赤旗2015.10.9「読者の広場」 |
NHKのニュース番組は昔からひどいものだったが、安倍が首相になってからますます政府広報番組と化しつつある。
アベチャンネルといわれるゆえんだ。
それでも私は毎日見ている。
それは午後7時という夕食時の時間帯と30分というコンパクトな長さゆえだ。
日々のニュースとしてはもっとも多くの人が見ているのではないだろうか。
それにしてもこのTPP「大筋合意」を伝えるニュースはひどかった。
街頭で道行く人に「○○が安くなるからうれしい」「バターの品不足が解消されてうれしい」などという喜びの声を紹介するだけ!
数年前からTPPで国会も経済界も農民も国民もあらゆる分野の人が大騒ぎしているのはなぜか。
せめて国会決議はどうなるのかといったことぐらいいえないのだろうか。
ということで、今さらという気もするが、TPPのことを振り返ってみる。
2012年総選挙時の自民党公約
――ここから部分転載
本年11月のAPECを前に、わが党はTPP交渉参加について、政府の準備不足、情報不足、国民に対する説明不足を指摘し、拙速な交渉参加に反対の方針を決定しました。APEC後1ヶ月以上経った現在も、情報不足をはじめ状況はまったく改善されていないままです。従って現段階においても、我々の交渉参加反対のスタンスはまったく変わっていません。
経済連携交渉においては、各分野において「何を取り、何を守るのか」の検討が重要です。この点、TPPにおいて「例外なき関税の撤廃」を約束させられて交渉に入るなど論外であり、たとえすべての品目が交渉のテーブルに載るとしても、国益の観点から、農業分野をはじめきちんと例外項目を取るという方針を定めない限り、交渉に参加すべきではありません。
転載ここまで――
同じく自民党の公式WEBには「TPP交渉の判断基準」として次のように書かれている(2012.3.9付)。
――ここから部分転載
わが党は、TPP交渉参加の判断基準を明確に示します。
TPP交渉参加の判断基準
1 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3 国民皆保険制度を守る。
4 食の安全安心の基準を守る。
5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
――ここから部分転載(稲田発言)
●少なくとも、小泉さんには覚悟があった。野田総理に覚悟なんてありませんよ!!!大体、ISD条項も知らなかったじゃありませんか。
転載ここまで――
同じく自民党の公式WEBには「TPP交渉の判断基準」として次のように書かれている(2012.3.9付)。
――ここから部分転載
わが党は、TPP交渉参加の判断基準を明確に示します。
TPP交渉参加の判断基準
1 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3 国民皆保険制度を守る。
4 食の安全安心の基準を守る。
5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。
転載ここまで――
総選挙はこの年の12月にあったのだが、この「TPP交渉の判断基準」はそのまま自民党の選挙公約と考えられる。
それにしても以上2つの記事が今現在も自民党公式WEBから削除されていないのはなぜだろう。
なお、自民党候補者一人ひとりのTPPに関する態度・公約は、Acts of Democracy というWEBにくわしく載っているが、赤旗(2013.3.4)によると
総選挙 TPP参加反対205人
自民衆院議員7割が公約
「農業を破壊」「絶対に許すな」
という見出しの記事がある。
赤旗同日の記事にも自民党全議員の衆院選公約が掲載されている。
右のポスターは選挙期間中に、おもに東北や北海道でたくさん貼られていたらしい。
このブログでもすでに2~3度紹介した。
自民党の公約についていろいろネットで検索していると、次の記事にぶつかった。
「WiLL」という雑誌の2012年1月号に、田中康夫と稲田朋美現自民党政調会長が対談している。
総選挙はこの年の12月にあったのだが、この「TPP交渉の判断基準」はそのまま自民党の選挙公約と考えられる。
それにしても以上2つの記事が今現在も自民党公式WEBから削除されていないのはなぜだろう。
なお、自民党候補者一人ひとりのTPPに関する態度・公約は、Acts of Democracy というWEBにくわしく載っているが、赤旗(2013.3.4)によると
2012年総選挙時の自民党ポスター |
