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2013年5月23日木曜日

琉球新報が橋下徹を糾弾する見事さ

橋下徹の「慰安婦は必要だった」発言からはじまった一連の騒動により、彼らの正体が一般人にもやっと理解されてきたようで、その意味では喜ばしいことだ。

先日宮武嶺のブログ「橋下氏が沖縄米軍に性欲発散のため買春を勧めた事を論証する 橋下市長は公職を辞任・維新は解党すべきだ」を読んでいて、そのコメント欄に、「この社説は見事にまとめられています。ぜひ、このページでも大きく取り上げてください」とあるのに気づいた。
貼り付いているアドレスをクリックすると、琉球新報のサイトが開かれ、5/18付の社説が掲載されていた。

一読して驚いた。
たしかに見事なまでに橋下徹を徹底批判している。

米軍基地問題を筆頭に、沖縄と本土との住民意識の間には悪意はないにしても埋めがたい大きな溝がある。
それは沖縄の新聞を見れば(読まなくても見れば)一目瞭然、とよく見聞きしてきた。
しかし、一度も沖縄の新聞を読んだことがなかった私は、今回初めて琉球新報の社説を読んで、う~ん、なるほどとうなってしまった。


琉球新報 5/18 社説
橋下氏釈明 認識の根本が誤っている

 沖縄の米軍に風俗業の活用を勧める発言の釈明として、橋下徹大阪市長は「国際感覚が足りなかった」と述べた。だが、彼に何より足りなかったのは人権感覚だ。人間認識の根本的な誤りに気付いていないのが問題なのだ。

 橋下氏は「米国の風俗文化の認識が足りなかった」と述べた。風俗文化の知識の多少が問題だったという認識なのか。あきれてものが言えない。

 さらに、「風俗」が売春を意味するか否かなど、どうでもいいことに問題をすり替えようとしているが、問題は別にある。「海兵隊の猛者の性的エネルギーをコントロール」するはけ口として、生身の女性をあてがおうとする発想そのものがおぞましいのだ。

 「あてがわれる」立場に自分が置かれたら、と想像してみるがいい。橋下氏は、そんな最低限の想像力も持ち合わせていないのだろうか。その欠如は許し難い。

 「慰安婦制度が必要なのは誰だって分かる」と述べたが、「分かる」はずがない。周りを自分と同じだと思われては迷惑だ。

 しかも彼は、自らの沖縄への差別的まなざしにも気付いていない。在沖米軍に言うからには、あてがう場所は沖縄が前提だろう。そのような施設を、自らの足元の大阪市にも置けるのか。

 橋下氏の持論はそもそもの前提が間違っている。風俗活用発言は米兵の事件抑止が狙いのようだ。強姦犯は性衝動に突き動かされて犯罪をするという発想が前提にあり、風俗の活用がその処方箋になると考えているのは明らかだ。

 では彼は、風俗がなければ性暴力が発生するというのか。典型的な「強姦神話」であり、前世紀の遺物的発想そのものだ。強姦犯は、衝動どころか用意周到に場所と機会を選んでいる卑劣漢だというのはもはや常識だ。そんな常識と正反対のジェンダー意識を持つ人物が21世紀の今、行政のトップ、公党の代表であることが信じ難い。

 橋下氏は、女性をモノ扱いしただけでなく、「強姦神話」を前提にすることで、男性をも愚民視しているのだ。

 橋下氏は、発言の背景として「それくらいのことを言わなければいけないくらい、沖縄の状態は鬼気迫るものがあるということ」と述べた。いったい誰が頼んだというのか。沖縄にこと寄せて、さも沖縄の代弁者であるかのように装うのはやめてもらいたい。

(引用ここまで)

それでは他の新聞の社説はどうなっているのかが気になり、わかる範囲で調べてみた。

全国紙が軒並み権力にすり寄ってジャーナリズムの体をなしていないといわれるなかで、地方紙ががんばっていると聞く。
沖縄もそうだが、東京新聞の評判がいい。
そこで東京新聞の5/16付社説を読んでみたが、ありきたりの批判であり、琉球新報の次元のちがうはげしさがますますきわだってくる。

