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2022年2月5日土曜日

岸田首相の公約「新自由主義からの転換」は何だったのか

岸田文雄 2021.9.3

自民党の総裁選からはや4カ月。

政権党とはいえ、そしてその総裁が自動的に日本の総理大臣になるしくみとはいえ、あくまで一政党の党首選である。

それが電波ジャックともいえるような状況で毎日毎日総裁選を垂れ流すテレビ報道の中で、最も注目を引いたのが岸田の「新自由主義からの転換」発言だった。

2年前に拙ブログ「『自助・共助・公助』と言い続ける管首相の無知蒙昧」で、世界は新自由主義からの転換をめざしているのに、相変わらず管首相は「自助・共助・公助、そして絆」などとトンチンカンなことを言っていると書いた。

しかし、ここにきてついに日本でも「新自由主義からの転換」と言い出す党首候補(実質首相候補)が現れた!?

本当かいな、とにわかには信じがたかった。

まあその後の経過を見ると、信じる方が悪いのよ、ということになる。

具体的な施策のひとつとして、金融所得課税を見直し、「1億円の壁を打破」とまで豪語していた岸田だったが、総裁になった途端、その公約は雲散霧消した。

「1億円の壁」とは、年間所得が1億円を超えると所得税負担率が下がっていくという累進課税に逆行する現象(自然現象ではない)で、共産党の大門実紀史議員が2008年に初めて国会で独自グラフを示して質問したものだ。
赤旗 2012.3.16付
以来、政府などでもこのグラフは公認されてさまざまなところで利用されてきた(大門はこのグラフの特許は申請していない😀)。

もちろん私もかつてブログで使わせてもらった。

この大門実紀史が赤旗日曜版2022年1月30日号で、日本経済の現状をとてもわかりやすく解説してくれた。

そこで、今回もいつものように思い切った転載を行う。

*以下の転載において、本文の改行等は変更し、グラフ図の色や文字は、内容においては100%転載元と同じだが、スキャンがきれいにできないので、90%以上筆者が独自に上書きさせてもらった。

――ここから転載(赤旗日曜版2022年1月30日号から)

賃上げと社会保障が日本救う
「やさしく強い経済へ」 日本共産党の提案 

日本共産党が提案している「やさしく強い経済」とはどういうことなのか。
弱肉強食の新自由主義と対決し、小泉・竹中「構造改革」や「アぺノミクス」を鋭く追及してきた大門みきし参院議員に聞きました。
矢守一英記者

人より大企業の“自由” 弱肉強食の新自由主義

志位和夫委員長が党旗びらき(1月4日)で、「新自由主義を転換して『やさしく強い経済』をつくろう」と呼びかけました。

「やさしく強い経済」とは、ひとことで言うと「やさしい経済は強い経済」だということです。
逆に言うと「冷たい経済は弱い経済」だということです。

「新自由主義」の「自由」とは人間の自由ではなく、大企業がもうける「自由」です。
大企業がもうかればいいんだ、弱肉強食でなんでも自己責任、強いものが勝てばいいんだ―という経済です。
まさに人に冷たい経済です。

それよりも、人を大事にして、人にやさしい経済のほうが結局は経済成長もするし、パンデミック(感染症の世界的流行)や災害にも強い経済になるということです。

大企業のもうけのため雇用と社会保障壊した

2001年に発足した小泉政権のもとで、竹中平蔵金融・経済財政担当相(当時)が中心で進めた小泉・竹中「構造改革」が、日本における新自由主義経済の本格的な始まりになりました。

この小泉・竹中「構造改革」の柱の一つは雇用破壊です。
大企業のもうけを最大化するために賃金を抑えようとしたのです。

そのために労働者派遣法を改悪して非正規雇用をどんどん増やしました。
これによって低賃金構造がつくられ、この結果、正社員の賃金も低く抑え込まれました。

もう一つは社会保障の削減路線です。
これも大企業のもうけにかかわります。

企業は労働者の社会保険料の半分を負担しています。

社会保険料は社会保障費と連動するしくみになっているので、社会保障費が膨らむと企業の社会保険料負担が膨らみます。

それを減らせというのが経団連の最大の要求です。
自分たちの負担を減らすために「社会保障を削れ」と言っているのです。

これを受けて、小泉・竹中「構造改革」では、高齢化などに伴って増える「社会保障の自然増」を毎年2千億円以上ぶった切るという、乱暴な社会保障削減路線に踏み込みました。
「社会保障の自然増」の削減はいまだに続けられています。

アぺノミクス金融政策 大富豪の資産を3倍化

12年末からの安倍政権による「アベノミクス」の「第一の失」は金融政策でした。

金融機関が持っている国債を日銀に大量に買わせて、代わりに世の中にお金を流す政策です。
それを株式市場につぎ込ませて株価を引き上げました。
株価が上がって大企業の利益が膨らみ、大株主の利益も膨らみました。

