で、素敵な女の子を紹介した。
続編の今回は、3月10日に放映されたNHKクローズアップ現代+の「家族や知人が支えてくれた震災9年 ~たび重なる逆境の中で~」だ。
番組の内容は上記番組名のリンク先にくわしく書かれている。
それと重複してしまうが、ここでは私なりにまとめてみる。
阿部の妻と子どもたち |
もうこれだけで普通の人だったら生きていく気力はなくなるだろう。
事実阿部も何度も死ぬことを考える。
震災前に営んでいたトマトとキュウリの農業ハウスも全壊し、2億円の負債も負うことに。
その阿部を立ち上がらせたのは、地域で同じように農業を営み、被害に遭った3人の仲間たちだった。
いっしょに農業法人を立ち上げ、4年で売り上げ2億円、社員・スタッフあわせて60人を超える県内でも有数の規模にまで成長した。
2億円の負債を減らすめどもついてきた。
ここで阿部は次のように述懐する。
おれはもう目的を変えようと思って。
自分のためじゃなくて、従業員であったり従業員の生活がかかってきて、その人たちの生活を支えるためには中途半端なことをしていたらすぐその人たちの生活がだめになっちゃう。
なので、逆に僕はこれから家族じゃなくて、会社っていうか仕事で、ここで仕事をしてもらっている人たちが幸せになれるように自分で頑張ればいいかなって。
阿部はこの後、2019年10月の台風19号で2度目の災害に遭い、ハウスは濁流に呑み込まれ、トマトは全滅。
農耕機などさらに1億円の負債を負うことになる。
この絶望的な状況から、彼はまた仲間と共に立ち上がり、トマトの生産を再開する。
この番組はタイトルの通り、度重なる逆境のなかでも家族や知人が支えになってそれを乗り越えていく物語だが、そのテーマは番組の最後の方の阿部自身の言葉に象徴されている。
長女 夏海 |
僕はいろんな人に支えられてここまで9年間がんばってきたので、おそらくこれからももっといろんな人に支えられて生きていくんだろうな。
逆に僕もそういう人たちを支えていかなきゃいけないと思っています。
ではあるが、私は 「ここで仕事をしてもらっている人たちが幸せになれるように」 という前半の阿部の言葉にいたく感動した(後半の言葉も同じ意味にはなるとは思うが)。
市井の一市民が逆境を乗り越えるために起業し、成功の道筋ができたとき、自分が仕事をがんばる意味は「ここで仕事をしてもらっている人たちが幸せになれるように」することにあると気づく。
経済という言葉は「経世済民」ということで、「世を治め、民を救う」という意味らしい。
話はいきなり飛躍するようだが、ここで大企業の内部留保の話。
赤旗 2020.3.19付 |
赤旗 2019.7.24付 |
この人たちは従業員が幸せになるために会社を経営しているのだろうか。
資本の論理では、
「“大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!” これがすべての資本家および資本国家のスローガンである。
それだから、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない」 <マルクスの「資本論」から(今日の赤旗に載っていた)>
らしいから、企業の役員や資本家が従業員の幸せなど考えるはずがないということか。
だから今年の春闘も以下のごとし。
赤旗 2020.3.12付 |
赤旗 2020.1.23付 赤枠は筆者 |
リーマンショック時のような派遣切りも行われ始めた。
新型コロナウイルスでやられるより先に経済的破綻で命を奪われかねない今、余力のある企業・財界人は阿部聡の爪の垢を煎じて飲めといいたい。
追記 2020.4.8
言葉足らずで誤解があったらいけないと思い追記する。
企業経営者のなかには阿部聡と同じように従業員の幸せを第一に考えている立派な人はたくさんいると思っている。
特に中小企業や零細企業のなかには多いだろう。
今回のコロナ騒動による経済的危機への対処は、自粛を要請している国にこそ第一義的責任があることは自明の理だ。
その責任を安倍政権がどのように果たそうとしているのかを注視していきたい。
マスク2枚なんて世界に恥をさらすようなことはもうやめよう。
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