絶対負けるはずがないと思っていた伊礼悠紀が大差で負けた。
赤旗 2021.2.9付 レイアウトは変えた |
なぜこんな結果になるんだろうかと考えてみた。
私が伊礼悠紀を初めて知ったのは8年前の浦添市議選のとき。
彼女は若干30歳で市議選に共産党から初出馬。
8年前の赤旗一面は見出しも写真も喜びいっぱい。
赤旗 2013.2.13付 |
共産党の候補2人が1位2位独占で当選というめったにない快挙だった。
というか、今まで見たことも聞いたこともない夢のような結果だ。
それから4年、伊礼悠紀の地元での活躍が特に赤旗で紹介されるわけでもなく、私も沖縄の新聞を読んでいるわけでもなく、ほとんど忘れかけていたときにまたもや市議選でトップ当選の報(4年前の赤旗一面)。
おまけに共産党3人目が15位で当選。
伊礼悠紀が前回に続けてトップ当選したということは、初議席を得てからの4年間の活動が評価されたと考えていいのだろう。
圧倒的な人気ではないか。
その彼女が今回は市長選に立候補するという。
なぜ?
上記3本の赤旗記事に赤線で示したように、浦添市ではずっと那覇にある米軍軍港の浦添移設が問題になっている。
那覇軍港は1974年に日米政府が日本に返還することで合意している。
それから41年が経つのに、返還は実現していない。
それは、浦添への移設が条件になっているからだ。
すでに基地機能を失っている那覇軍港に変わり、浦添の海を埋め立ててに最新鋭の軍港をつくるなど、辺野古新基地建設とよく似た構図だ。
伊礼悠紀が市議選で初当選した2013年、同時に行われた市長選で、今回現職で当選した松本哲治が軍港移設反対を訴え、移設容認の現職を破って初当選した(現職は最下位で落選)。
8年前、松本哲治は今回立候補した伊礼悠紀と同じ公約で初当選したのだ。
その松本は2年後の2015年に公約を破って移設容認に変わる。
その松本が次の市長選で再選されたことは解せないが、どうも独自の移設案を掲げて当選したらしい。
その独自の移設案、新たな公約といってもいいが、それも昨年撤回して、結局当初の県・那覇市の案を容認した。
つまり、松本哲治は2度公約を破ったといわれている。
琉球新報 2021.2.7から |
以上の経過から考えても、伊礼の当選はまちがいないと思っていたのは私だけではないだろう。
左の「政策早見表」の最上段は那覇軍港浦添移設の賛否、最下段は管政権への評価。
この2つだけ見ても伊礼が当選するのはあたりまえではないか。
ではなぜ、伊礼悠紀は負けたのか。
琉球新報の分析
2月9日の琉球新報に「現職大勝の波紋 2・7浦添市長選」という2日連載(上・下)の記事がある。
その(上)の記事では、伊礼悠紀の敗因を次のように分析している。
- 軍港移設を巡る与党内の意見の相違により「オール沖縄」体制を構築できなかった。
- 伊礼ゆうきの共産党党籍をめぐって社民党、社会大衆党、共産党、そして伊礼氏本人の思惑が絡み、最終的に党籍を離脱しての出馬表明が12月23日とずれ込んだ。
- 伊礼氏の市議時代の活動拠点は市東部であったため、西部地域での知名度が低かった。
- 候補者を支える政党が、それぞれの「お家事情」で万全な支援態勢を組めなかった。
- 軍港移設を容認している浦添市出身の県議会議長と、同氏に近い市政野党の市議選候補者も伊礼氏と距離を置いた。
それぞれの項目のくわしい解説はここではしないが、どれもこれも決定的要因とは思えない。
伊礼悠紀の「軍港移設絶対反対」の強い意志と、彼女の市議選2回連続トップ当選という人気、史上最年少・史上初の女性市長、看護師出身の容姿端麗なシングルマザーなどなど、圧倒的に無党派層の若者を巻き込んで勝利に突き進んでいくものとばかり思っていた。
民意再編
「軍港がほしいと思っている方は浦添にはいない」と現職の松本も認めている。
琉球新報の出口調査でも、最大の争点は軍港移設問題となっている。
ここまで市民の思いと候補者2人の公約がはっきりわかっていてなぜ伊礼が負けるのか。
つまり、軍港は欲しくないが、その見返りには変えられないということだろうか。
防衛省に資料によると、07~19年度までに、浦添市に交付された再編交付金の合計額は14億5200万円となっている。(琉球新報 2020.8.24付から)
「民意再編」という言葉は、昨年の8月に放映されたNNNドキュメント「民意再編 戦後75年 岩国の選択」でけっこう衝撃を受けた言葉だ。
後日この岩国基地のことについても書きたいと思っているが、要するに、最後はお金の力にみんな負けてしまうということ。
辺野古の地元、原発再稼働の地元、よく考えたらちっとも驚くことではない。
香港でも若者は圧倒的に反本土だが、全体では4割が親中国だ。
経済的に豊かになるのであれば少々のことはがまんできる。
それでも、岩国よお前もか、という感じでショックを受けた番組だった。
伊礼悠紀が負けたのはこの民意再編が原因だったのではないか。
今回の投稿は結論がちょっと強引過ぎたかも。
またちょっと女性に対して偏見があったかも。
大目に見てください。
五島列島シリーズ㊷ ◆ アザミのなかま(キク科アザミ属)◆
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