2017年2月3日金曜日

「ポスト真実」と安倍内閣支持率

安倍内閣の支持率が依然として高い。
下のグラフは昨年のNHKの世論調査で、ほぼ50%前後で推移している。
今年の1月の調査でも「支持する」は55%だ。
局によっては60%を超える結果も出ている。
NHK ONLINE から
あのバカで大ウソつきの安倍がどうしてこのようにいつまでも支持され続けるのか。
支持している人の頭の構造はどうなっているのだろうか。
などと考えていたら、日本共産党、志位委員長の党大会での報告に出会った。

2017.1.17 赤旗 志位委員長の党大会での報告から(レイアウトは変えた)
委員長は2つの点を強調しているが、1つめの点にある「ポスト真実」の政治ということに注目した。(続きの2つめの点は本稿末尾に)

「ポスト真実」の政治とは、事実にもとづかない主張、つまりウソ・偽りを繰り返すことで、人々を扇動し、うねりを作り出す政治を示す言葉。
トランプがその見本だが、安倍もまさにその先駆的な実践者(もっと先駆的には石原慎太郎ではないか)。

あげればきりがないとしながら、例を4つほどあげている。
「消費税の増税分はすべて社会保障の充実に使います」という例も是非ふくめてほしかった。

ところで、この説明で「なぜ安倍政権の支持率が高いのか」という疑問に答えているのだろうか。
息を吐くようにウソをつく安倍の人気がなぜ高いのか。
ウソつきは嫌われるのが世の常ではないのか。

そこで委員長はつづけて、「それを巨大メディアが無批判に垂れ流し、国民のなかにある幻想をつくり出している」と続ける。
それ以上は言わない。
何か奥歯に物がはさまったような言い方だ。

そこで私が委員長の代わりに続ける。

「メディアにすぐだまされるようなバカな国民が多いので支持率が高くなっている」

こういえば「なぜ支持率が高いのか」という疑問がはっきりと解明されたことになるのではないか。

先日あった内輪の会合でこの話をした。
そうすると、「それをいっちゃあおしまいよ」と批判された。

昨日(2/2)の赤旗に立教大学の門奈直樹という教授の見解が載っていた。
タイトルは「『ポスト真実』とメディアの責務」で、「市民が賢くなり対抗を」という大見出しがついている。
とてもわかりやすい話で、少しだけ紹介する(全文はテキストとして末尾に引用)。

まず「ポスト真実」という言葉だが、教授は「真実の前に感情が先走り、その感情で世論が形成されていってしまう状況」と定義している。
志位委員長とはちょっとニュアンスのちがった定義のしかただ。
まあ委員長の方は「ポスト真実の政治」ということだった。

教授の解説で最も興味をひかれたのは、ストックホルムに本拠を置くNGOが行っているメディアの信頼度調査というものだ。
テレビに関して国民の信頼度を調査している。

テレビへの不信感(テレビを信用していない)が高い国はオーストラリア、アメリカ、スペインの順。
逆に信頼度が高いのはフィリピン、中国、日本、韓国と続く。

志位委員長が、「(安倍のウソ・偽り)を巨大メディアが無批判に垂れ流し、国民のなかにある幻想をつくり出しています」という主張を補強する調査結果だ。
そして、ウソ・偽りにすぐダマされるバカな国民が多いのが日本だという私の見解をも補強しているのではないか。
「なぜ安倍の支持率が高いのか」を、門名教授は志位委員長よりわかりやすく説明している。

ところが、教授は「バカな国民」といった表現はしない(もちろん志位委員長も)。
それをいっちゃあおしまいよである。
だから、教授は「市民がメディアに対して賢くなる必要があります」と結論づけた。
つまり、バカな国民よ賢くなりなさい、と言っているのと同じだ。

「バカ」表現を何とか回避して別の言い方をするのが良識ある知識人としてのマナーだ。
私は知識人ではないので、今回の投稿は寛容の精神で見逃してほしい。

最後に驚くようなネットでの世論調査をみてほしい。
下図はフェイスブックが昨年11月に行った調査だ。
NHKのいつも1000人前後の貧弱な調査とちがって1万1000人を超える回答が寄せられている。

facebook
――ここから引用(赤旗 2017.2.2付)

