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2021年2月1日月曜日

コロナ禍での医療逼迫という地獄のような危機が迫っていても公的病院統廃合を進めようとする自公政権のワヤクチャ

2019年9月26日、厚生労働省は全国の公立・公的病院の分析対象の3割に当たる424病院を「統合再編の議論が必要」だとして実名を公表した。
*424病院の実名はこちら
赤旗 2019.12.8付

これに先立つ2014年6月、超高齢社会にも耐えうる医療提供体制を構築するとかで、「医療介護総合確保推進法」という法律ができ、政府は各都道府県に「地域医療構想」というものをつくらせた。
要するに、社会保障費削減のために病床を減らせということだ。
目標は2025年までに達成ということになっているのだが、その進展が遅いため、政府がしびれを切らして全国424病院を名指しして早く統廃合を進めろと都道府県に圧力をかけたわけ。

赤旗 2019.9.28付
コロナがやってくる5カ月前ぐらいの話だが、それでも地域医療を必死に守ってきた各自治体は猛反発した。

対象数の一番多い新潟県は全体の半数を超えている。
右表を見てわかるように、対象となった割合が多い県はほとんどが「医師少数県」であり、医師不足に苦しんでいる。
さらに施設まで減らせというわけだ。

中曽根内閣以来の新自由主義により、公立・民間ともに病床総数は減り続けている。
診療報酬総額の連続削減や、公立病院の統廃合促進策を推し進めてきたからだ。
公立では、2017年までの10年間で21000床も削減された。
病院数は1割の94病院が減っている。

2018年度の厚労省による全国調査では、産婦人科や産科のある一般病院の施設数は28年連続の減少。
小児科のある一般病院は25年連続で減少。

「子どもたちを産み、育てやすい日本へ」などと安倍は豪語してきたが、やろうとしていることは真逆だ。

冒頭に記載した図には、北海道の十勝地方がオレンジで示されているが、赤旗の記事には次のように書かれている。

ここから引用(赤旗 2019.12.8付 抜粋)――

町長「とんでもない」

本別町国民健康保険病院=本別町役場のサイトから
厚労省が、「再編統合の議論が必要」だとした病院が最も多い都道府県は、54病院の北海道です。

道東の十勝地方は、中心都市である帯広市の周辺6町の公立・公的病院が、すべて再編統合議論の対象とされました。
その中のひとつ、本別町国民健康保険病院は町唯一の病院です。
病院がなくなれば、自動車で1時間かかる中心都市の帯広市に通う必要が迫られます。
吹雪など悪天候の場合、さらに時間を要し、命にもかかわります。

 町の努力を無視

高橋正夫町長は「統廃合なんてありえない」と断言します。
同病院の救急搬送受け入れ数は、帯広市を除く周辺市町の病院の中で最多(2017年報告で年300件)。
町民にとって「なくてはならない病院」(町長)であるとともに、特に自家用車がない高齢者は帯広市まで通院するのが大変だからです。

高橋町長は語ります。
「公立病院は過疎地での医療や、救急、小児、災害などの『不採算部門』を担うのが役割です。
だから自治体は、身を削って病院経営や医師の確保に必死になっているのに、それを無視して個別の病院の役割や、しばれる(とても寒い)地理的条件も考えず実名公表したのは、とんでもないことです。
安心して暮らせる地域づくりこそが『地方再生』です」

引用ここまで――

新型コロナなど想像だにしなかった時点ではあったが、「地域医療の崩壊につながる」などとして全国知事会、全国市町会、全国町村会は連名で「全国一律の基準により推進することは適切ではなく、地域住民の不信を招いている」とする意見書を提出するなどして、総反発した。

年があけて2020年になり、日本で最初のコロナ感染が判明したのが1月15日、感染者多数を乗せたクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号が横浜港に帰港したのが2月3日。

このようなタイミングの中で、1月17日、厚労省は昨年9月公表した「424病院リスト」について、データの入力漏れなどあったなどとして、訂正版440施設を発表(増えた!)。

