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2013年2月5日火曜日

桑田真澄「駄目なものは駄目で論理はいらない」

桜宮高校体罰自殺事件と女子柔道監督園田事件とで体罰についての意見がかまびすしい(私もその一人かな)。
ニュースなどで有識者の発言やスポーツ界のえらい人の言うことなどを聞いていて、いらいらしてしまう。
ほとんどが「体罰はいけないが、やむを得ないときもあるのでは」「私も受けてきたし…」「難しい問題ですね」「ルールを作るべきでしょう」などといったいいかげんなものばかり。
前日のサンデーモーニングでも全員のコメンテーターが同じようなことをいっていた。

今ネットを見ていたら、毎日新聞の鳥越俊太郎の記事が目に入った。
記事は橋下市長を批判するものだが、私がいらつくのはその中ほどで彼が次のように述べていることだ。

 さて、今回の桜宮高校の入試中止事件。きっかけとなったバスケットボール部顧問による自殺した主将生徒への激しい体罰は、報道で見る限り、これは体罰の域を超え暴力行為ですね。
 体罰については指導のあり方の問題としてきっちりと議論をし、改善すべきところは改めなければなりません。

鳥越も多くの人がいっているまちがいの典型を述べている。
1回ビンタをはるぐらいなら域を超えていない体罰で許されるのか。
体罰については指導のあり方の問題云々などとなんと馬鹿げたことをいうのだろう。
橋下もちょっと前まで同じことを言っていた。

体罰は暴力であり犯罪なのだ。
訴えられれば刑事罰が待っていることは自明ではないか。

大阪市の体罰自殺事件で思うこと」でも書いたのだが、学校教育法第11条に「体罰を加えることはできない」と書いてあるのはなぜか。
その体罰は、正座させるとか立たせるといった一般的に暴力とはいえないような行為(刑事事件にはできない?)を指しているのであって、ビンタするとか殴る蹴るは学校教育法で禁ずるまでもなく、刑法で禁じられていることだ。

体罰についての議論の余地はないのだ。
子どもに手を出すっていうのはどんな理由があっても暴力であり犯罪だ。
そのうえでさらに正座させるとか立たせるといったことまで体罰として学校教育法で禁じているのだ。

さすが赤旗は「体罰は暴力」という視点で一貫した報道をしている。

元巨人の桑田真澄が2/2に大阪市で教師らを相手に講演をした。
その講演後の会見で彼は次のように述べた。

体罰を受けるのも見るのもいや。駄目なものは駄目で、論理はいらない。

2万パーセント桑田に賛成。

ついでに書いておく。

今晩のテレビニュースで女子柔道の園田事件の続報をしていた。
園田の上司(全柔連の偉いさん)2人が責任を取り辞任するのだ。
辞任は当然だが、園田のために責任を取らされるといった態度が見え見えで不快だ。
いさぎよく辞任する我々は立派だろうみたいな印象さえ受ける。

選手と監督の信頼関係とか、行き違いとか、まるで責任の一端は選手にもあるといわんばかりの発言も不愉快極まる。

同じニュースで、誰だったか偉い人が「柔道だけでなく、日本のスポーツの危機ですね」と言った。
笑うしかない。

強くなるためには体罰あたりまえという日本伝統の指導方針が危機に陥っているだけだ。
喜ばしいことではないか。

◆ 南イタリアシリーズ⑨ ブーゲンビリア(オシロイバナ科ブーゲンビリア属) ◆
ブーゲンビリア 2012.12.29撮影 タオルミーナ
思いのほか暖かかった南イタリアだが、シチリアはことのほか暖かい。ブーゲンビリアなど暖かさの象徴みたいだ。下に見える黄色い花はどう見てもツワブキだ。

 追記(2013.2.7)  

本文で最後に書いた「誰だったか偉い人」は下村文科相だった。
7時のニュースで見た時は認識していたはずだが、6時間もたたないうちに思い出せない。
自分のぼけ具合にイヤになってしまう。

~文部科学大臣メッセージ~
スポーツ指導における暴力根絶へ向けて


 日本のスポーツの良さは、チームワークであり、自他共栄の心です。どんな時にも切磋琢磨し合いながらお互いを尊重して助け合い、励まし合いつつ、共に高め合うのがその姿です。
しかし、今般、柔道女子日本代表チームをはじめ、スポーツ指導において暴力を行使する事案が明るみに出ました。

 こうしたことはあってはならないことであり、大変遺憾であります。
私は、今般の事態を日本のスポーツ史上最大の危機と捉えています。選手一人たりとも見捨てることなく、全ての選手がその志を全うすることができる環境をスポーツ界の皆様とともに作ることこそが焦眉の急と考え、国民の皆様、全てのスポーツ関係者・選手に向けてメッセージを送ります。

そもそもスポーツは、スポーツ基本法にうたわれているとおり、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神の涵養などのために行われるものであり、世界共通の人類の文化であって、暴力とは相いれません。

 オリンピック憲章においても、スポーツにおけるいかなる形の暴力も否定されており、コーチや選手によるフェアプレーと非暴力の精神の尊重が定められています。

私は、こうした問題が選手の立場に立って速やかに解決できるよう、「スポーツ指導から暴力を一掃する」という基本原則に立ち戻り、スポーツ界を挙げて取り組む必要があると考えます。
このため、柔道のみならず他の競技種目も含めて実態を調査し、スポーツ指導の名の下に暴力を見過ごしてこなかったか、改めて現実を直視すべきです。
その上で、スポーツ指導者に対し暴力根絶の指導を徹底するとともに、スポーツ指導者が暴力によるのではなく、コーチング技術やスポーツ医・科学に立脚して後進をしっかり指導できる能力を体得していくために、スポーツ指導者の養成・研修の在り方を改善することが大切だと考えます。
また、各競技団体に、相談・通報窓口の設置等ガバナンス・コンプライアンスの確立を進めることも求められます。

 さらに、問題が生じたときでも、選手が練習に専念して自己の能力を最大限伸ばす環境を確保できるよう、中立的な第三者が相談を受けることのできる仕組みを整えることが重要です。
このような様々な仕組みをスポーツ界一丸となって早急に整えることで、《新しい時代にふさわしいスポーツの指導法》が確立されるよう、全力を尽くす所存です。

こうした改革と併せて、スポーツ指導者一人一人が、その大切な使命と重責を改めて十分自覚し、率先してスポーツにおける暴力の根絶に努めていただきたいと考えます。
日本人らしい信頼と絆で結ばれる真の『強いスポーツ』をつくるために、いかなる形の暴力も許さないという覚悟の下、国民の皆様、スポーツに関わる全ての皆様一人一人の御協力をお願い申し上げます。


平成2525日文部科学大臣
下村 博文

このメッセージじたいに特に異論はない。
むしろ応援したいぐらいだ。

だとしたら、とりあえず文科相に言いたいことは、次の2点である。

 ●中学校の体育における武道必修をやめること。
 ●文部科学省が胴元になっているサッカーくじをやめること。

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