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2013年7月7日日曜日

生活保護改悪法案廃案 民主党の果たした役割

生活保護改悪法案が廃案になった。
狐につままれたような気がする。

衆議院の厚生労働委員会(5/31)では、共産党の高橋千鶴子とみどりの風の阿部知子の2人だけが反対しただけで、みんなでよってたかって悪法を可決した。

「人間の血が流れているのか」 生活保護法改悪案を閣議決定

衆議院の本会議(6/4)では、生活の党も賛成し、翼賛体制的に国を挙げて弱い者いじめを強行した。

赤旗は厚労委が採決をした5/31前後からしきりに「廃案へ」と書いていたし、志位委員長も5/30の記者会見で「最後まで廃案をめざして奮闘したい」と述べ、5/31の可決後の議員面会所前に抗議行動のため集まっている人たちの前で次のようなあいさつをしている。

「窓口で申請者をはね返す『水際作戦』を合法化する改悪を断じて許すことはできません。参院でのたたかいで、最後まで廃案をめざしてがんばりぬきます」

衆議院本会議(6/4)で本改悪法案はどのように可決されたのか。

――以下引用(赤旗6/6付)
生活保護改悪法案・衆院可決
国会包む“6党ノー”の声

 「申請を窓口で断念させる水際作戦は今も行われている。改正案は廃案にせよ」―5日、衆院で可決された生活保護法改悪案の廃案を求める誓願デモが国会を包みました。4日に自民、公明、民主、維新、みんな、生活の6党が、生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法案を賛成多数で可決、参院に送ったことに対して、厳しい「ノー」の声を突き付けました。

 衆院で6党は、無所属を除いても95%を超えており、憲法25条が定める生存権を壊す重大な法改定をまともな審議もなく多数で強行しました。

 改悪案は、生活保護の申請に当たって証明書類などの提出を義務付け、保護開始の要件ではない扶養義務の履行を強いるなど、申請の抑え込みを可能にする内容。本来なら「重要広範議案」として、まず本会議で質問を行ってから委員会質疑に入るなど、十分な時間を取って徹底審議を行うべきものでした。

 ところが、本会議質疑は行われず、委員会での質疑はたったの2日。委員会で反対討論をしたのは日本共産党だけ、衆院本会議では賛否の討論も行われませんでした。

 この重大な改悪について与党も民主なども「運用は変わらない」といって法律を改定しても問題はないかのように唱和し、世論が大きく広がるのを恐れてさっさと押し通したというのが実際です。

 それもそのはず、自民党が「生活保護費が増大し、財政を圧迫している」と攻撃するなど申請から締め出すのがねらいだからです。

 民主党は、「貧困に苦しむ方の声なき声を代弁します」(山井和則衆院議員)といいながら、書類提出について「特別の事情」を加えるという根幹を変えないただし書きが加えられると、さっさと賛成に回りました。

 生活保護問題に取り組む市民団体や弁護士らは5日、「水際作戦」の生々しい実態を告発し、改悪法案の廃案を求めました。日本共産党は「たたかいはこれから。参院で廃案めざして頑張ろう」(志位和夫委員長)と呼び掛けています。

引用ここまで――

赤旗や志位委員長がいくら「参院で廃案に」と叫んだところで無理な話、と私は思っていた。
ねじれ国会であろうが、無所属の一部を除いて共産党以外はすべて改悪案に賛成なのだ。
どんなことがあろうと廃案など不可能。

ところが、6/26、この生活保護改悪法案は廃案になったのだ!
そのからくりはけっこうややこしかった。

発端は衆議院選挙における一票の格差を是正するための0増5減区割り法案だ。

この区割り法案が衆院で可決し参院に送られたのだが、参院では60日以内に採決ができなかった。
民主党が野党らしさを示したかったのか、参議院議長が民主党の平田健二であることをいいことに、審議・採決をサボタージュしたわけだ。

けっきょく法案は「みなし否決」ということで衆議院にもどされ、3分の2以上の賛成で再可決された。
自公にとっては参院で否決されても衆院で再可決すればよいということだったので、60日以内に採決されなかったことはどうでもいいことなのだ。
自公と民主は共同で参院での審議をさぼったということではないか。

ところが自公は、法案が参院で60日以内に採決されなかったということで、平田健二参議院議長に対して不信任決議案を提出した(6/21)。
そしてみずから出したこの不信任決議案を理由にして、自公は安倍首相出席の参院予算委員会集中審議を拒否する。
さらに政府も自公といっしょになって答弁を拒否して審議を欠席という憲法違反(63条)をやらかす。

赤旗はこの自公と政府の予算委員会審議拒否は、アベノミクスの破たんがあらわになるなかで参院選を前に国会で追及されるのを避けるためだといっている。

参院予算委員会の石井一委員長(これも民主党)は「予算委員会を愚弄し、憲法の精神に反する」と政府与党を批判し、民主党以外の野党からは「問責に値する」との意見が相次ぐ(6/25)。

ところが、6/25午後(6/26が会期末)、民主党は首相問責決議案は提出せず、予算委員会の開会も求めないと表明。
問責決議案が可決されたら、参院厚生労働委員会を開くことができず、生活保護改悪法案が廃案になってしまうからだ。

