福江島へ渡る直前、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に内定するというニュースが報道され、けっきょく五島列島にあるほぼすべてのキリスト教会を巡るという変わった旅になってしまったが、この投稿はその旅行記ではない。
福江島の北側に久賀島(ひさがじま)というやや小さめな島がある。
久賀島田の浦にある案内板の一部 2019.5.7撮影 赤丸2カ所と斜体赤文字は太陽による |
世界遺産に指定された教会や集落などは長崎と熊本に合わせて12あるが、そのうちの4カ所が五島列島にある。
私は福江島の北東にある奥浦という港から旅客船で19分の田の浦に渡り、予約なしのレンタカーの関係で観光は午前中に終えざるを得ず、帰りの船を3時間近く港で待つ羽目になってしまった。
待合室で本でも読んでいようかとも思ったが、北西の方角に椿の林があるようなので、そちらの方へ散策することにした。
久賀島田の浦 2018.5.7撮影 |
海岸から山の方へ入って行くと、すぐに倉庫のような建物が見えた。
近づくと、牛舎であることがわかり、中でたくさんの牛が寝そべっている。
近づくと、牛舎であることがわかり、中でたくさんの牛が寝そべっている。
はっきりとはわからないのだが、糞尿にまみれた土のように思える。
牛舎の壁に「平成27年度 畜産競争力強化対策整備事業」と書かれたプレートが貼り付けてある。
意味がわからない。
この牛たちはいったいどのような境遇に置かれているのだろうか。
久賀島田の浦 2018.5.7撮影 |
リラックスして幸せそうにも見えるが、糞尿にまみれた劣悪な環境の中であきらめの人生(牛生)を送っているようにも見える。
途中で雨が降り出したので、目的の椿林に着く前に港に戻ることにした。
待合室で10分もたったころ、ドアががらっと開いて、一見漁師のようなおっちゃんが「あっちへもどるんか」と声をかけてきた。
そうですと答えると、「乗れや」という。
海上タクシーの運ちゃんだった。
奥浦から客を乗せてきて、からのまま戻るところだったようだ。
私が客になってくれればおっちゃんも嬉しかっただろうが、私にそんな気はないとみたらしく、男気を出してただで乗せて帰ってやろうというのだ。
ラッキーということで、その親切心に甘える。
まっすぐ奥浦に向かわず、久賀島のまわりを少し回りながら観光ガイドをしてくれる。
そこでたわしはあの牛のことを聞いた。
おっちゃんは、あの牛を見たら食べる気がなくなるじゃろ(方言は不確か、というより広島弁?)というので、そんなこと考えもしていなかったのだが、やはりあの牛たちは糞尿にまみれていたのか?
ただ単にわたしは牛の幸せのことだけを考えていた。
おっちゃんのいうことには、かつては放牧していたのだが、その糞尿が海に垂れ流しになったりして島民から苦情が出て、いまのような形になったらしい。
奥浦の海上タクシー「久栄丸」 2018.5.7撮影 |
ならば、「畜産競争力強化対策整備事業」というのは何なのかと思うが、そこまでは聞かなかった。
広島に戻ってこの海上タクシーのおっちゃんにはお礼のもみじまんじゅうを送ったのだが、この投稿を読まれた方も機会があればぜひこの人情味あふれるおっちゃんの久栄丸を利用してほしい。
さて、帰広して「畜産競争力強化対策整備事業」をネットで調べてみるのだが、農水省の解説を見てもイマイチよく分からない。
畜産農家のために、条件を満たせば国が助成金を出すしくみなのだろう。
久賀島の畜産家が地元住民から苦情がでたので、国の助成を受けて牛舎を作ったと理解したらいいんだろうか。
この久賀島の牛のことも忘れかけた頃、赤旗に次のような記事が載った。
すぐに久賀島の牛たちのことを思いだした。
記事は次のように具体的に牛の幸せについて書かれていた。
なんて幸せな牛たちなのだろう。
そして、なんと心優しく立派な人たちだろう。
その牛を食べることのできる人たちも幸せでいいな。
けっきょく牛は食べられるのだから不幸せではないか、なんてことはここでは言わない。
*久賀島の牛たちの境遇については私に誤解があるかもしれない。
赤旗(後半部分) 2018.9.11付 レイアウトは編集した |
そして、なんと心優しく立派な人たちだろう。
その牛を食べることのできる人たちも幸せでいいな。
けっきょく牛は食べられるのだから不幸せではないか、なんてことはここでは言わない。
*久賀島の牛たちの境遇については私に誤解があるかもしれない。
五島列島シリーズ④ ◆ ハマヒルガオ(ヒルガオ科ヒルガオ属)◆
日本中の海岸、とくに砂浜でよくお目にかかるおなじみの花。あまりに見慣れた花だが、いつも美しいと思う。
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