私はまだこの本を読んではいないが、赤旗のコラムや今回の記事でわかる「小池百合子の正体」は、今までの私自身が描いていたイメージとぴったり重なるから読むまでもないかなと思ったりもする。
問題は、この本を読んでいない、その存在すら知らない多くの都民だ。
赤旗読者は少数だろうし、「週刊金曜日」6.19号に掲載された「『女帝 小池百合子』が提示する学歴詐称の決定的な証拠」などもほとんど読まれていないだろうし、「東京都民はスキャンダルと虚飾にまみれた“女帝”をまた圧勝させるのだろうか」(前述の「週刊金曜日」記事の末文)。
赤旗のHPを開いてみると、今日の主な記事のトップにこの石井妙子への聞き書き記事が紹介されている。
しかし、その記事の見出しだけで内容は掲載されていない。
本文が読める記事は23本もあるのに、都知事選まっただなか、今こそ読んで欲しいこの石井妙子の聞き書き記事がどうして読めないのか。
不思議だ。
そこでしょうがないので(?)私が全文転載することにした。
ここから転載(赤旗 2020.6.26付から)――――――――――――――――――――――――――
『女帝 小池百合子』出版
ノンフィクション作家 石井妙子さんに聞く
これまで、男性優位の日本社会で努力と研鑽を積んで一事を成した近現代の女性たちの評伝を書いてきたノンフィクション作家の石井妙子さん。
今回、『女帝 小池百合子』を出版しました。なぜ小池百合子東京都知事を対象としたのか。本書で明らかにした、その半生と実像を聞きました。(平川由美)
どういう人物か知るべきだ
2016年、女性初の東京都知事となった小池百合子氏について書いてほしいと、ある雑誌から依頼を受けたのがきっかけです。
それまでは共感できる女性を書いてきました。
小池氏については、がんを乗り越えた都知事選の対立候補を「病み上がりの人」と誹謗したことなとに違和感があり、人として信頼できるのか疑問を持っていました。
しかし都知事であり、女性初の総理にもなるかもしれないという。
どういう人物かを国民は知るべきだと考え、本書を執筆しました。
3年半かけて100人以上の関係者に取材し、小池氏の著作や発言録、新聞や雑誌の記事など大量の資料を読み、精査しました。
氏にも3回、取材を申し込みましたが断られました。
権力を目指す半生から見えてくる社会の歪み
裕福な家庭に生まれ育った芦屋令嬢、外国語に堪能な才女といった生い立ちと経歴を売り物にしてきた小池氏ですが、この自分語りの矛盾は数え切れません。
国立カイロ大学を日本人女性で初めて、しかも首席卒業、という学歴詐称疑惑は、過去を塗り変えてきた氏の半生を象徴する一例です。
やりなおして本当の人生に
私のもとに、氏とカイロで2年間同居していた早川玲子さん(仮名)から「(小池氏は)カイロ大学では1976年の進級試験に合格できず、従って卒業はしていません」と記された手紙が届いたのは2018年2月でした。
私は早川さんが住むカイロヘ行き、面会を重ね、当時の手帳、日記、手紙など全て譲り受けました。
小池氏より10歳ほど年上の早川さんは「生きているうちに、百合子さんが嘘によって現在の地位を得たことを公にしなければ、自分も罪を抱えたまま死ぬことになる」と言い、「きちんと当時、注意しなかったことを後悔している」と自分を責めていました。
そして「今からでも遅くない。人生をやり直してほしい。本当の人生にしてほしい」と。
小池氏は「卒業証書も卒業証明書もある。カイロ大学も卒業を認めている」と繰り返しますが、証書の矛盾や疑問点も本書で触れています。
エジプトには日本から、氏が国会議員だった2016年度までに無償資金協力1568億円を含む多額のODA(政府開発援助)が投入され、カイロ大学にも一部が渡っています。
こういった事実と併せて、読者に判断を託したいと思います。
弱者や女性に冷酷な仕打ち
小池氏には社会的弱者や女性への冷酷な言動も顕著です。
阪神・淡路大震災後、地元芦屋の被災女性たちが氏を訪ねて窮状を訴える中、マニキュアを塗り続け一度も顔を上げず、「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」と言ったこと。
