2017年3月1日水曜日

語るに落ちた稲田防衛相、そして自民党の「慰安婦像」は?

稲田朋美防衛相の国会答弁があまりにひどい。
なかでも南スーダン情勢についての次の答弁は最悪。

2017.2.9 赤旗記事の一部 赤線は筆者
稲田防衛相
毎日新聞WEBから
南スーダンで戦闘行為があったことになると、自衛隊の派遣が憲法違反になるから「戦闘」という言葉は使わないと稲田は言っている。
つまり戦闘があったことを言わずもがなに語っている。
これを「語るに落ちる」という。

ところで、この「語るに落ちる」という便利な日本語を、この稲田の国会答弁の論評に使った記事を見たり聞いたりしないのはなぜか。
少なくとも赤旗では目にしていない。
唯一、TBSのサンデーモーニングで中央大学教授の目加田説子が言ったのを聞いただけ。
目加田説子 朝日新聞WEBから

少し不安になって、「稲田防衛相 語るに落ちる」でグーグル検索してみると、たくさん見つかった。
何のことはない、私が知らなかっただけだった。

それにしても稲田はなぜこのような稚拙な答弁をしたのだろう。
バカなのだろうか。(またバカといってしまった)
そうはいっても稲田は弁護士だから頭はそうとういいはず。
いろいろ考えてみて、次の2つの可能性に思い至った。

1つめは単純なミステイク。
「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではない」ということは、たとえば閣議のなかでこのように申し合わせたということであればピッタリの表現だ。
閣議でなくとも、防衛省内での注意事項として確認しあったとか。
それをうかつにも稲田がまちがって別のペーパーを見ながらそのまま国会でしゃべってしまった。
または、バカだからしゃべっていいこととよくないことの区別がつかなかった。

2つめは確信犯。
「憲法9条上の問題になるからだ」という発言には、何か確信めいたものを感じる。
正しいこと(ここでは戦闘があったという事実)を言えば憲法9条上問題になる。
憲法9条があるから正しいことを言えない。
つまり、憲法9条というのは現実に合わないとても悪い条文だ。
だから憲法改正が必要でしょ、と稲田は言いたかったのだ。
ところが思いがけず「語るに落ちた」と批判された。

以上私の勝手な推測なので悪しからず。

今回の投稿は次からが本題なのだ。

昨年暮れの韓国政府と日本政府との合意により、「慰安婦」問題は不可逆的に解決したらしい。
お笑いだ。
元「慰安婦」や国民の声も聞かない腐敗にまみれた韓国政府と、これまた口先だけの反省を述べて不可逆的な解決だとうそぶく安倍政権との合意だ。

この合意問題については稿を改めて書いてみたいが、ここでは例の「少女像」についての自民党のこれまた噴飯物の言い分を考える。
赤旗 2017.2.3付
これはいったいどういうことだろうか。
「少女が慰安婦として犠牲になった」のは歴史的事実だ。
10代から20代前半の少女がほとんどだったのではないか。

約70年前、アジアの少女たちの青春が奪われた。日本軍は侵略する先々に、国内に少女を連行し、将兵のための「慰安婦」とした。韓国での直接取材にもとづき、強制連行、「慰安所」の暮らし、戦後の生活、と彼女たちの想像を絶する苦難を描く。旧版にこの20年の動きを加え、書名を変えて刊行。――岩波書店WEBから
「少女像」では少女が慰安婦になったと思われるので「慰安婦像」と呼ぶことにする。
この自民党の言い分はどう考えても理解できない。

現実に少女の像であるものを「慰安婦像」と呼べば、まさに少女が慰安婦になったということではないか。
これも「語るに落ちる」といえるのかな?

これから日本中が「少女像」を「慰安婦像」と呼ぶようになると、そのたびに少女が慰安婦になったんですよと確認するようなものだ。
韓国の少女像
まったく自民党、そしてそれに追随する外務省(官僚)の頭の中はどうなっているのだろう。

ところで、この赤旗の記事が2月3日なのだが、以後マスコミでどのように「少女像」を呼ぶのかと注視していた。
中国新聞(チャイナではないよ)は「少女像」のまま報道している。
他はよくわからないのだが、さすがに「慰安婦像」とは言えないのではないか。

しかし、つい数日前のNHKニュースでは「慰安婦像」と呼んでいた。
さすがNHKだ。

これからマスコミ等が広く「慰安婦像」と呼ぶようになったら、自民党はこれではまるで少女が慰安婦になったようだとして、これからは「少女像」と呼ぶことにすると言い出しそうだ。

◆ ヤブツバキ(ツバキ科ツバキ属)◆
ヤブツバキ 2013.12.7撮影
普通ツバキとよんでいるものがヤブツバキらしい。ツバキとサザンカが似ているが、ツバキの花は丸ごと落ちるのに対して、サザンカは花びらが分かれて散る。江戸時代の武家は首が落ちるといってツバキを嫌ったらしいが本当だろうか。

2 件のコメント:

  1. おっ、久々に復活されたのですね! よかったよかった(^O^)
    ところでこの稲田朋美、女性弁護士の官僚や閣僚への登用を女性の社会進出拡大に繋げるのかと思いきや、選択的夫婦別氏制度の法制化や男女共同参画社会基本法にも反対しているので「ウン?」と思って調べると、これが何と父親も右翼団体の幹部活動家であり、自身も若い頃から「生長の家」に染まって大人になり、小泉チルドレンの「刺客」一人として登用され、櫻井よしこも真っ青の「骨の髄からの右翼」でしたね。アベの考えそうなことです。
     何も女性がすべて「人権派弁護士」である必要はありませんが、彼女の場合は女性の社会進出とは無関係な次元での「人材活用」例です(+_+)
     海千山千の小池百合子などとちがって、根が生真面目で一途な右翼女だけに、アベから見れば国防担当にはうってつけなのでしょう。きっと、これからどんなことだってやりますよ、自分を見込んでくれたアベ様の側近として、意気に感じて(^_^.)

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  2. さっさくのコメントありがとうございます。
    ぼちぼちです。
    稲田朋美を最初に認識したのはドキュメント映画「靖国」ができたときだったと思います(国会議員になる前)。
    「靖国」上映反対の急先鋒で一躍有名になったし、映画のなかでも靖国神社内での右翼の集会で白いスーツ姿で声明を呼んでいた(だから上映反対したのかも)ことを思い出します。
    稲田は、雑誌WiLL2012年1月号で、田中康夫と対談し、「TPPは農業だけの問題ではなくて、国の文明、国柄の問題であって、参加すれば日本の国柄が破壊されるんですよ」と言っていました(http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20130305/1362414163)。
    右翼として立派でしたね。
    「成長の家」は「日本会議」の創設に最も深く関わった宗教団体ですが、知らないまにというか、かなり以前から方向転換してかつての国家神道原理主義を捨てて、わりとまともな宗教団体に変わったんですね。
    驚きでした。

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