世界の富豪たち
世界中で庶民が苦しむなか、大富豪は自らの富を増やし続けている。
資産10億ドル(約1100億円)超の上位富豪15人は、資産をこの間平均82%増やした。
赤旗 2021.9.7付 赤は筆者 |
一般的に日本人の生涯収入は2億円だと言われているから、このM・スコットの17カ月前の資産は日本人約2万人分の生涯収入に相当する。
それを、このパンデミックの間にさらに185億ドルも増やしたってわけだ。
さらに上位の者は言うに及ばず。
ベゾスといえば2カ月前に宇宙旅行をして話題になった。
日本人4100人分の生涯収入を4分間だか10分間の宇宙旅行のために使うという浪費に驚愕するが、それ以上に驚くのが帰還してからのベゾスの次の発言だ。
赤旗 2021.7.22付 赤線は筆者 |
すべてのアマゾン従業員、顧客に感謝する。あなたたちがこれら(宇宙旅行)すべてを払ってくれた。
ベゾスの発言は事実だが、事実だけに決して口にはできないことだ。
資本主義の宿命である格差拡大の極致と、その結果生じる人間腐敗の極致をも見るようだ。
当然ベゾスへの批判は澎湃として沸き起こった。
赤旗 2021.7.30付 レイアウトは変更、赤線は筆者 |
日本の富豪たち
日本の富豪たちの資産はどうなっているのだろう。
それでもこの1年間で資産は2倍超に増え、日本人2万4000人超分の生涯収入を蓄え込んでいる。
大富豪はもともと大資産家なのにパンデミック下でさらに資産を増やす一方、庶民の賃金は下がり続けている。
大企業と富裕層に公平な負担を
今回の投稿は今日の赤旗に掲載された次の記事に刺激を受けたからだ。
赤旗 2021.9.18付 赤線は筆者 |
メイド・イン・アメリカ税制案とは次のようなものだ。
①トランプ政権が35%から21%に下げた法人税率を28%に引き上げる。
②多国籍企業のタックスヘイブン(租税回避地)への利益移転による税逃れを封じる。
③国際的な最低税率の適用を強化する。
④高収益をあげながら税を支払わない企業に対して最低15%の税率を適用する。
⑤化石燃料産業への補助金をクリーン産業への補助金に置き換える――など
富裕層については、例えば4月下旬に右記事のような株式などの売却益課税についての提案を行った。
そして今回、それらの方針を具体化(株売却益課税以外にも増税策があると思う)すべくすでに下院で予算決議をあげ、増税法案の議会での可決をめざしているとある。
「年収40万ドル(4400万円)未満の世帯には増税しない」とあるのは庶民増税はしないということでありがたいことではあるが、年収4400万円というのは富裕層ではないかという疑念を私としてはもってしまうのがちょっと悲しい。
資本主義・新自由主義の最先端を走ってきたアメリカの大統領が、このように大企業・富裕層に応分の負担をと日本共産党と同じような主張をし、実行しようとしていることがとてもおもしろい。
それにしても、どんなことでもアメリカ追従の日本政府が、この大企業・富裕層増税だけは口が裂けても言わない、やらないというのどういうことだろう。
今行われている自民党総裁選において、各候補者が1人でも、一言でも法人税・富裕層増税などと言っているか。
コロナ患者にまでも自宅療養などと自助をいい、直近では特養や老健入所者の食費・住居費の減免基準を変更し、先月から年収80万もない利用者が一挙に月2万~7万円もの負担増になって悲鳴を上げている。
アルゼンチンなどもコロナ対策のために富裕層増税をすでに今年の2月末に実施している(左記事)。
もう一つバイデン演説の中で、「コロナ禍の復興に取り組む今こそ、政府が大企業やトップの富裕層のためではなく、国民のために働くことを証明する時だ」という部分が、管内閣が発足したときの「国民のために働く内閣」という何の意味もない空疎なスローガンと対比されておもしろい。
「私たちに増税を!」
「ミリオネアズ・フォー・ヒューマニティ」という世界の富豪たちがつくっている団体がある。
この団体が2020年7月に新型コロナウィルス危機を打開するため各国政府に富裕層への課税強化を求める公開書簡を出した。