つまり、全国自治体の猛反対は一顧だにされていないということだ。

その後の新型コロナの感染拡大はほぼ次のようだ。

このグラフを見ると、安倍が2月28日に出した全国学校一斉休校要請は何だったのかと思ってしまうが、このことはここではこれ以上触れない(くわしくはここの東京新聞WEB参照)。

感染拡大第1波が始まった4月の最初にはすでに医療逼迫の状況が現実になってきている。

4月3日、赤旗は「医療崩壊阻止のため緊急に病床確保の財政的保障を」と志位委員長が記者会見した記事と、「5都府県 医療体制切迫」「医療現場 瀬戸際」「集中治療 脆弱 人口比ICU 伊の半分以下」という見出しの記事と合わせて、医療危機に関する計4本の記事を載せている。
「医療の現場 瀬戸際」という記事のなかには、日本医師会が「医療危機的状況宣言」を発表したとある。
赤旗 2020.4.3付
橋下が右のようなツイッターを投稿した時期と重なる。
すでに昨年の4月頃から医療崩壊は現実の問題になっていたのだ。

その後、感染拡大は2回ほど下火になったときがあり、その間政府が打つ手はいくらでもあっただろうに、その無為無策、逆行ぶりはどうだろう。

今年になって、入院を拒否した感染者を刑事罰にするとか、コロナ病床を増やさなかった病院名を公表するとか言っているが、入院できず在宅死が続発している現状において、バカを言うなといいたい。

どうしても罰を与えたいなら、病院統廃合を推進してきた歴代自民党政権と感染拡大を招いたGoTo事業の推進者を罰してからにしろ! と毎日叫んでいる。

話しがまたちょっとずれてしまった。

昨年のコロナ感染第1のピーク時から医療体制の脆弱性が指摘され、医療崩壊が起こったときの地獄はすでにイタリアなどで事例で見聞きしているはずなのに、政府はそれでも都道府県に「地域医療構想」の計画(病床削減計画)を予定通り9月末までに出すよう迫っている。

考えられるだろうか。
コロナ治療の最前線で、医療従事者が極限状態の中で自らの命を削りながら国民の命を守るために奮闘しているさなか、国がそれらの病院を統廃合し、病床を減らせと迫る異常。

6月5日、さすがに加藤厚労相は記者会見で9月末までの「地域医療構想」結論取りまとめの先送りを容認する考えを示した。
それでも「容認する考えを示した」にとどまるところが自民党らしいというか、無能を通り越した酷薄非情なところだ。

さらに、8月24日の社会保障審議会医療部会において、あくまで病床削減は「着実に進める」とし、そのために予算配分などで“集中支援”する重点区域を新たに決めてまで統廃合を加速させようとしている。

日本医療労働組合連合会の鎌倉幸孝副委員長は次のように語っている。

「感染症対策を言いながら病床削減を着々と進めるのはおかしい。
コロナ危機で削減路線の誤りが露呈した以上、再編統合の病院リストを白紙撤回し、地域医療構想を抜本見直しすべきです」(赤旗 2020.9.13付から)

11月に入って、今までにない大きな感染拡大の第3のピークが始まり、医療危機はさらに増し、医療崩壊も事実として起こり始めた頃、赤旗に次のような記事が載った。
赤旗 2020.11.26付
①地域医療構想は着実に進めていく。
②延期した検討期限は「スピード感を意識」して再設定する。
③21年度から消費税財源を充てて、病床削減の財政支援を行う。

本当に自公政権の国民無視、「自助・共助・公助」の新自由主義路線は徹底している。
しかも「病床削減の財政支援のために消費税財源を充てる」!?

