ページ

2021年6月27日日曜日

正気を失った東京オリンピック開催

小林節 慶応大名誉教授

政府はいまだに東京五輪・パラリンピックを「開催する」と言っていますが、気は確かなのか

と6月6日付の赤旗日曜版一面で小林節が言っている。
同じく赤旗日曜版5月16日付では青木理が次のように言っている。

青木理
五輪・パラリンピックについて、いいかげんに政府は正気を取り戻し、冷静な判断を下すべきです。

多くの良識ある人々は同じ思いだろう。

そもそも安倍晋三が「福島第1の汚染水はアンダーコントロール」と世界中に大ウソをついて招致したオリンピックだ。
そのことだけでもオリンピックは返上してしかるべきだった。
アーサー・ビナードも8年前(2013年12月22日)のサンデーモーニングでそう言っている。
以来、新国立競技場建設での迷走、エンブレム騒動、猛暑問題・・・。

特にJOC会長だった竹田恒和が東京オリンピック招致委員会理事長だった時に200万ドル以上を使って不当なロビー活動をしたと言われる疑惑は、彼がJOC会長辞任、IOC委員退任した後ウヤムヤになってしまっているが、まさに汚辱にまみれた東京オリンピックの象徴的事件といえるだろう。

つまり、今回のコロナ禍以前に東京オリンピックは十分恥ずべきものになっていた。

東京オリンピック開催の目的にしても、最初は「福島が復興した証として」と言い、コロナパンデミックからは「人類がコロナに打ち勝った証として」に変わる。
どちらにしてもその証は絵に描いた餅になり、逆に東京オリンピックが福島復興の足をずっと引っ張ってきたし、ひょっとしたら世界中に新たなコロナパンデミック旋風を巻き起こす恐れさえある。

ここからは今年になってからのこと。

日本共産党の志位委員長は今年1月21日の衆議院本会議における代表質問で、オリンピックに関しては次のように質問した。

夏の東京五輪は中止し、コロナ収束に集中を―政府に再検討を求める
2021.1.21 衆院本会議 志位和夫の代表質問から抜粋

質問する志位和夫委員長
総理は、施政方針演説で、今年の夏の東京オリンピック・パラリンピックを「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」として開催するとのべました。
しかし、コロナ危機の拡大のもと、世論調査でも、「中止」「再延期」を求める声はすでに8割を超えています。
総理は、いったい何を根拠に、夏の東京五輪の開催が可能だというのですか。
説明いただきたい。

わが党は、夏の東京五輪の開催は、いくつもの重大な問題点があると考えます。

第一に、一部の国でワクチン接種が始まったものの、集団免疫については、WHO(世界保健機関)の主任科学者は「2021年中に達成することはありえない。いくつかの国ではできるかもしれないが、世界全体の人が守られる水準になることはない」とのべています。
ワクチンを頼りに開催を展望することはできないのではありませんか。

第二に、アスリートが最も強く願っているフェアな大会という点でも、各国の感染状況の違いによってアスリートの置かれている練習などの環境に大きな格差があり、ワクチンの接種でも先進国と途上国の間で格差が生じています。
「アスリート・ファースト」という立場からも、開催できる条件がないのではありませんか。

第三に、五輪開催期間中に必要とされる医療従事者は、熱中症対策だけでも5千人とされています。
これにPCR検査などコロナ対策を加えたら、それをはるかに上回る医療従事者が必要となるでしょう。
半年後に、多数の医療従事者を医療現場から引き離して、五輪に振り向けることは、とても現実的ではないのではありませんか。

総理は、これらの問題点をどう考えますか。

日本共産党は、これらの問題点を考慮するならば、今年夏の五輪開催は中止し、日本と世界のあらゆる力をコロナ収束に集中するべきだと考えるものです。

総理に求めたい。
開催国の政府として、「五輪開催ありき」でなく、ここで立ち止まって、ゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)などとの協議を開始すべきではありませんか。答弁を求めます。

管首相は以後何を聞かれても「安全安心な大会を実現」「安全安心な大会を開催」などと「安全安心」を呪文のように唱えるようになる。

次は6月9日に行われた党首討論。
共産党はわずか5分という持ち時間で次のような討論を行った(YouTubeはここ)。

命をリスクにさらしてまでオリンピックを開催しなければならない理由は?
2021.6.9 党首討論 志位和夫

管首相と討論する志位和夫委員長 参院第1委員会

志位
 総理はオリンピック・パラリンピックについて、「国民の命と健康を守るのは私の責任だ。守れなければ(オリンピックを)やらないのは当然だ」と答弁されました。
そこで聞きます。