この訴えはなかなか感動的なもので、資本主義の果てにも人間性を失わない富者はいるのだと希望が持てる。
この書簡に賛同する富豪は5月30日現在欧米を中心に13カ国112人いるそうだ。
この団体の創設者であるジャファー・シャルチが赤旗のインタビューに答えている。
2021年5月31日付の赤旗から抜粋してみる。
――ここから転載(赤旗 2021年5月31日付から抜粋)
・・・
私たちはいま未曾有の危機に直面しています。コロナ禍は貧富の格差を浮き彫りにしました。昨年1年間で、世界の超富裕層が巨額の利益を得た一方、1億人近くの人々が極度の貧困に陥りました。
資本主義システム、新自由主義システムは壊れています。不平等が悪化すれば世界はもっと不安定になるでしょう。すべての人に利益をもたらす新しいシステムを確立しなければなりません。
公開書簡には「コロナ禍を打開するため資金面で解決の一助になりたい」という思いを込めました。各国政府に対し「お願いだから私たちに課税を」と訴えています。
ミリオネア・フォー・ヒューマニティは、1%の富裕層課税を提唱する富豪の国際組織です。コロナ禍からの回復、貧困と気候危機などに対処するため恒久的な課税制度の確立を求めています。
・・・
世界の億万長者の資産は推定約10兆ドルです。上位1%の富裕層にたった1%課税するだけで毎年約1000億ドルを得られます。世界が直面する危機を解決するうえで彼らは解決の一助にならねばなりません。これは彼らにとって道徳的に正しいことです。
私たちは慈善活動を超えて構造的な改革に取り組みます。慈善活動は大切ですが不十分です。慈善活動の総額は毎年わずか240億ドルとされます。私たちが直面している課題を解決するには数兆ドルが必要です。政府にお金がなくても富裕層にはあります。ですから政府は私たちに課税してください。政治に関わる人々は「よりよい世界、より持続可能な地球のために何ができるか」を自問しなければなりません。
・・・
ウォルト・ディズニー共同創業者の孫であるアビゲイル・ディズニー氏は団体の一員です。書簡にも名を連ねています。彼女は「極度の貧困を根絶するためにもっと多くのことをすべきだ」と語っていました。今後私たちはできるだけ多くの富裕層をこの運動へ参画させたいと思っています。
私は、多くの億万長者が暗闇から抜け出せるよう手助けをしたいのです。
今日も、最も裕福な上位1%は、巨万の富を租税回避地(タックスヘイブン)に隠しています。これは大きな間違いです。そのお金を何か良いことに使えば彼らは幸せになります。暗闇から出て光の中へ入るのです。
朝、鏡で自分の姿を見て、子どもや孫たちの姿を見つめます。「よりよい世界をつくるためにできることをしているよ」と彼らに伝えられるのです。仲間の億万長者に言いたい。「やってみてください。何を失う必要がありますか。暗闇から抜け出すために良いことに力を使ってみてください。よりよい未来のためにエゴや欲望をすててください」
課税を避けるための理屈がトリクルダウン理論です。減税すれば彼らは多くのお金を持ち、多くのビジネスを行い、それは社会にさえ利益をもたらすというものです。
しかし、過去40年間でそれは間違いだったと証明されました。格差はますます拡大しています。多くの人々が極度の貧困に陥り、食糧やきれいな水が足りないために多くの子どもが6歳未満で亡くなっています。
私たちは人類の一部です。互いを慈しみあう社会へと進まねばなりません。
・・・
転載ここまで――
書簡全文と、現時点での賛同する富豪数や名前、その中に日本人はいるのかなどは時間不足・調査不足で今のところわからない。
前半でアマゾンのベゾスをかなり批判したが、彼はバイデンの法人税率引き上げには賛同していることを付け加えておきたい。
今回も転載・引用だらけの投稿になってしまった。
◆ ベニバナツメクサ(マメ科シャジクソウ属)◆
ベニバナツメクサ 2015.5.5撮影 前回と同じ河原 |
0 件のコメント:
コメントを投稿