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2012年8月8日水曜日

サウジアラビア女性選手の背景にあるもの

さきほどオリンピック陸上女子800メートルの予選をNHKが生中継していた。
7人の先を走る集団から1人だけが目立って遅れている。
ほとんどの選手がセパレートのウェアを着ている中で、頭にはヘジャブ(スカーフ)をかぶり、腕は手首まで足は足首までの長いウェアを着ている。
ある意味いっしゅ異様だ。

観客の拍手は最後の選手がゴールをするまで鳴り止まない。
この光景をNHKのアナウンサーは、1位でゴールする選手に拍手するだけでなく、このように最後になってもあきらめずに走る選手にも暖かい拍手を送るのがオリンピックのすばらしいところだなどと解説する。

このように脳天気な解説でいいのだろうかと思う。

国際オリンピック委員会は今回のロンドンオリンピックにおいて全参加国が女子選手を出場させることを目標にしていた。
そのために今まで女子を出場させなかったサウジアラビアを含むイスラム圏の数か国に女子選手の参加を強く要請した。
その要請に応えて、今回初めてオリンピック出場となった女性選手が何人もいるのだ。
サウジアラビアからは柔道のシャハルハニと陸上800メートルのサラ・アッタールの2人が初参加となった。
そして今回のオリンピックは初めて全参加国が女子選手を出場させるという歴史的なものになった。

柔道については開催前からスカーフが問題になり、IOCは譲歩してスカーフ直用を認めた。
大会ではシャハルハニがスカーフの代用として黒い水泳帽のようなものをかぶって78キロ超級に出場した。
IOCが譲歩したからシャハルハニの側もギリギリの線で譲歩したのではないかと思う。
ところがサウジアラビア国内でツイッターなどで彼女を批判する意見が続出し、父親が投稿者を提訴する考えだといった騒動が起きた。

イスラム圏における強烈な女性蔑視の思想、女性は車の運転さえ許されないサウジアラビアは際立っているのかもしれないが、その実態を克服しようとする多くの努力(今回のIOCもそうだ)がある。
そのようなさまざまな背景を背負ってサラ・アッタールは800メートルを懸命に走った。
そして観客は大きな拍手を送った。

そう考えてみると、NHKの解説はあまりに情けないといわねばならないだろう。


◆2011年夏 北アルプスシリーズ 23 槍ヶ岳から三俣蓮華岳

ヨツバシオガマ 2011.7.30撮影
双六岳のふもとにある双六小屋の周辺。小屋の周りは人間の排出物の影響で栄養豊富なのだろか。さまざまな高山植物が大きくたくさん生育している。黄色はミヤマアキノキリンソウ(コガネギクとも)だが、異常に背丈が伸びている(したがってまちがっているかもしれない)。

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