政府の分科会の尾身会長は、国会答弁で、たとえオリンピックの競技会場の中での感染拡大が抑えられたとしても、オリンピックを開催することで、国内で次の三つの点で人の流れが増えてしまうということを指摘しています。

第一は、全国からオリンピックの競技会場に観客が移動するということです。
緊急事態宣言レベルの制限を行っても、観客数はのべ310万人になるとの試算もあります。

第二は、競技会場の外で行うさまざまなイベントに観客が集まるということです。
政府の発表によれば、組織委員会などが主催する「ライブサイト」が19自治体、30会場で計画されています。
全国の自治体が主催する「コミュニティ・ライブサイト」が145自治体、227会場で計画されています。
それに加えて、団体・組織が主催するパブリックビューイングが無数に開催されます。
ここでも大規模な人の流れが起こることは必至であります。

そして第三は、夏の4連休やお盆で、感染を避けようと、都会から地方への人の流れが起こるということです。
こうした人の流れで感染が地方で急拡大したということを、私たちは何度も体験していますが、こうした事態が大規模に起こることになります。

尾身会長は、一昨日の国会答弁で、こう述べました。
「オリンピックを開催すれば、今より感染リスクが高くなるのはどう考えても普通だ。開催するというならリスクを最小限にすることが必要だが、ゼロにはできない」。

リスクをゼロにはできないということは、オリンピックを開催することで、新たな感染拡大の波が起こる危険があるということです。
新たな感染拡大が起これば、それに伴って重症者が増える。
そして亡くなる方も増えるんです。

そこで総理に聞きます。
そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由は一体何なんでしょうか。
私は、国民に長期間の我慢を強いながら、オリンピックを開催することで、新たに亡くなる方が増えるなどということはあってはならないし、そういうオリンピックは開催する意義はないと考えますが、総理は、そうまでしてオリンピックを開催しなければならない理由をどう説明されますか。
端的にお答えください。
そうまでして開催しなければならない理由です。

 尾身先生のお話がありました。
尾身先生については分科会の担当の西村大臣、毎日のように緊密に意見交換しており、私も報告を受けております。
当然、尾身先生のご意見も参考にして感染対策の詰めというのは、これは行っていく、こういうことになるだろうというふうに思います。
いま志位委員長が前提で言われてたことをすべて行うかどうかもまだ決まってないんじゃないでしょうか。

志位 私が聞いたことに答えていない。
私が聞いたのは、いま命をリスクにさらしてまでオリンピックを開催しなければならない理由ですよ。
感染対策いくらやっても、リスクを下げることはできるかもしれないけれども、ゼロにはできないんです。
理由を答えてください。

 国民の命と安全を守るのは私の責務ですから、そうでなければできないということを私申し上げてるんじゃないですか。
守るのが私の責任であります。
守れなくなったらやらないのは、これ当然だと思いますよ。
それが前提だということを私、先般申し上げました。

志位 私は、いまのままやったら明らかにリスクが増えると。
これはもう専門家からも明らかになっている。
そのときなぜ、そういう状況のもとで、まだオリンピックをやめると言ってないでしょう。
それをなぜ、開催するのかの理由を聞いたけど、お答えがない。

埼玉県の大野知事は県内2カ所で予定していたパブリックビューイングの中止を発表しました。
「感動の共有」、そして「感染リスク」。
これを比較して、中止を判断したわけですけれど、これが当たり前だと思いますよ。

国民の命よりも大事なものはないんです。
日本国民の命を、私は、ギャンブルにかけるようなことは、絶対にやるべきじゃない。
オリンピック・パラリンピックは中止して、そして、あらゆる力をコロナ収束に集中させるべきだということを求めて終わります。

「国民の命をさらしてまでオリンピックを開催するのはなぜか」「国民の命をギャンブルにかけるな」と志位委員長は詰めたわけだが、誰が(感染症対策分科会尾身会長や天皇でさえ?!)何を言おうが政府は五輪開催に突っ走ろうとする。

YouTubeで「一月万冊」というチャンネルがあって、毎日のように五輪開催推進者をブラックジョークを交えて徹底的に笑い飛ばし、木っ端微塵に批判している。
いわく、インパール作戦、バッハぼったくり男爵、五輪貴族に仕えるボランティア、敵前逃亡、御聖断などなど。

まあ志位委員長でさえ、IOCのコーツ副会長が、緊急事態宣言のもとでも五輪を開催するかと問われ「もちろんイエスだ」と答えたり、バッハ会長が「(東京五輪開催のために)誰もがいくらかの犠牲を払わなければいけない」と言ったり、最古参委員のパウンド氏が「菅首相が中止を求めても、大会は開催される」とまで発言したことに対して、「いったいIOCは何様か、日本はIOCの植民地か」と怒りを抑えきれない(志位委員長の記者会見)。