「ポスト真実」とメディアの責務
立教大学名誉教授門奈直樹さんに聞く
市民が賢くなり対抗を

 トランプ米大統領の登場や、英国が欧州連合(EU)を離脱したことは世界に衝撃を与えました。「こうした動きにメディアが深く関わっている」と指摘する門奈直樹立教大学名誉教授(ジャーナリズム論)に聞きました。(渡辺俊江)

門奈直樹教授
トランプ氏がメディアを攻撃する姿は、日本にも伝わっています。大統領就任式の参加人数を「少なく伝えた」と大手メディアを非難。大統領就任前、米CNN記者に「フェイクニュース(偽ニュース)を流している。質問をさせない」と敵意をあらわにしました。

 選挙中から主流メディアに対して「既得権益者」だとレッテルを貼り、断固たたかなくてはならないと宣言していました。グローバル化の中で格差が広がり、“忘れ去られた人”といわれる白人労働者たちがトランプ氏を支持しました。大手メディアはトランプ氏の問題発言を取り上げはするが、そういう人々に関心を示すことがなかった。トランプ氏は既存のメディアを敵にまわすことによって、受けをねらったのです。

 感情で世論形成

 大統領選のさなかに、「ポスト真実(post-truth)」という言葉が広がりました。イギリスのオックスフォード辞典が、昨年の世界を象徴する言葉として発表したのです。真実の前に感情が先走り、その感情で世論が形成されていってしまう状況を指しています。

 英国のEU離脱は大方の予想に反した出来事でした。グローバル化とは何なのか、EU離脱がどういうことをもたらすのかという議論は深まらなかったのです。米国ではトランプ氏が選挙戦で大手メディアを批判し、一方ではインターネットを使い国民の素朴な感情に訴えかけるような発信をしていました。「ポスト真実ポリティクス(政治)」です。底流には、メディア不信が人々の間にあると思っています。

 ストックホルムに本拠を置くNGO団体「世界価値観調査機構」がメディアの信頼度調査をやっています。2010~14年の調査によると、テレビに関して不信感が高いのはオーストラリア、アメリカ、スペインの順です。逆に信頼度が高いのはフィリピン、中国、日本、韓国と続きます。日本でもメディア不信はあるのだが、世界的な傾向で見ると、いかに日本の国民がメディアに従順で批判的に接していないかという結果になっていると思います。

 一方で、国境なき記者団の報道の自由度ランキングを見ると昨年、日本は72位と過去最低でした。民主党政権のときに22位でしたから、安倍政権の介入が影響しているのです。

 検証しないまま

 安倍首相の演説を聞くと言葉に重みがないんですよ。うそを平気で言う。メディアは、首相の言うことについて検討して語ることがほとんどありません。首相の言葉の中身を検証することなく流すだけです。首相はメディアパフォーマンスをする一方で、圧力をかけていく。「ポスト真実」は、日本でも起こっているのです。

昨年、高市総務相の停波発言がありました。メディアの萎縮をねらった脅しです。欧米では、萎縮は民主主義の破壊につながるという位置づけです。毛利透著『表現の自由』(岩波書店)は、萎縮効果に着目し、表現の自由を再構築することの重要さが語られています。この本を読むと、アメリカやドイツではメディアや市民の萎縮について裁判になっていることがわがります。言論・表現の自由を侵しているというのです。

 「ポスト真実」とは真実が置き去りになっていることを表す言葉です。政治のあり方、真実を見極めるためには、憲法21条が掲げる言論の自由の論理をしっかり組み立てることです。市民がメディアに対して賢くなる必要があります。イギリスでは、メディアワイズ(メディアに賢くなれ)運動が起こっています。

引用ここまで――
本文の赤旗記事の続き

◆ カンナ(カンナ科) ◆
カンナ 2013.10.14撮影
園芸種としてとても身近な花だが、その品種は多種多様だ。そして、写真のような黄色の花びらに赤い斑点があるカンナは、品種不明らしい。

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