赤旗2014.1.20付 一面トップ |
赤旗では選挙の結果は翌々日に載るのだが、なぜか今回だけは翌日の一面トップに載った。
“圧勝”とある。
さすがに最終票数は載っていなかったが、稲嶺19839票、末松15684票で、4155の票差だ。
この差は圧勝といっていいのかちょっと首をひねった。
得票率は55.8%に過ぎない。
オール沖縄で新基地建設反対だったのに。
ちなみに沖縄タイムスの見出しは“稲嶺氏大勝”とあり、本文の中では「大差をつけ」たとある。
琉球新報では「圧勝」とか「大勝」という言葉は見あたらない。
私としては、少なくとも2倍以上の差をつけて圧勝してほしかった(できれば10倍)。
5人の自民党沖縄県議員が石破に屈服し、自民党県連がそれに追随、仕上げは仲井真知事の正気を疑うような言動。
このような見るに耐えない人間の醜さを見せつけられたものとして、人間というものは信じるにたるものだという証拠をこの選挙から得たいと願っていた。
稲嶺が勝ったことは心から喜こんでいるのだが、この差ははっきりいってものたりない。
だが、
沖縄タイムスの1/20の社説は、「敗れたのは国と知事だ」という見出しで、次のように書いている。
「米軍普天間飛行場の辺野古への移設に対し名護市民は「ノー」の民意を、圧倒的多数意思として示した。国の露骨な圧力をはね返して勝ち取った歴史的な大勝である。同時に仲井真弘多知事が、辺野古埋め立てを承認したことに対し、市民が明確に拒否したことも意味する」
「それにしても、安倍政権・自民党の策を弄(ろう)するやり方は目に余った。
仲井真知事から年内の埋め立て承認を得るため、県関係国会議員、県連に圧力をかけ県外移設の公約を転換させた。知事の翻意を促すため沖縄振興予算を大盤振る舞いし、実効性の担保が乏しい基地負担軽減策を「口約束」した。
名護市に対する「アメとムチ」もあからさまだった。
市の喜瀬、許田、幸喜の3区にまたがるキャンプ・ハンセンの一部の返還で、国は幸喜の分を先に返すことを決めた。返還予定地は利用価値が低く、幸喜区には軍用地料が入らなくなる。辺野古移設への協力姿勢を示さなかった同区へのいやがらせとしか受け取れない」
同日の琉球新報の社説は、「誇り高い歴史的審判」という見出しだ。
「1996年の普天間返還合意以来、移設問題に翻弄(ほんろう)され苦痛を強いられてきた市民が、自らの意思で日米両政府による犠牲の強要をはね返した。これは子々孫々の代まで誇れる画期的な出来事だ」
この2紙の論調には感服してしまう。
ちなみに中国新聞の一面トップは「長野6度目V」(男子駅伝)だ。
社説はさすがに名護市長選であり、「『県外』民意は揺るがず」という見出しがついている。
――ここから転載(赤旗2014.1.21 社説)
名護市長選の審判
民意に従って新基地の断念を
米軍新基地建設問題を最大の焦点にした沖縄県名護市長選で、新基地反対を掲げた現職の稲嶺進市長が、自民などの推した候補を大差で破り再選を勝ち取ったのは市民・県民の歴史的勝利です。
菅義偉官房長官は選挙中「結果はどうあろうとも新基地建設は左右されない」といい、選挙結果がでたあとも新基地建設を「進めていきたい」とのべました。しかし住民の意思がこれほど鮮やかに示されても新基地建設を進めるというのは民主主義破壊のきわみであり、政権の横暴そのものです。政府は結果を重く受け止め、新基地建設をきっぱり断念すべきです。
強圧と札束に怒り爆発
稲嶺氏の勝利は、相手候補に4000票以上の大差をつけた文字通りの圧勝です。沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地の撤去に関連して名護市辺野古に巨大な米軍新基地を建設する計画が持ち上がっていらい十数年―5回の市長選挙が行われましたが、今回初めて相手候補が「推進」を掲げ、基地建設を許すのか阻止するのかの真正面からの対決となりました。その選挙で、しかも稲嶺市長は初当選した前回より大幅に得票を伸ばして再選されたのです。新基地建設に反対する市民の意思がこれほど鮮明に示された結果はありません。
安倍晋三政権は、文字通り沖縄が島ぐるみで反対してきた新基地建設を押し付けようと、「県外移設」を主張してきた自民党県連を押さえ込み、仲井真弘多沖縄県知事に振興策をちらつかせて辺野古埋め立てを承認させました。安倍政権と自民党は、選挙中も強権と札束で新基地建設を押し付ける態度をむきだしにしました。なかでも「基地は政府が決める」といいはなつ石破茂自民党幹事長が名護市入りし、名護振興基金として500億円だすと宣伝したのはその最たるものです。市民が「沖縄県民・名護市民をばかにするな」と怒りを爆発させたのは当然です。
選挙結果は、名護市民に新基地建設を押し付けようとした安倍政権と自民党に対する断固とした審判の結果です。共同通信の市長選の投票所での出口調査でも、投票した市民の65%以上が新基地に反対でした。新基地建設反対は、県民・市民の変わらぬ総意です。
沖縄県民が新基地に反対するのは、アジア太平洋戦争末期の沖縄戦で多くの県民の命が失われた痛苦の体験から「命(ぬち)どぅ宝」の言葉を大事にするからです。沖縄は戦後も長く米軍の占領下に置かれ、今も基地が密集し、県民が基地被害や墜落の危険に苦しめられています。沖縄の米軍基地を減らすどころか県内に新しい基地をつくって苦しみを押し付けるだけの県内移設に賛成できるはずはありません。民意に従って安倍政権は、沖縄への新基地建設の押し付けをきっぱりやめるべきです。
基地のない沖縄・日本を
米軍基地に苦しめられているのは沖縄県民だけではありません。占領が終わって半世紀以上たつのに、首都を含め国中に外国の基地が置かれている国は世界にありません。沖縄からも本土からも米軍基地を撤去すべきです。
名護での新基地建設阻止のたたかいはいよいよ正念場を迎えます。沖縄県民と本土が連帯をつよめ「基地のない沖縄」「基地のない日本」の実現にむけたたかいを発展させることが必要です。
◆ マルバルコウ(ヒルガオ科サツマイモ属) ◆
マルバルコウ 2013.9.5撮影 |
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