに「広島ビジョン」は生まれたのか。

なわけないか。

とっくの昔に外務官僚が作っていて、このタイミングで発表しただけに決まっている。
すべてが政治ショーなんだ。
私などはじめからなんの期待もしていない。

共産党の志位委員長はこの「広島ビジョン」に対して次のような談話を出した。

赤旗 2023.5.21付 レイアウトは若干変更した
志位委員長らしい痛烈な批判だ。

同日付赤旗一面のコラムでは各国首脳たちにただ一人被爆者として体験を語った小倉桂子の思いが書かれている。
赤旗 2023.5.21付 レイアウトは変えた
私ははなから何の期待もしていないと書いたが、本気で核廃絶を願って運動している方々の思いはさぞ切実だったろう。

その一端が中国新聞の記事によく現れている。

――ここから転載(中国新聞デジタル 2023.5.23付

被爆者サーロー節子さん、広島サミットは「失敗」

 カナダから広島市に帰郷している被爆者サーロー節子さん(91)は21日、中区で記者会見し、3日間の日程を終えた先進7カ国首脳会議(G7サミット)について「大変な失敗だった。首脳の声明からは体温や脈拍を感じなかった」と残念がった。
 サミットでG7首脳は初めてそろって原爆資料館(中区)を訪れ、被爆者とも対話した。ただ見学内容や首脳の様子は非公表で「本当に我々の体験を理解してくれたのか。反応が聞きたかった」と指摘した。

 核軍縮に関する「広島ビジョン」については、核兵器禁止条約への言及がなかったことなどを踏まえ「
事前に外務省の誰かが準備したかのよう。広島まで来てこれだけと思うと胸がつぶれる」と失望感をあらわにした。

 一方、日本被団協は同日オンライン記者会見を開き、サミットの成果について同様に厳しい見方を示した。木戸季市事務局長(83)は、核抑止を事実上肯定し、核兵器廃絶に向けた十分な議論がなかったと強調。「
希望は完全に打ち砕かれた。核の傘の下で戦争をあおるような会議だった」と憤った。

 和田征子事務局次長(79)も、核兵器なき世界への具体策がなかったのは議長を務めた岸田文雄首相の責任が重いとし、「
被爆者の願いを踏みにじった」と落胆した。児玉三智子事務局次長(85)は「首脳はどういう思いで献花し、何を誓ったのか。ただのセレモニーだったのか。一人一人の率直な言葉を聞きたかった」とG7首脳の発信にも物足りなさがあるとした。(宮野史康、太田香)

転載ここまで――

サーロー節子は「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」とも語っている。

志位委員長は、このサーロー節子の批判はG7広島サミットの本質をズバリ言い当てたものだと言った(5月21日の談話のなかで)。

最後に先日(5月21日)放送されたサンデーモーニングのコメンテーターのひとりであった畠山澄子の発言を紹介する。

2023.5.21 サンデーモーニングから
船で世界を回って被爆証言を届けるという活動をずっとしていて、サーロー節子さんともいっしょに世界を回ったこともある。

今回の広島サミット、被爆者のみなさん本当に期待していた。
被爆の実相を見れば何か血の通った言葉が最終成果文書に入るんじゃないかと思っていた。

ふたを開けたら成果文書には核兵器廃絶という文字もない。
核兵器禁止条約という文字も入っていない。
被害者援助の話もない。
これまでのものと何ら変わらない。

中国・ロシアを責めるのもいいですけれど、G7諸国は核軍縮にもきちんと取り組んでいるのか被爆者の方は怒っている。

あの映像にあった記者会見に私も通訳としてあの場にいたんですが、被爆者のみなさん口をそろえて「でもあきらめない」とおっしゃっていた。
だから、私もあきらめたくないと思っている。
核のない世界のために、核兵器はだめだということを被爆者のみなさんといっしょに言い続けます。

発言の前半では悔しさに泣き出してしまいそうな彼女だったが、そこをこらえて最後は力強く「私もあきらめない」と言い切った。
頭が下がる。


◆ キケマン(ケシ科キケマン属)◆

キケマン 2019.4.6撮影 田んぼの生け垣
黄色の華鬘(けまん)ということだが、華鬘とは聞き慣れない言葉だ。仏具の一種らしい。それにしてもこの花は黄色の色があまりに鮮やかで大いに気に入り、この撮影以来今でもスマホの待ち受け画面にしている。

0 件のコメント:

コメントを投稿