総選挙 TPP参加反対205人
自民衆院議員7割が公約
「農業を破壊」「絶対に許すな」
という見出しの記事がある。
赤旗同日の記事にも自民党全議員の衆院選公約が掲載されている。
右のポスターは選挙期間中に、おもに東北や北海道でたくさん貼られていたらしい。
このブログでもすでに2~3度紹介した。
自民党の公約についていろいろネットで検索していると、次の記事にぶつかった。
「WiLL」という雑誌の2012年1月号に、田中康夫と稲田朋美現自民党政調会長が対談している。
見出しは「TPPは『日本壊国』宣言だ!」。
稲田の発言部分のいくつかを転載する。
記事の全文はブログ「kojitakenの日記」。
――ここから部分転載(稲田発言)
●農業だけの問題じゃない、日本の文明、国柄の問題なんです。これにどうして保守派が強硬に反対しないのかが、とっても不思議。
●「交渉協議への参加表明に反対する国会決議を目指そう」と私も小野寺五典先生と7日の本会議場で「TPPは農業だけの問題ではなくて、国の文明、国柄の問題であって、参加すれば日本の国柄が破壊されるんですよ」と言って呼びかけたところ、自民党だけでも60名以上の署名を集めたんです。結果、自民だけで98名集まりました。
●「交渉協議への参加表明に反対する国会決議を目指そう」と私も小野寺五典先生と7日の本会議場で「TPPは農業だけの問題ではなくて、国の文明、国柄の問題であって、参加すれば日本の国柄が破壊されるんですよ」と言って呼びかけたところ、自民党だけでも60名以上の署名を集めたんです。結果、自民だけで98名集まりました。
●少なくとも、小泉さんには覚悟があった。野田総理に覚悟なんてありませんよ!!!大体、ISD条項も知らなかったじゃありませんか。
これは企業や投資家が、投資先の相手国の規制や制度によって損害を被ったとき、国際救済裁判所へ訴訟を起こせるというものです。近年、日本は外資に狙われている森林や水源地の土地取得、空港の外資規制などを法整備していこうという方向で進んでいたはずです。
ところが、TPPでこれらの規制が「投資家に不利」と判断されれば訴えられるということです。これは、日本の国益に合致する規制を設けるための立法権も司法権も侵害されることになり、主権侵害であり、民主主義の否定になってしまいます。
ところが、TPPでこれらの規制が「投資家に不利」と判断されれば訴えられるということです。これは、日本の国益に合致する規制を設けるための立法権も司法権も侵害されることになり、主権侵害であり、民主主義の否定になってしまいます。
●そこまでアメリカ様の言うことを聞かなきゃいけないんですか、と。アメリカに守ってもらっているからって、「何が何でもご機嫌を損ねちゃいけない」と過度に思い込んでいるんじゃないでしょうか。しかも、アメリカ軍が日本に駐留している一番の理由はアメリカの利益であって、日本を守るためではありません。どこまで日本はおめでたいのでしょうか。
●地方公共団体も、公共事業などを地場の企業に発注することでその地方にお金が落ちるようにやっているわけですが、それも「非関税障壁」と言われれば許されなくなる。町や村の事業の入札までが英語で行われる、ということになりかねない。日本語が最大の非関税障壁だと言われかねない。こんなことをしていたら、日本はガタガタになってしまう。
●民主党を応援している組合だって、TPPに参加すれば自分たちの雇用が脅かされかねない。経団連だって、企業そのものは儲かるかもしれませんが、雇用は悪化、給料も下落します。
転載ここまで――
あの稲田がね、と思ってしまう。
TPPに関する国会決議
2012年末総選挙で自民党が返り咲き、戦後最悪の安倍政権が発足。
一転、あれほど反対していたTPP交渉に乗り出そうとした。
その過程で、稲田朋美の運動もあってか(?)次のような国会決議がなされた。
一転、あれほど反対していたTPP交渉に乗り出そうとした。
その過程で、稲田朋美の運動もあってか(?)次のような国会決議がなされた。
第183回国会 2013年4月19日 衆参両院農林水産委員会 委員会決議
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に関する件
本年三月十五日、安倍内閣総理大臣はTPP協定交渉への参加を表明し、四月十二日、TPP協定交渉参加に向けた日米協議に合意した。