民主党は、「閣法を最優先」といって、生活保護改悪法案などを通すために、憲法蹂躙の安倍内閣をただす予算委員会の集中審議を求めないし、首相問責決議案も出さないと表明したのだ!(問責決議案は生活、みどり、社民の3党が提出)

なんという政党だろう。
どこまで腐っていくのだろう。

この民主党の態度表明によって、翌日会期末で生活保護改悪法案は採決・可決する見通しとなり、赤旗でさえ「生活保護法改悪案採決へ」(6/26付)という見出しをつけた。

一縷の望みであった廃案可能性も吹っ飛び、やっぱりねという感じ。
ところが翌日(6/27)の赤旗をみると「生活保護改悪案は廃案」と見出しにあるではないか。

いったいどういうことだろうと次の記事を読んだ。

――ここから引用(赤旗6.27付)

生活保護改悪案は廃案
首相問責を可決

 首相問責決議は参院本会議で賛成125票、反対105票の賛成多数で可決され、日本共産党は賛成しました。

 野党が提出した問責決議の提案理由では、安倍晋三首相の参院予算委員会への出席拒否は、国会への出席義務を定めた「憲法63条に違反する許しがたい暴挙」と批判。「憲法に違反して国民主権をないがしろにし、立憲主義を踏みにじろうとする責任は極めて重大」と指摘しています。

 民主党は25日、「閣法を最優先する」として生活保護改悪法案などの成立最優先を表明しましたが、問責に賛成に回りました。問責可決の結果、参院厚生労働委委員会は開かれず、同法案は廃案となりました。

 自民、公明両党が予算委員会をつぶすために提出していた平田健二参院議長の不信任案は、日本共産党など野党の反対128票で否決されました。

 田村憲久厚生労働相は26日、廃案になった生活保護法改悪案について、今秋に想定される臨時国会にも法案を再提出する考えを示しました。省内で記者団の質問に答えました。

引用ここまで――

はっきりいってよくわからない。
民主党は前日に問責を出さないと表明したが、生活など3党が提出した。
赤旗も含めてメディアは民主党はその問責に反対するか棄権をし、問責が否決されたあと生活保護改悪案を含めた閣法が成立する、とよんだのだろうか。

ところが、民主党は土壇場になって世論の反発を恐れて、または参院選での損得を考えて問責に賛成した。
このような理解でいいのだろうか。

海江田万里は首相問責決議案の可決によって生活保護改悪法案が廃案になったことについて、
「参院選で『野党が法案をつぶした』とアピールしたいがための行動であり、強い怒りと憤りを覚える」と述べた。
あいかわらずわけのわからない大ボケだ。

細野豪志幹事長は「国民生活にかかわる重要法案をどうしても通したいと、問責決議案の提出者に加わらず、法案を通したあとに(問責決議案を)採決すべきだと最後まで主張したが、無視して問責決議があげられた」と未練を述べた。
もう民主党の存在価値などこの地球上のどこにもない。

赤旗には生活保護改悪案が廃案になったことについて次のような記事も載っている。

――ここから引用(赤旗6/27付)

廃案は運動の成果 参加者ら

 国会会期最終日の26日、全国生活と健康を守る会連合会(全生連・安形義弘会長)などは国会に駆けつけ、生活保護制度を改悪する2法案が廃案になったのを見届けました。

 参院本会議で安倍首相の問責決議案が賛成多数で可決。同2法案の廃案が決まると、参加者から拍手がわき起こりました。

 中央社保協を代表して保団連の住江憲勇会長が「民主党が大きく後退し、共産党が議席を伸ばした都議選の結果が国会の情勢を変えました」と指摘。その上で、「生活保護関連法案を廃案に追い込んだのは、奮闘して運動してきた結果です」と評価しました。

 全生連の辻清二副会長は「生活保護利用者をはじめ連日、廃案を求めて国会周辺で抗議した成果です」と喜びました。

 「生活保護法改悪法案は、もともと民主党が与党時代に民自公の3党合意で決まったもの。民主党議員は2法案の成立を望んでいました」と批判したのは、全労連の井上久事務局次長です。「参院選で審判を下そう」と話しました。

 安倍首相の問責決議案可決後、日本共産党の田村智子参院議員が駆けつけ、あいさつ。「生活保護制度や就労支援のあり方を参院選の争点にしてたたかいたい」と述べました。

引用ここまで――

関係者の方々のご苦労には敬意を表してあまりある。
「廃案は運動の成果」と単純には言えないとしても、民主党が最後の最後で問責に賛成した背景には都議選の結果や国民の反対運動があったからというのは否定できないかもしれない。

参議院選挙が終わるとまたぞろこの生活保護改悪法案は国会に出てくるだろう。
命をおびやかす弱い者いじめの悪法を許さないためには共産党を伸ばすのが一番だ。
参院選の結果に期待しているし応援もしている。


◆ アカカタバミ(カタバミ科カタバミ属) ◆
アカカタバミ 2013.5.6撮影
普通のカタバミに比べて葉が赤っぽい。もっと赤くなればまちがいなくアカカタバミだといえるのだが、このカタバミの葉は赤みが弱い。ウスアカカタバミというのもあるみたいで、ちょっと自信がなくなる。アカカタバミは以前にも載せたが、今回はその実が目立つ写真なので再度登場した。この実が成熟すると、触っただけでパチンとはぜて実が飛び出る。

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