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2023年5月12日金曜日

岸田政権 異次元の大軍拡 ②狂気の敵基地攻撃能力保有

敵基地攻撃能力の保有については、ずいぶん以前から論議されている。

自衛隊の前身である保安隊の時代から検討されていたらしいが、1956年の鳩山一郎首相の次の答弁が有名だ。
わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。— 1956年の鳩山一郎首相答弁(船田中防衛庁長官代読)
Wikipediaから転載)
この答弁では、敵基地攻撃能力の保有は「敵からの攻撃を防御するのに他に手段がない限り、法理的には自衛の範囲に含まれ可能」と言っている。

この論理には、敵基地攻撃能力保有は、①他に手段がない場合、②法理的に可能、という2段階の歯止めがかかっている。

「他に手段がない場合」については、日米安保条約によって米軍という矛があることと、国際連合による集団安全保障という2つの手段があるので敵基地攻撃能力は保有できないということを示唆している。
また、「法理的には可能」ということは、現実的には不可能ということだ。

このような政府見解を覆そうとしたのが、中国や北朝鮮の脅威をさかんに煽ってきた安倍晋三であり、さらにはロシアのウクライナ侵略を奇貨として、岸田政権が敵基地攻撃能力を反撃能力と言い換えて現実の保有に踏み出した。

私には彼らの頭が正常に働いているのか大いに疑問に思う。

まずスタンドオフミサイルだ。
次の記事にあるように、政府はすでに2018年から敵基地攻撃能力を保有すると言っている。
赤旗 2021.2.23付
スタンドオフミサイルとは「敵の射程圏外から攻撃できる長距離巡航ミサイル」というわけだが、敵である中国や北朝鮮、ロシアはすでに日本全土を射程圏内に攻撃できるミサイルを保有している(北朝鮮のロケットは2度日本列島の上を通過している)。

敵の射程圏外というのはいったいどこなんだろう。
ハワイのあたりだろうか。
いや、この3国はみな大陸間弾道ミサイル(ICBM)を持っているわけだから、射程圏外なんてどこにもないんだ。
赤旗 2023.4.30付
次に敵が発射する兆候を日本がつかんだら、敵が発射する前にわが方が先に敵基地を攻撃するという。
冒頭の鳩山一郎の答弁を引用して、このような攻撃は自衛(つまり専守防衛)であって先制攻撃には当たらないらしい。
赤旗 2023.3.12付

不可解だ。
敵がミサイルを日本に向けて発射する兆候をどのようにしてつかむのだろう。
そのようなことが可能なのだろうか。
どの国だって、ミサイルの発射基地が1カ所しかないということなんてありえない。
特に中国のような広大な国では何カ所あるか想像もできない。

しかも、北朝鮮のニュース映像でよく見られるように、ミサイルは車両や列車などの移動発射台からも発射される。
潜水艦からも発射できる。

敵のミサイル発射を事前に正確につかむなんて、アメリカだって不可能ではないのか。
「正確につかむ」ということが最重要であり、その情報がまちがっていたらまさに無法な先制攻撃になる(まちがっていなくても先制攻撃でしょ)。

さらに不可解なのは、発射の兆候をつかむのは日本(またはアメリカ)だけが可能なのか。
日本にできることは中国やロシアも当然できるだろう(北朝鮮はどうかな)。
だとしたら、中国が日本がわが国(中国)を狙ってミサイルを発射しようとしていると判断すれば、中国は日本のミサイル基地を先に攻撃しても中国からすれば自衛のための攻撃だと言うだろう。

じっさい、敵基地攻撃能力を実動させようと思えば、ミサイルはいつも敵基地を狙って、いつでも発射できる準備を整えておかなければ意味がない。
敵が発射の準備を始めたら、発射する前にこちらが発射するわけだから、敵から見れば、こちらの方が先に発射の準備をしていたことになる。

つまり、日本の論理に従えば、日本が敵基地攻撃能力を保有し実動の準備をした段階で、敵はすぐに日本への攻撃を開始してもよいことになる。

敵基地攻撃が自衛の範囲だなどという論は最初から破綻しているではないか。

不可解なことはまだある。
いったい日本の敵基地攻撃能力は中国の同能力と比較してどうなのか。
圧倒的に中国の方が上だろう。
ミサイルの撃ち合いになったら日本の国土は壊滅状態になることは火を見るより明らかだ。
このような単純なことがなぜわからないのだろうか。

いや、わかっているからこそ継戦能力だなどとさらに狂気の軍拡をめざす。

今岸田政権が行おうとしている大軍拡の道は、はっきりと日本滅亡の道だといえる。
なんと愚かなことだろう。


◆ 傘みくじ◆
2018.8.15撮影 萩市の松陰神社にて
山口県萩市にある松陰神社には変わったおみくじがある。傘みくじといって、傘を開いて運気を開きましょうということらしい。境内のそこら中の松の木に傘の花が咲いている。

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