小池氏も参加した北朝鮮拉致被害者家族の会見が終わった後、バッグがないと慌てて会場に戻ってきた氏が「あったー、私のバッグ。拉致されたかと思った」と叫んだこと。
小泉政権で環境大臣だった時は水俣病患者とアスベスト被害者の救済には無関心で、クールビズと風呂敷に入れ込んでいました。
前回の都知事選で東京五輪や築地市場移転の利権と癒着の構造を追及し「ジャンヌ・ダルクになる」「崖から飛び降りる」と訴え支持を集めながら、就任後、築地の女将さんが「負けないで築地を守ってください。私たち小池さんをジャンヌ・ダルクだと思ってます」と声をかけると、「ジャンヌ・ダルクはね、火あぶりになるからイヤ」と突き放したといいます。
「政治家としてやりたいことはなく、ただ政治家がやりたいんだと思う」「政治哲学も信条もなく、ただ注目を浴びたい。だから時の人気者や実力者にぱっぱっと乗り換える」といった証言は多くありました。
過去には自民党批判をしながら、自民党入りする時には「自民党を外から壊すのではなく、内から壊すほうが早いと思った」と言う。
上を目指しているだけで理由は後からつけられます。
メディアの罪 有権者の責任
なぜ小池氏はここまで上りつめたのか。
ミニスカート姿で自身を「政治改革のチアリーダー」と称したりする新奇さに飛びついて、氏が語るままを検証もせずに報道してきたメディアの罪は大きい。
女性議員をお飾りや広告塔のように利用する政治のあり方も問題です。
本質を見ないで上辺のファッションやパフォーマンスにつられて投票する有権者にも責任があるのではないでしょうか。
小池氏の半生からは社会の歪みも見えてきます。
権力を握れば人は寄ってくるし思い通りになる。
人を信用できない荒野のような孤独の中で、ひとり生き抜いてきた女性の姿も浮かんできて哀しみを覚えます。
転載ここまで――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前回の投稿「山本太郎 都知事選立候補 えーかげんにせーよ」で、山本太郎と週刊金曜日に腹立たしさをぶつけたが、今回は週刊金曜日にもう一言二言いわせてもらう。
週刊金曜日は6.12号の最終ページに次のような「お知らせ」を載せた。
「このたび、宇都宮健児編集委員が7月5日投開票の東京都知事選挙に出馬表明しました。今後は選挙報道記事の一環として他候補とともに触れる以外、誌面に当該委員の記事は掲載いたしません。また、連載も休載いたします」
民間の雑誌が特定候補を応援するのは問題があるのだろうか。
まして、宇都宮健児は週刊金曜日の7人の編集委員の内の一人なのだ。
この冷たさはどうだろう。
全面的に応援の論陣を張って当然なのではないか。
さらにどうかと思うのは、冒頭に紹介した6.19号の記事中に次のような記述がある。
「野党側は候補者が一本化できていないので、もはや勝ち目はないとの見方が強い」
一本化できなかったのは、週刊金曜日が異常に肩入れしてきた山本太郎のせいではないのか。
「勝ち目はない」状況を作り出した責任の一端は週刊金曜日にはないのか。
「唯一、台風の目となりそうなのが、15日に出馬表明した山本太郎だ」
この期に及んでまだ山本太郎に肩入れしている。
台風の目となってこの選挙をグチャグチャにした山本太郎への批判や、そのような彼を天まで持ち上げてきた自誌への総括は何もないのだろうか。
*週刊金曜日最新号(6/26号)はまだ読んでいない。
私もこの期に及んで(週刊金曜日に代わって)宇都宮健児の応援をしておく。
赤旗 2020.6.25付 |
五島列島シリーズ㉜ ◆ チガヤ(イネ科チガヤ属)◆
チガヤ 2018.5.10撮影 小値賀島 前浜公園 |
「和名チガヤの由来は、「チ」は千を表し、多く群がって生える様子から、千なる茅(カヤ)の意味で名付けられたものである。漢字で「茅」と書き、尖った葉が垂直に立っている様子から、矛に見立てたものである」とWikipediaにある。日本中どこにでも見られる。
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