朝日新聞は「橋下市長―これが政治家の発言か」という社説が5/15付にあるのだが、有料会員にならなければ本文が読めない。
しけている。
と思ったら無料会員の登録ができるようになっていたので、登録して読ませてもらった。
「橋下氏の一連の発言は、元慰安婦たちの傷口に塩を塗るばかりでなく、いまを生きる女性たち、さらには米兵をも侮辱するものだ」と書いてある。
米兵までおもんばかることはないのにと思う。

毎日新聞はフリーで全文が読めた。
「稲田朋美行政改革担当相は『慰安婦制度はたいへんな女性の人権に対する侵害だ』と指摘した」という一節があり、ここで稲田朋美が登場する意図は何なのかと首をかしげた。

朝日にしても毎日にしても橋下をしっかり批判していることは認めざるをえないだろう。
それほど今回の橋下発言はひどかったということだ。

わが地方の中国新聞はとさがしてみたが、どうも社説で取り上げたようすがない。

赤旗も5/19付で主張に書いているが、琉球新報を読んだあとでは赤旗も青くなりそう。


◆ マツバウンラン(ゴマノハグサ科ウンラン属) ◆
マツバウンラン 2013.5.5撮影
葉が松葉に似て、花がウンランに似ているということだが、ウンランという花を見たことがない。夏の花みたいなので、ぜひこれから見てみたい。ところで、このマツバウンランは葉だけでなく姿も松葉のようにすっと細く伸びている。写真もピントが合わせにくく、今までいいのが撮れなかった。だから上の写真がいいとも思えないのだが、まあ一生懸命撮ったものだ。ところが、知り合いから携帯の写メが送られてきて、花の名前を教えてほしいという。開くと下のようなきれいなマツバウンランだった。何気なく撮ったものと思われるが、センスのちがいがでるんだなと感心してしまった。
2013.5.10撮影(携帯)



 日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、旧日本軍の慰安婦は「必要だった」と述べたことは女性の人権を否定する暴言だ。政党代表としての認識欠如と責任を厳しく問わねばならない。

 橋下氏は戦時中には軍の規律を維持し、兵士たちに休息を与える慰安婦制度は必要だったという見解を示した。こういう主張だ。

 従軍慰安婦制度は各国にあったが、日本だけが非難される。慰安婦を集めるのに、日本が国家として暴行、脅迫して拉致したという証拠は見つかっていない。韓国などの宣伝により、欧米社会では「日本はレイプ国家」のように見られている-。

 戦時中ならどこでも起きたことだ、と抗弁するが、米国で奴隷制度を当時の基準なら正しかったと言うのと同じではないか。国連の諸会議では女性に対する性暴力の根絶を目指す動きが活発で、国際社会から強い反発を招くだろう。

 話はさらに脱線した。沖縄で米軍司令官と会い、「海兵隊の性欲をコントロールするために、風俗業を活用した方がよい」とまで発言した。

 太平洋戦争末期、沖縄には日本兵のための慰安所が置かれ、日本人や朝鮮人女性が集められた。沖縄は戦後も朝鮮戦争、ベトナム戦争の出撃基地になった。今も米兵による性被害は続く。

 橋下氏の発言は過去の戦争を反省して平和を構築する、被害者の苦しみを受け止め語り継ぐという普遍的な価値観に完全に逆行するものだ。沖縄が置かれた現実に無神経であり、軍隊の暴力性にも関心がないようにみえる。

 日本政府は一九九三年、当時の河野洋平官房長官の談話で、従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与を認めて、謝罪し反省を表明した。慰安所は中国から東南アジアまで広範囲に存在し、旧軍が管理や慰安婦らの移送に関与したことは国内外の証言で確認されている。

 日本は民間募金と政府も出資した「アジア女性基金」をつくり、元慰安婦への謝罪と償いに取り組んだ。韓国とはまだ議論が続いているという事実を、国際社会に対し地道に説明する必要があろう。

 政府、自民党からは橋下発言への批判が相次いだが、党内では慰安婦制度への旧軍の関与を否定する声がある。韓国、中国との関係修復のためにも、安倍晋三首相は閣僚や党幹部に対し、歴史認識も含めて慎重な発言を徹底させるべきだ。