この結果、格差が拡大し、富がごく一部のところにかたまりました。

資本金10億円以上の大企業の内部留保は20年度末には469兆円で、12年度末と比べて130兆円以上増えました。
大富豪の資産は12年の6.1兆円から20年の21兆円に3倍以上に増えました。

他方で実質賃金は下がり、この20年で所得200万円以下の「働く貧困層」が倍増しました。

「一部が富を独占」ではなく 世の中全体にお金が回れば経済も成長

賃上げで将来不安解消 格差拡大の悪循環断つ

「大幅賃上げで希望持てる社会を」とアピールする人たち
13日、東京都千代田区
富が経済全体に行きわたるのではなく、一部のところに独占されている状態です。
一部大企業は大もうけをしているが、経済会体にはお金が回っていません。
そのために不況と低成長から脱しきれないという状況が続いているわけです。

格差が広がって富が一部にかたまっている、経済会体にお金が回らない、そのために経済も成長できない―。
そんな悪循環になっています。

だから、賃金を上げ、社会保障を立て直して将来不安をなくしていくようにすれば、結果的にお金が世の中全体に回って経済も成長していきます。
そういう方向こそが強い経済をつくります。
社会保障を立て直して医療や保健体制を拡充すれば、パンデミックや災害にも備えられる強い経済になります。
この方向に転換していくというのが「やさしく強い経済」の提案です。

米大統領も底上げへ転換

岸田文雄首相は、自民党総裁選で「新自由主義からの転換を」と口にしました。
しかし、金融所得課税の見直しを含めてすべて腰砕けになり、アリバイ的に賃上げ税制をやると言っています。

賃上げした企業の法人税を減税する賃上げ税制は、安倍政権が13年度に導入したものです。
しかし、多くの中小企業が赤字で法人税を払えないなか、ほとんど効果がなかった政策です。
実際に、安倍政権のもとで実質賃金は年間20万円以上減りました。

人に冷たい経済政策を大もとから変える必要があります。

アメリカのバイデン政権は、人に冷たい経済では経済全体も国民の暮らしも良くならないということで、方向転換をしようとしています。

バイデン大統領は「トリクルダウン理論(大企業・富裕層が富を増やせば、やがて低所得層にも波及するという新自由主義の主張)は、一度も機能したことがない。底辺を引き上げ、中間層を起点に経済を成長させるときだ」と言っています。
そして、大企業と富裕層の課税を強化して、そのお金で社会保障を立て直し、暮らしに回す政策に踏み出しています。

政権交代を

ところが、日本では相変わらず大企業と富裕層を優遇する減税を続け、社会保障は医療でも介護でも負担増のメニューが並んでいます。
これではいつまでたっても経済は良くなりません。

「やさしく強い経済」への転換を図るには政治を大もとから変えなければなりません。
これは政権交代を実現しなければできないことです。
そのためには、夏の参院選で改憲勢力の3分の2獲得を許さず、さらに自公とその補完勢力を少数に追い込み、政権交代への足掛かりをつくることが必要です。


転載ここまで――

共産党の有名な議員といえば、志位委員長をはじめ、小池書記局長、田村智子副委員長などであろうが、他の議員だってみんな立派な仕事をしている。

今回のテーマでいえば、たまたま2月1日の衆議院本会議で田村貴昭が共産党を代表して質問をしていて、その質問内容が赤旗に要旨として載っていた。
なんと限られた時間の中で的確な質問をしているのだろうと感心してしまう。

志位和夫や小池晃の代表質問であれば、赤旗の1面トップに概要が載り、2年から3面にかけて論戦のハイライトが載り、さらに他の面に質問全文が載ったりするのだが、その他大勢(というか小勢というか)の議員の場合は質問要旨といった形でこぢんまりと扱われてしまう。

まして一般紙においては無視されるか、わずか数行の紹介にとどまる。

ちょっと悔しいので、この田村貴昭の代表質問もこのさい転載する。
なおYouTubeでは約18分の質問がすべて視聴できる。

赤旗 2022.2.3付

◆ ミサゴ(タカ目ミサゴ科ミサゴ属) ◆

ミサゴ 2016.8.24撮影 自宅マンション駐車場
自宅マンション駐車場の監視カメラの上にとまっていた最初トビかなと思っていたが、よく調べてみたらミサゴだった。Wikipediaではミサゴ科になっているが、図鑑によってはタカ科に分類されている。タカ目では一致しているので、タカの遠い親戚といったところだろうか。2Vという赤い標識が足についている。どこかの研究所が調査しているのだろうか。一応準絶滅危惧種になっている。

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