そもそも、TPPは原則として関税を全て撤廃することとされており、我が国の農林水産業や農山漁村に深刻な打撃を与え、食料自給率の低下や地域経済・社会の崩壊を招くとともに、景観を保ち、国土を保全する多面的機能も維持できなくなるおそれがある。また、TPPにより食の安全・安心が脅かされるなど国民生活にも大きな影響を与えることが懸念される。
これまで本委員会では、平成十八年十二月に「日豪EPAの交渉開始に関する件」を、平成二十三年十二月に「環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉参加に向けた関係国との協議に関する件」をそれぞれ決議し、二国間、複数国間の経済連携協定が、我が国の農林水産業や国民生活に悪影響を与えることがないよう、政府に十分な対応を求めてきたところである。
こうした中、本年二月に行われた日米首脳会談における共同声明では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上のセンシティビティが存在することを認識」したとしており、政府は、この日米首脳会談において「聖域なき関税撤廃が前提ではない」旨確認したとして、TPP協定交渉への参加を決断した。
しかしながら、我が国には一定の農産品以外にも、守り抜くべき国益が存在し、この確認がどのように確保されていくのかについても、その具体的内容はいまだ明らかにされていない。そのため、各界各層の懸念はいまだに払拭されておらず、特に、交渉参加について農林水産業関係者をはじめ、幅広い国民の合意が形成されている状況ではない。
よって政府は、これらを踏まえ、TPP協定交渉参加に当たり、左記の事項の実現を図るよう重ねて強く求めるものである。
記
一 米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象とすること。十年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと。
二 残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、遺伝子組換え種子の規制、輸入原材料の原産地表示、BSEに係る牛肉の輸入措置等において、食の安全・安心及び食料の安定生産を損なわないこと。
三 国内の温暖化対策や木材自給率向上のための森林整備に不可欠な合板、製材の関税に最大限配慮すること。
四 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。仮に漁業補助金につき規律が設けられるとしても、過剰漁獲を招くものに限定し、漁港整備や所得支援など、持続的漁業の発展や多面的機能の発揮、更には震災復興に必要なものが確保されるようにすること。
五 濫訴防止策等を含まない、国の主権を損なうようなISD条項には合意しないこと。
六 交渉に当たっては、二国間交渉等にも留意しつつ、自然的・地理的条件に制約される農林水産分野の重要五品目などの聖域の確保を最優先し、それが確保できないと判断した場合は、脱退も辞さないものとすること。
七 交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。
八 交渉を進める中においても、国内農林水産業の構造改革の努力を加速するとともに、交渉の帰趨いかんでは、国内農林水産業、関連産業及び地域経済に及ぼす影響が甚大であることを十分に踏まえて、政府を挙げて対応すること。
右決議する。
転載ここまで――
アメリカの圧力に屈し、世界の趨勢に乗り遅れてはとしぶしぶのぞんだ(かのように思わせた)TPP交渉は、あれよあれよというまに日本が旗振り役を果たすようになっていた。
漏れ伝わる情報は、自民党公約や国会決議などどこの国の話しかと思わせるものばかり。
譲歩に次ぐ譲歩。
どころか、率先して交渉カードを切りまくっている。
しまいには、国益をかけてがんばるニュージーランドを甘利TPP担当相がしたり顔で批判する一幕も。
あまりにもひどい。
「大筋合意」の中身
結果、「大筋合意」の中身は、全輸入品目の95%で関税を撤廃。
農林水産物では81%の関税を撤廃。
これまで関税を撤廃したことがない834品目中395品目(47.7%)で新たに関税を撤廃する。
国会決議の第1項にあげられている重要農産物5項目は下図のようになった。
赤旗日曜版2015.11.1付 |
赤旗日曜版2015.11.1付 |
その合計586品目のうち3割、174品目で関税を撤廃した(図の「合計30%」)。
なかでも牛肉・豚肉にいたっては約7割の品目で関税を撤廃。
国会決議や自民党の選挙公約はいったいどうなるのか。
