合わせて、増税による景気への悪影響を抑えるための景気対策もいくつか打ち出すみたいだ。
消費税の3%増税は、約8兆円。
その経済への悪影響対策のため、5兆円を支出するという。
これほど国民を馬鹿にした話はない。
消費税はその導入時、5%への増税時、そして今回の8%への増税、すべての局面で「消費税は福祉のため、社会福祉にすべて当てる、福祉を拡充する」という口実で行われてきた。
消費税が導入されて以後、医療、介護、年金などの社会福祉はどれか一つでも充実してきたものがあるだろうか。(高等学校授業料無償化を除いて)
医療では、
医療費自己負担は1割から2割になり、今は3割。
老人医療は外来月400円の定額から定率1割負担。
後期高齢者医療制度により、75歳以上は姥捨て山。
年金では、
段階的に支給開始を遅らせて、もうすぐすべて65歳からになり、さらには68歳、70歳へと逃げていく。
公明党主導で「100年安心」と叫んで始まった年金改革で、掛け金は毎年上がり、給付は下がり続ける。
この10月からは3年かけて2.5%削減だ。
導入時から「保険あって介護なし」といわれた介護保険も掛金は年々上がり、しっかり取られているのに1割負担が払えないため利用きない人がいっぱい。
最近は要支援の介護保険外しが企まれている。
障害者自立支援の名の下で、障害が重いほど負担が重くなるというひどい法律。
最後のセーフティネットの生活保護は、水際作戦を合法化し、ますます使いにくいものにしようとしているし、この8月からは3段階で保護費の削減が始まった。
……
この稿は社会福祉がテーマではないのでこれぐらいにしておく。
今許せないのは、消費税を増税するかわりに復興特別法人税を1年前倒しで廃止しようとしていることだ。
どこまで国民を馬鹿にするのだろうか。
2011年11月に野田政権が決めた東日本大震災からの復興のための財源は、国民が25年間所得税額を2.1%上乗せし(住民税は10年間1000円上乗せ)、企業は3年間法人税額の10%を上乗せするというもの。
「国民も企業もみんなで負担」とマスコミも宣伝したが、ここには大きなごまかしがあった。
法人税は5%近く減税した上での増税であり、実質は増税どころか最初から2%近くの減税なのだ。
この件については「消費税増税反対60%は多いか少ないか」で書いた。
そのような国民だましで決めた企業負担を、今回1年間前倒しで廃止するというのだ。
その理由が消費税増税のためという。
このような露骨なことをされて、はらわたが煮えくり返らない人がいるのだろうか。
今まで消費税は法人税減税や富裕層の所得減税の穴埋めにされてきたのであり、決して福祉のために使われてきたのではない。
このブログで3回ぐらい使ったかな |
国民は愚弄されているとしか思えない。
赤旗は9/25付の社説でこの件を書いた(末尾に転載)。
一般紙はどうなのかわからなかったのだが、9/27付の赤旗に次の記事が載った。
赤旗2013.9.27付 |
みなさん、法人税はそもそももうかっている企業にしかかからないものです。東日本大震災という未曽有の被害から復興をはかるために、せめてもうかっているところには、少しだけ負担してもらおう、この措置を3年で終わらせないでもう少し続けてもらおう、そういう話なら百歩譲ってまだ分かる。
ところが安倍政権は、国民には所得税を25年間、住民税を10年間増税しておきながら、もうかっている企業だけには負担を前倒しで軽くしてやる。これほどあからさまな大企業奉仕の政治を私はかつて見たことがありません。
たっぷり内部留保をため込んだ大企業には空前のバラマキをしてやる一方で、日々の暮らしや営業に苦しむ庶民には、史上最大の消費税の増税をおしつけて所得を奪う。これでは、まるで“悪代官”。絶対に許すわけにはいきません。
この安倍だけは一刻も早く政治の世界から退場してほしい。
――ここから転載(赤旗2013.9.25付社説)
復興特別法人税 増税でもないのになぜ廃止か
安倍晋三政権は、来年4月からの消費税増税のために追加的な経済対策を打ち出そうとしていますが、その目玉となっているのが大企業向けの減税です。消費税の増税を国民に押し付けるため、大企業に減税するというのは、まったくつじつまの合わない本末転倒の対策です。しかも、そのために東日本大震災の「復興特別法人税」を1年前倒しして来年度から廃止するというのは、被災者の気持ちを踏みにじっています。特別法人税は減税と抱き合わせで大企業に負担になっていません。所得税や住民税が増税された国民とくらべても、廃止は納得がいきません。
実質減税の法人税
民主党政権時代に、自民党や公明党も賛成して決めた復興財源は、もともと復興にどれだけかかるかもわからないのにあらかじめ17兆円と枠組みを決め、所得税・住民税と法人税に負担を求めてきたものです。しかもそのさい、所得税は2013年度から25年間税額に2・1%を上乗せし、個人住民税は14年度から10年間均等割に1000円上乗せすると、文字通りの「増税」を決めたのに、法人税については国税と地方税を合わせた実効税率を引き下げたうえ、12年度から3年間に限って税額に10%上乗せするとしただけです。大幅減税と抱き合わせで実際には負担は増えるどころか減っています。
東京23区内に本社を置く大企業の場合、それまで40・69%だった実効税率が35・64%に引き下げられており、それに復興特別法人税を上積みしても実効税率は38・01%にしかなりませんでした。「復興増税」とは名ばかりで、実際には増税になっていない特別税を率先して廃止するなどというのは、まったく大企業の負担軽減しか念頭にない不当なものです。
本来、未曽有の震災に対応するというなら、復興に必要な財源は財政や税制の既存の枠組みを前提にするのではなく大胆に見直し、確保するのが当然です。日本共産党は大企業・大資産家への減税バラマキと歳出の浪費にメスを入れるよう求めて庶民増税に反対しました。ところがそうした声にはまったく耳を貸さず庶民には増税を押し付け、大企業向けにはわずかな上積みだけで、それさえ率先して廃止するというのは言語道断というほかありません。
しかもその口実が、来年4月からの消費税増税を実行するためというのは、二重三重に国民をばかにした話です。税金分は売値に転嫁できる消費税は力の強い大企業にとって負担になっておらず、輸出に回した分は税額の還付が受けられるなどの仕組みで、逆に大企業のふところを潤しています。消費税の増税で打撃を受ける多くの庶民や中小業者を尻目に、大企業の減税を強行するというのは、文字通り国民無視のきわみです。
実効税率さらに引き下げ
見過ごせないのは、安倍政権が大企業に対し来年度から特別法人税を1年前倒しで廃止するだけでなく、再来年度からは法人税の実効税率をさらに引き下げようとしていることです。大盤振る舞いそのものです。大企業の税負担を軽くし、大企業のもうけを増やしても、それだけでは雇用も賃金も改善しません。消費税の増税は中止し、国民の所得を増やし経済を活発にして暮らしを向上させる政治に、根本から転換すべきです。
追記:2013.9.30
昨日9/29付赤旗に「消費税大増税… アベノミクスの天国(大企業)と地獄(庶民)」のイラストが載っていた。
赤旗2013.9.29付 イラスト 井桁裕子 |
◆ マンテマ(ナデシコ科マンテマ属) ◆
マンテマ 2013.5.23撮影 |
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