消費税は社会保障の充実のために使うのではなかったのか。
もうメチャクチャだ。

最後にローカル(岐阜県)な話題。

――ここから引用(赤旗 2021.1.18付から)

新型コロナウイルスの感染拡大による病床ひっ迫が迫っているなか、岐阜県で医療崩壊のリスクを高めるような稼働病床削減を進める動きがありました。
同県では、県知事選挙(24日投票)の真っ最中。
日本共産党の中川ゆう子県議に手記を寄せてもらいました。

住民の“命綱”奪う 稼働病床の削減反対

昨年暮れの岐阜県議会に稼働病床を1割以上削減した医療機関に給付される病床削減支援給付金7250万円の予算が突如出されました。

この予算は全額国費で、全国では84億円がつけられました。
稼働率が高い病床ほど給付単価も高く設定され、地域住民にとって命綱になっている病床を奪うものです。

 唯一反対し討論

この予算の背景には、自公政権が長年進めてきた医療費の抑制策の一環である病床削減が盛り込まれた地域医療構想があります。
岐阜県では病院の統廃合や手厚い高度急性期や急性期病床を削減し、2025年末までに病床全体で3000超床を削減する計画が進められています。

これによって中津川市坂下地域では地域で唯一の入院できる病院だった国保坂下病院が多くの住民の反対の声がありながら縮小され、入院は今までより余計に時間がかかることになりました。

新型コロナ感染症のパンデミック(世界的な流行)を経験し、岐阜県では県独自に「医療危機事態宣言」を出す状況に直面しています。
これまで進めてきた医療体制のあり方が改めて問われているのに、それを教訓にせず病床削減を推進する姿勢は理解できません。

12月20日の県議会で私は「医療機関に病床削減を迫るのではなく、住民の命を守る医療を実現するために税金を使うべきだ」と主張しました。
ところが、討論に立ったのも反対したのも私だけで、自民、公明両党など他の議員は何も言わず可決されてしまいました。

「いいね」続々 ツイッター反響

この討論や予算の問題点をインターネットの短文投稿サイトのツイッターに投稿したところ、16日時点で1034件を超す「リツイート」(拡散)、1957件の「いいね」が寄せられ「医療の余裕は無駄ではない」「もっと知らせたい」というたくさんの声をいただきました。

 初の女性知事を

議会のなかだけで政治の行方を決めさせず、議会の外の皆さんと大きな世論を力に、医療の切り捨てではなく充実に舵を切る政治が実現するようこれからも全力を尽くしたいです。

憲政史上初の女性県知事候補である、いながき豊子(新日本婦人の会県本部会長)は、県民の立場でモノを言わない岐阜県や議会に対し、議会の中と外で力を合わせ要求実現のために運動してきた方々のお一人です。
こんなに力強いことはありません。

どこに住んでいても安心して医療が受けられることが当たり前であるよう、大型公共事業やイベント優先の県政や国政を変えないと命は守れないことを、県民の皆さんとともに訴えています。

引用ここまで――

ちなみに岐阜県議会の構成を調べてみると、

 県政自民クラブ 32人
 県民クラブ 6人
 岐阜県議会公明党 2人
 日本共産党 1人
 無所属 5人

となっている。

なお、1月24日投票の岐阜県知事選挙の結果は次の通り。

 ▽古田肇、無所属・現。当選。38万8563票。
 ▽江崎禎英、無所属・新。31万9188票。
 ▽稲垣豊子、無所属・新。4万9928票
 ▽新田雄司、無所属・新。3万2316票。

国も地方も権力を握る奴らの無能さによって国民の命が脅かされている。
といっても、彼らを選挙で選んでいるのは私たち国民一人一人の一票なんだよな。


 五島列島シリーズ㊶  ◆ キョウジョシギ(チドリ目シギ科)◆

キョウジョシギ 2018.5.12撮影 宇久島
図鑑で調べてキョウジョシギと特定した。まちがいないと思う。よく目立つまだら模様を京都の女性の着物にたとえて命名されたとWikipediaにある。1羽だけ別の鳥が紛れ込んでいるが、これはキアシシギと思われる。

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