政府は2008年の食料自給率41%を2022年度までに50%に引き上げるという目標を立てていたが、今年の3/31、その目標を45%に引き下げた。
目標引き下げじたいけしからんが、それにしても39%から45%に引き上げるといっている。
だが、この「大筋合意」はこの目標達成に逆行しているのではないか。
言ってることとやってることが真逆だ。
赤旗2015.8.8付 |
そもそも食料自給率39%などという状態を政府・自民党は安全保障の面から見ても危機的状態だとは思わないのだろうか。
赤旗2015.4.22付 |
ブッシュ大統領が2001年7月に米農業クラブ連盟で行った演説を思い出す。
「食糧を自給できない国を想像できるか。そんな国は、国際的な圧力と危険にさらされている国だ。食料自給率は国家安全保障の問題であり、アメリカ国民の健康を守るために輸入食品に頼らなくてよいのは、何ともありがたいことか」
とても屈辱的だ。
国粋主義者たる安倍晋三は何とも思わないのだろうか。
赤旗2015.11.12付 |
自民党公約の4番目、国会決議の2番目の「食の安全・安心」はどうなるのか。
今でさえ増え続ける輸入食品に対する検査割合は右図の通り。
日本国民は安いからといって、農薬まみれの食品を食べたいか。
「安い」ということだっていつまでも保証できるものではない。
自国の食料がひっ迫した場合、どこの国が外国に安く食料を輸出するだろう。
このように食料に限っても問題だらけのTPPだが、非関税障壁の撤廃だといって、国民皆保険制度などを揺るがせかねないし、ISD条項など米大企業に国を売る毒薬ではないか。
ここで私がTPP「大筋合意」の問題点全般について述べるにはあまりに非力だ。
最後にアジア太平洋資料センター事務局長で、TPPについても警鐘を鳴らし続けている内田聖子のコメントを載せて終わりにする。
――ここから転載(赤旗日曜版2015.11.1付)
米国、諸国でも広がる反対
TPPは参加国それぞれのなかに反対の声があり、大きな矛盾を抱えています。たたかいはこれからです。
アメリカにとっては、雇用が最大の問題です。北米自由貿易協定(NAFTA)で工場がメキシコなどに移転し、失業が増えた苦い経験があります。TPPでも企業の海外進出で、国内の雇用が失われると、労働組合が強く反対しています。
大統領選の民主党有力候補であるクリントン前国務長官が、TPP反対の姿勢を示すなど、来年の大統領選挙の大きな争点に浮上しています。
ほかにも環境破壊、人権問題などの理由で、アメリカでは非常に多様なグループが反対しています。
バイオ医薬品のデータ保護期間では、オーストラリア、マレーシア、ペルー、チリが5年を主張し、アメリカの求める12年に強く反対しました。実質8年で一応妥協しましたが、オーストラリアなどにとって決して満足できるものではありません。
このように、TPPの調印・批准が簡単に進むとは思えません。
日本では農産物市場をかつてなく開放しました。日本に農業はいらないというものです。これは農民だけの問題ではありません。
食料の大半を海外に依存することが、いかに危険か。牛肉や豚肉が少し安くなったとして、ひきかえに食品の安全や安定供給を犠牲にして、それがメリットといえるでしょうか。
今後もTPPの実態を徹底的に明らかにして、調印・批准を阻止していきたいと思います。
転載ここまで――
NHKニュースでは、後日、農畜産業者の側の「苦しい」声も紹介していた。
NHKとしては公平を保っているつもりかもしれないが、消費者と生産者を分断するような結果になっている。
◆ マルバアサガオ(ヒルガオ科サツマイモ属) ◆
10月中旬に咲いているアサガオの仲間でいろいろ調べた結果、マルバアサガオではないかと思う。「松江の花図鑑」がその根拠。
NHKニュースでは、後日、農畜産業者の側の「苦しい」声も紹介していた。
NHKとしては公平を保っているつもりかもしれないが、消費者と生産者を分断するような結果になっている。
◆ マルバアサガオ(ヒルガオ科サツマイモ属) ◆
マルバアサガオ 2013.10.14撮影 |
弊ブログ拙文へのコメントありがとうございます!仰るとおりマルバアサガオで間違いないと思います!!
返信削除上記、一望さんのコメントは、私が「10月に咲くアサガオの仲間」でグーグル検索をかけた時、最初に訪問したブログでした。http://stressful.jugem.jp/?eid=129
返信削除続編がいくつかあって、楽しませてもらいました。
私の結論「マルバアサガオ」を一望さんのブログにコメントしたら、上記のように返事のコメントが来ました。