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2019年3月15日金曜日

3・1朝鮮独立運動100年 ④「日韓共同宣言」と「日韓基本条約」(日韓請求権協定)

1998.10.8 小渕首相と金大中大統領
このシリーズの①で紹介した赤旗3/1付の「主張」は冒頭次のように書かれている。

「三・一独立運動は激しい弾圧を受けましたが、45年の日本の敗戦による朝鮮の解放、65年の日韓国交正常化を経て、98年に金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相が発表した「日韓パートナーシップ宣言」で三・一独立運動が示した展望は実現へ大きな一歩を踏み出しました。
植民地支配に対する「痛切な反省と心からのお詫(わ)び」を日韓の公式共同文書として初めて明記するとともに、「和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させる」ことを約束したのです。
日本が歴史の過ちを直視した上で、友好と協力を深めようと合意したという点で、真の「未来志向的な関係」に向かう出発点に立った画期的な共同宣言でした」

「日韓パートナーシップ宣言」というのは「日韓共同宣言」のことで、こちらの方が通りが良いのではないだろうか。

この宣言は外務省のHPで全文が読める。
全11項目になる長文なものだが、赤旗が述べているその理念というか核心は第2項に集約されている。

日韓共同宣言 第2項
両首脳は、日韓両国が21世紀の確固たる善隣友好協力関係を構築していくためには、両国が過去を直視し相互理解と信頼に基づいた関係を発展させていくことが重要であることにつき意見の一致をみた。
小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた
金大中大統領は、かかる小渕総理大臣の歴史認識の表明を真摯に受けとめ、これを評価すると同時に、両国が過去の不幸な歴史を乗り越えて和解と善隣友好協力に基づいた未来志向的な関係を発展させるためにお互いに努力することが時代の要請である旨表明した。
また、両首脳は、両国国民、特に若い世代が歴史への認識を深めることが重要であることについて見解を共有し、そのために多くの関心と努力が払われる必要がある旨強調した

日本の首相が、過去の植民地支配によって韓国国民に多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びを述べ、さらに特に若い世代が歴史への認識を深めることが重要であるとし、そのために多くの関心と努力を払う必要があると述べている。
赤旗 2019.1.13付

わずか20年前の宣言だ。

昨年来の韓国徴用工問題をめぐる日本政府の発言やメディアの報道を見ていると、この宣言を安倍政権もメディアも忘れ去ったのだろうかと訝しむ。

そして、1965年、つまり50年以上も前に締結した日韓基本条約(日韓請求権協定)を大上段に振りかざして、賠償問題は解決済み、韓国はけしからん、はては国際司法裁判所へ訴えるなどと居丈高に官民あげて韓国を非難する。

これに対し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が「日本こそ歴史を直視する謙虚な姿勢を示さなければならない」と述べた。

この当然な主張に対しても日本政府は「事実を事実として見ない」「責任を日本側に転嫁しようというものだ」などと無反省で傲慢な態度だ。

たとえ、日韓基本条約(日韓請求権協定)で賠償問題は決着がついているとしても、日本のこのような態度は人として許されるものだろうか。

刑期を終えた殺人犯に対して遺族がさらに謝罪を求めたとき、加害者がもう決着はついたとしてこのような傲慢な態度をとれるものだろうか。

まして日本政府は「個人の請求権を国内法的な意味で消滅させたものではない」と1991年に柳井俊二条約局長が国会で答弁している。
最近では昨年の11月に河野外相が「個人の請求権が消滅したわけではない」と国会答弁があり、日韓議連会長の額賀(自民党)も「個人の請求権は消滅していない」と文大統領との会談で述べている。

さらにいえば、日韓基本条約(日韓請求権協定など)は1965年の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領(軍事独裁政権)と佐藤栄作首相の間で締結したものだ。
韓国では35年にもわたる日本による植民地支配につづき、アメリカの占領統治、そして朝鮮戦争と国民は苦難の連続であり、経済は疲弊し、独立後も軍事独裁政権が長くつづくという状況。
いっぽう、日本の敗戦後の経済的苦難は朝鮮戦争の特需景気で息を吹き返し、高度経済成長のまっただ中。

そのような時代背景があって、韓国が経済再生を最優先するために日本の経済援助を受けるために結んだという側面の強い日韓基本条約だ。
朴正煕に韓国国民が植民地支配下で受けた傷を癒やそうという発想があったのかどうか。

この件については日本共産党の志位委員長がちょっとくわしく「徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について」という見解を述べているので参照していただきたい。

「3・1朝鮮独立運動100年」ということで、この機会に日本国民が、とりわけ日本会議の連中やネトウヨ、安倍政権が「歴史の過ち直視し未来志向へ」という赤旗の主張通り、たとえば従軍慰安婦の強制連行に日本軍が関与していたことを認め、日本政府として心からのおわびと反省の気持ちを示した河野談話」とか、植民地支配と侵略によりアジア諸国に多大の損害と苦痛を与えたことを認め、痛切な反省と心からのおわびを表明した村山談話」などを再読して欲しい。


 佐渡ドンデン山シリーズ⑰  ◆ トキ(ペリカン目トキ科トキ属)◆

トキ 2017.10.1撮影
佐渡といえばトキ。一時は絶滅したトキも、今では自然下でも300羽ほどに回復したらしい。佐渡島内には230羽近くいるということだが、残念ながらお目にかかれず、佐渡トキ保護センターで観察することにした。

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