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2019年7月18日木曜日

参院選―若者は自ら「殺し殺される国」になる道を選択するのか

中国新聞 2019.7.18付
投票日が3日後に迫った参院選だが、これについては自分の余裕のなさから1度だけ投稿しておこうということでの前回の投稿だったのだが、今朝の中国新聞を見て気が変わった。

赤旗以外の商業新聞は読まないことにしている私だが(赤旗は商業新聞ではないけれど)、実は中国新聞もとっていて、ごくまれに見る。
今朝の中国新聞1面の大見出しは「22の1人区 自民優位 野党優勢は2選挙区」だった。
32ある1人区の選挙区においては、野党はすべて共闘を実現し、市民と共同してすべて勝利する予定だった。
話がちがうんではないか。

3年前の参院選では32の内11で野党共闘が勝利したのだ。
その時よりも後退する情勢だとは!

今回の参院選における争点はいくつもあるが、最も重大な争点を1つだけあげるとすれば、それは憲法9条改憲だと思っている。
それは安倍が長年ずっと抱いていた野望なのだ。

この安倍の野望については私のブログでは7年前の「安倍自民党新総裁 軍国主義の亡霊が再復活」で初めてふれた。
またその時の総選挙のときには初めてEメールで投票依頼をして、あとでそれは選挙違反だとわかってあせったりもした。(「憲法改悪の危険性をなぜわからないのだろう」)
他に「『殺し、殺される国』にしていいのか」という投稿もした。
すべて安倍政権が復活した7年前のことだ。

この野望に向けて着々と準備を進めてきた安倍は、今までの選挙においては公約としてあげておきながら背面に隠すようにしておいたものだが、今回の参院選で初めてこの9条改憲を前面に公約として打ち出した。

つまり、今回の選挙において改憲勢力である自公維で3分の2以上を確保すれば、民意を得たとばかり安倍の得意技である強権によって一気に9条改憲は進む恐れが大なのだ。

安倍流9条改憲(自民党案)とは、現状の9条の項目2つはそのままにしておいて、新たに2つの項目を付け加えるものだ(公明党の「加憲」と合致!)。

<今の憲法9条>
(戦争の放棄、戦力不保持、交戦権の否認)
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

<9条の2の条文イメージ>(自民党のたたき台素案)
1 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する
2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

そして、安倍は選挙前においては何度も何度も繰り返し「今までと何も変わらない、自衛隊を憲法に明記するだけ」と言ってきた。

「何も変わらない」というのは共産党や多くの識者によって大ウソだということがすでに暴露されている(「前条の規定が死文化される」など)わけだが、今回の参議院選における論戦によっていよいよその危険性があらわになった。

今回の参院選で何度か開かれた党首討論において、志位委員長は安倍が2004年発行の自身の著書「この国を守る決意」の中で次のように述べていることを指摘した。

いうまでもなく、軍事同盟というのは、“血の同盟”です。
日本がもし外敵から攻撃を受ければ、アメリカの若者が血を流します。
しかし今の憲法解釈のもとでは、日本の自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはないわけです。
実際にそういう事態になる可能性は極めて小さいのですが。
しかし完全なイコールパートナーと言えるでしょうか。

これは小泉内閣の課題ということではありませんが、日米安保をより持続可能なものとし、双務性を高めるということは、具体的には集団的自衛権の行使だと思います。
この問題から目をそむけていて、ただ、アメリカに文句を言っていても物事は前進しませんし、われわれの安全保障にとっても有益ではないと思います。
――引用ここまで

この安倍が言っていることは、つい最近のトランプ大統領の発言と軌を一にする。

トランプの6月26日の発言「日本が攻撃された時、アメリカは第3次世界大戦を戦い、猛烈な犠牲を払うことになるが、アメリカが攻撃されて救援が必要なとき、日本はソニーのテレビで見物するだけだ」

そして、日米安保条約の破棄の可能性まで言及している(なんとありがたいことだろう)。

この間の党首討論の要約を赤旗は次のようにまとめている。
赤旗 2019.7.10付 レイアウトは編集した
「自衛隊を憲法に明記するだけで今までと何も変わらない」という安倍の大ウソは、ここでも「語るに落ちる」形で再びあらわになった。

つまりそういうことなのだ。

全世界に展開する米軍のために「血を流し」て戦う自衛隊にすることが憲法を変える本当の目的

なのだ。
このことを最大の公約として安倍は今回の参院選を戦っている。
そして、自公維の改憲戦力が3分の2以上を占めると、日本はアメリカのために「殺し殺される国」になるとここまで党首討論で明らかになっているにもかかわらず、自民党はまたもや勝ちそうな勢いらしい。

朝日新聞 2019.7.1付
いったいどういう人たちが自公維を勝たせようとしているのだ。

先日知人から7月1日付の朝日新聞を見せてもらった。
<「安倍支持」の空気 2019参院選>というテーマの3回シリーズの1回目に次のようなことが書かれていた。

安倍内閣の支持率は、18~39歳の男性で際だって高いのが特徴だ。
朝日新聞の世論調査で過去3年の平均をみると、18~29歳の男性は57.5%、30代男性は52.8%。男女の全体は42.5%だった。
さらに、閣僚らの不祥事が起きても、この世代の支持率は一時下がってすぐに回復する。
――引用ここまで(朝日デジタル版ではここ

安倍内閣の支持率は18~39歳の男性で際立って高い!
とくに18~29歳の男性が一番高い!!

なんてこった!
まっさきに戦争に動員される人たちだ。

もちろん9条改憲が本当になされるかどうかわからないし(国民投票の壁もある)、たとえ改憲されてもすぐに自衛隊が戦場へ出向くわけでもないだろうし(アメリカの都合によってはすぐにでもありうる)、まして徴兵制は今のところない(経済的徴兵制はすでに行われている)。

しかし、自公維が3分の2以上とると、確実にその方向へ向かう強力な力がはたらくのだ。
自分や子や孫が戦場におもむき、アメリカ軍の指図のもと「殺し殺される」ことになってもいいのか。
日本がそのような国になってもいいのか。

 追記 2019.7.17 

安倍の改憲への野望については、今回は9条にしぼって述べたが、彼の野望は日本国憲法の全文改定だ。
彼のその憲法観については、「日本国憲法の誕生 ①安倍晋三の憲法観 その1」と「日本国憲法の誕生 ②安倍晋三の憲法観 その2」で少しくわしく述べたので、参照していただければ幸いだ。


 五島列島シリーズ⑪  ◆ 鬼岳(アスピーテ科ホマーテ属 冗談だよ)◆


鬼岳 2018.5.5撮影 福江島
鬼岳は「おんだけ」と読む。福江島の東端にあり、前回までの鐙瀬溶岩海岸に近く標高315mの福江島のシンボル的な存在になっている火山だ。中央のくぼんでいるところが火口で、まわりが外輪山のようになっている。ほぼすべてが草原で気持ちが良い。私は約1時間半かけてのんびり1周した。アスピーテとかホマーテというのは火山の種類で、まあ無視してください。

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