さて、東京都議選が告示され、五輪開催が大きな争点になっている。
告示2日前に共産党都議団が談話を出した(全文はここ)。
赤旗 2021.6.24付

子どもたちを五輪に動員する「学校連携観戦」、一月万冊流にいえばまさに「学徒動員」だ。
恐ろしいとしか言いようがない。

都議選告示日に志位委員長が新宿駅西口で行った演説の東京五輪に関する部分を掲載する。

都議選の大争点
「五輪より命を」「五輪中止し命を守れ」の1票を日本共産党へ
2021.6.25 都議選 志位委員長の第一声から抜粋(演説全体はここ

さてみなさん、東京オリンピック・パラリンピックをこのまま開催していいのか。これが都議選の大争点になっています。

「オリンピックより命を大切にする政治を」――この願いを日本共産党に

第一声で訴える志位和夫委員長
私は、いま問われているのは、たいへんにシンプルな問題だと思います。
「オリンピックと命とどちらを大切にするのか」という問題です。
このように問えば、「もちろん命が大切」と圧倒的多数の都民のみなさんは答えるのではないでしょうか。

ところが、菅政権と小池都政がやっていることは反対です。
「命よりオリンピック」――オリンピック最優先で、国民の命は二の次にしているではありませんか。

「無観客が望ましい」という専門家の提言すら無視して、1会場「上限1万」、1日最大20万人にもなる有観客の方針を決めました。
みなさん、「観客を入れたオリンピックなどとんでもない」という声を上げようではありませんか。(拍手)

園児から高校生まで90万人をオリンピックの観戦に動員しようとしていることも大問題です。
目黒区や文京区では中止を決めましたけれども、当然のことです。
みなさん、「子どもたちをオリンピックに動員するな」、この声も広げようではありませんか。(拍手)

「命よりオリンピック」――こういう政治に厳しい審判を下しましょう。

「オリンピックより命を大切にする政治を」――この願いを、どうかこぞって日本共産党に託してください。よろしくお願いいたします。(拍手)

命を守る最良の方法は五輪中止――政治の根本姿勢が問われている

もう一点、訴えたいことがあります。
都民・国民の命を守る最良の方法は何か。
オリンピックをきっぱり中止することではないでしょうか。(拍手)

オリンピックを開催すれば、感染リスクが高くなること、どんな対策をとっても追加のリスクをゼロにすることはできないことは、政府分科会の尾身(茂)会長も国会答弁で認めました。
オリンピックを開催した場合、最悪のケースで、7月末には東京の新規感染者が2000人を超えるという試算もあります。
新たな感染拡大の波が起これば、重症者も増えます。
そして亡くなる方も増えることになります。

私は、政治の根本姿勢が問われていると思います。
政治の根本姿勢として、「オリンピック開催によって亡くなる方が増えても仕方ない」という立場には決して立ってはならない、このことを言いたいと思います(拍手)。
そういうオリンピックならば開催する意義はない、こうはっきり言い切ることこそ、政治の役目ではないでしょうか。(拍手)

都議選の審判で止められる――「五輪を中止して命を守れ」の1票を日本共産党に

ここまできて、「そうは言っても、中止は難しいのでは」という声もあるかもしれません。
ただみなさん、当たり前のことですが、オリンピックというのは自然現象ではありません。
地震や津波や台風とは違うんです。
人間が行うイベントです。
だから、政治が決断すればいつでも中止することができます。

菅首相と小池知事が、何が何でもオリンピックを開催するというのだったら、都民の意思を示そうじゃないですか。
7月4日の都議選で審判を下そうじゃありませんか(拍手)。
7月4日からオリンピックの開会日まで20日近くあります。
中止を決めるのに十分な期間じゃないですか。
間に合わないなどということはありません。

どうかみなさん、都議選で日本共産党を躍進させてください。
日本共産党を躍進させれば、オリンピックを止める道が開かれてまいります。

「オリンピックを中止し命を守れ」――この1票は、どうか党派の違いを超えて、日本共産党に託してください。
大山とも子さんにお寄せください。よろしくお願いします。(拍手)

ということで、やつらに正気を取り戻させるためには都議会選挙における日本共産党が躍進しなければいけない。
なにしろ多くの人の命がかかっているのだから。
投票日の7月4日をドキドキワクワクしながら待っている。
赤旗日曜版 2021.6.6付


◆ オニタビラコ(キク科オニタビラコ属)◆

オニタビラコ 2015.4.12撮影
河口近くの埋め立て地。これほどオニタビラコが群生しているのは初めて見るような気がした。これによく似た花で、ずっと背丈が小さいのをコオニタビラコといって、春の七草でいうホトケノザとはこのコオニタビラコのことだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