朝日新聞 5/15 社説
橋下市長―これが政治家の発言か



 橋下徹大阪市長が、戦時中の旧日本軍の慰安婦について「必要なのは誰だってわかる」と語った。

 橋下氏はさらに、沖縄県の米軍普天間飛行場の司令官と会談した際に、合法的な範囲内で風俗業を活用してほしいと進言したとみずから明かした。

 発言に批判が広がると、今度は「貧困から風俗業で働かざるを得ないという女性はほぼ皆無。皆自由意思だ。だから積極活用すればいい」などとネット上で繰り返した。

 こんな強弁が、通用するはずはない。

 橋下氏の理屈はこうだ。

 命がけで戦う兵士を休息させ、軍の規律を維持するには慰安婦は必要で、世界各国の軍にも慰安婦制度があった。それなのに日本だけが非難され、不当に侮辱されている。それは国をあげて強制的に女性を拉致したと誤解されているからだ――。

 だが、いま日本が慰安婦問題で批判されているのは、そこが原因なのではない。

 慰安所の設置や管理に軍の関与を認め、「おわびと反省」を表明した河野談話を何とか見直したいという国会議員の言動がいつまでも続くからだ。

 戦場での「性」には、きれいごとで割り切れない部分があるのも確かだ。だからこそ当時の状況は詳しくわからないし、文書の証拠も残されていない。

 それでも、多くの女性が自由を奪われ、尊厳を踏みにじられたことは、元慰安婦たちの数々の証言から否定しようがない。

 橋下氏は「意に反して慰安婦になった方には配慮しなければいけない」とも語っている。

 ただ、橋下氏の一連の発言は、元慰安婦たちの傷口に塩を塗るばかりでなく、いまを生きる女性たち、さらには米兵をも侮辱するものだ。

 「風俗業を活用したら」と言われた米国から、「我々のポリシーや価値観からかけ離れている」(米国防総省の報道担当者)といった強い反応が出てくるのは当たり前だ。

 橋下氏とともに日本維新の会の共同代表を務める石原慎太郎氏は「軍と売春はつきもので、歴史の原理みたいなもの」と橋下氏をかばった。

 維新の会幹事長の松井一郎大阪府知事も「そういう問題を建前でなく、本音で解決するために言ったと理解している」と話した。

 この党には、橋下氏をいさめる政治家はいないのか。百歩譲って本音で解決するためというのなら、何をどう解決するのか示してほしい。 


毎日新聞 5/15 社説
橋下氏の発言 国際社会に通用しない

 あぜんとする言動である。日本維新の会共同代表を務める橋下徹大阪市長が旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦制度について「必要だった」と発言した。

 橋下氏は沖縄の在日米軍についても司令官に「(米軍は)風俗業を活用してほしい」と提案した。野党実力者の不適切発言は対外的に日本政治への不信を招き、国そのもののイメージすら損ないかねない。

 「精神的に高ぶっている集団に休息させてあげようと思ったら慰安婦制度が必要なことは誰でも分かる」「日本軍だけでなく、いろんな軍で慰安婦制度を活用していた」。橋下氏はこう、主張している。

 まず、慰安婦制度を「必要」とまで言い切る感覚には明らかに問題がある。橋下氏発言に関連し稲田朋美行政改革担当相は「慰安婦制度はたいへんな女性の人権に対する侵害だ」と指摘した。橋下氏の認識は女性の人権への配慮を欠いている。

 また、橋下氏はかねて慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野洋平官房長官の談話を批判しており、今回もその延長線上にあるようだ。慰安婦についてさまざまな議論があることは事実だ。だが「多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた」と河野談話が記すように、他軍を引き合いに正当化されるものではあるまい。

 紛争下での性犯罪を重視する流れが強まり、防止策が議論されているのが現在の国際的な潮流でもある。橋下氏のような認識は国際的にも受け入れられないだろう。

 「風俗」発言も問題が大きい。米国防総省担当者が「ばかげている」と取り合わなかったと報じられているのも当然だ。

 95年、米兵による女児暴行事件をめぐり米太平洋軍司令官は「(犯行に使った)車を借りるカネで売春婦を買えた」と語り辞任に追い込まれ、沖縄県民の怒りの火に油を注いだ。こうした経緯をどこまで踏まえた発言だったのか。こんな言動が続くようでは政治家としての資質すら問われよう。

 安倍晋三首相の歴史認識をめぐる疑念が米国で強まっている。「河野談話」見直しに菅義偉官房長官が慎重姿勢を示すのも不用意な対応が日本の外交力を損ないかねないとの警戒からだろう。橋下氏の「慰安婦」発言を維新の会の石原慎太郎共同代表も擁護した。両氏の発言はこうした配慮を台無しにしかねない。

 歴史認識をめぐっては自民党の高市早苗政調会長の発言も波紋を広げている。発言が結果的に外交力を低下させ、国益を損なう悪循環を生みかねないことを与野党の政治家は強く心得るべきだ。


赤旗 5/19 主張
橋下氏「慰安婦」発言
 「必要だった」は撤回してない



「日本維新の会」の共同代表で大阪市長でもある橋下徹氏の、日本軍「慰安婦」は「必要だった」という発言への批判が広がり続けています。橋下氏や「維新の会」は言い訳に懸命ですが、橋下氏は「必要だった」との主張を撤回していません。それどころか、自分が批判されるのは「日本人の読解力不足」が原因だと開き直り、日本だけが批判されるのは強制的に連行したと思われているからだと、「強制連行の誤解を解く」と言い出しています。「慰安婦は必要だった」という考えを変えない以上、「誤解を解く」などといってもそれは不可能です。

 国際的には「性奴隷」
 日本軍「慰安婦」問題は、国連などの報告では「戦時性奴隷」と呼ぶのが常識になりつつあるもので、女性の人権を徹底的に破壊し、人間の尊厳そのものを冒涜(ぼうとく)する国際的な戦争犯罪です。その「慰安婦」が「必要だった」という橋下氏の発言は、公人の発言とは思えない異常なもので、橋下氏に市長や政党代表としての資格はもちろん、人間としての姿勢が問われているのは当然です。

 現に国内外の女性団体だけでなく、ほとんどのマスメディアや侵略戦争問題では見解を異にすると見られる与野党の政治家でさえ橋下氏の発言を批判しています。アメリカ国務省の報道官は「常軌を逸しており侮辱的」と異例の調子で非難しました。「維新の会」では橋下氏の発言に関連して、西村真悟衆院議員が韓国人女性を侮辱する発言をして除名や議員辞職を求められる事態になっているのに、橋下代表の責任が問題になっていないのも異常です。

 橋下氏と「維新の会」は、「慰安婦は必要だった」という発言を取り消すのではなく、戦争中に軍隊が「慰安婦」を利用するのは世界中でやったことで、日本だけが批判されるのは強制連行したという「誤解」があるためだと主張しています。まったく通用しない態度です。第2次世界大戦で軍が組織的にこうした制度を作ったのは日本とドイツだけです。現地の軍が「慰安所」のような施設を作った例がないわけではありませんが、それらは短期間に政府や軍が中止させており、軍の中枢が計画し推進した「慰安婦」は他に例を見ないというのが研究者の結論です。

 日本の場合とくに軍が方針を立てて「慰安所」を設置し、植民地や占領地から女性を集めて「慰安婦」制度を推進したことが明らかになっています。軍や官憲が関わり、女性を連行し、「慰安所」に閉じ込めて日本兵による強姦(ごうかん)や売春を行わせればそれこそ強制そのものです。強制を「誤解」だというのは「慰安婦」は「必要だった」といいはるためのごまかしです。

 安倍首相の立場問われる
 もともと日本軍「慰安婦」問題で政府や軍部の「関与」を認めた1993年の「河野洋平官房長官談話」に対し、「強制連行の証拠はない」などと言い出したのは自民党内のタカ派で鳴らした安倍晋三現首相らです。安倍氏は第1次政権時代に「強制」をあいまいにする政府答弁書まで決め、橋下氏の「誤解」発言はこれが根拠になっています。

 安倍首相は橋下氏の発言に対しては「立場が異なる」というだけです。侵略戦争を美化する発言を重ねてきたことからも首相の立場がきびしく問われるのは当然です。

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