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2013年3月7日木曜日

兵庫県小野市 恥知らずな生活保護「監視」条例案

赤旗3/2付では

「兵庫県小野市(蓬莱務市長)は、生活保護世帯や児童扶養手当を受けている1人親家庭が、『不正に受給していないか』『ギャンブルでお金を使いすぎていないか』、市民に通報させる「監視条例」案を市議会に上程しました。『市民を犯罪者扱いする条例』『怖いまちや』と批判の声が上がっています」

という記事が載った(末尾にテキスト引用)

保護費の使い方に干渉、通報を市民の責務、警察OBを使って調査と、本当におぞましい案だ。
次のような市民の声が紹介されている。

「職場で『小野市は怖いまちや』『人権無視やいじめ、差別をまちごと奨励しているんやな』と口々に話していました。全国に小野市が、いじめ・差別を増長するまちと宣言する内容で恥ずかしい」

ふつうの市民感覚だと思う。
良識ある市民によって選ばれた議員たちが、よもやこのような恥知らずな条例案を可決するとは思われないが。

警察OBを雇う金があるならば、困っている人のために使えと言いたい。

今日の赤旗「読者の広場」には84才の女性の声が載っていた。

「生活保護バッシングは今に始まったわけではありません。不正をしていなくても買い物の中身を探られ、老婦が他市に住む貧しい息子夫婦に寝巻きを買ってやれば、国民の税金が不当に使われているとか、店屋物をとって食事をしている、化粧して外出していると。生活保護者は一滴の酒も飲めないのですか。(後略)」

なお兵庫県民である宮武嶺がさっそくブログ

生活保護受給者等のパチンコギャンブル禁止監視条例 生存権の行使さえ肩身が狭い社会では誰も生きられない

でくわしく批判している。

◆ モズ(スズメ目モズ科モズ属) ◆
モズ 2013.2.20撮影
顔がよそを向いているのが残念。いい姿の写真はピンぼけなので使えない。



 兵庫県小野市(蓬莱務市長)は、生活保護世帯や児童扶養手当を受けている一人親家庭が、「不正に受給していないか」「ギャンブルでお金を使いすぎていないか」、市民に通報させる「監視」条例案を市議会に提出しました。「市民を犯罪者扱いする条例」「怖いまちや」と批判の声が上がっています。(仁田桃)

“パチンコ浪費 見かけたら知らせよ” “犯罪者扱い”批判の声

 提出された福祉給付制度適正化条例案は、不正受給をしたり、生活が維持できなくなるほどパチンコ、競輪、競馬に使いはたすことを禁止しています。「市民の責務」として受給者の浪費が常習化しているところを見かけたら、市への情報提供を要請。「疑わしい事実」があると市長が判断した場合、警察OBなどでつくる予定の「福祉給付制度適正化推進員」が調査します。

 日本共産党の藤原章市議によると、不正受給は大きな問題になっていないのに、2月20日の議会運営委員会で突然、提案されたといいます。

 「市民の生活に関わる議案としては性急です。最大の問題は、市民にお互いを監視させ、通報の責務を課すところです。廃案・撤回を求めていきます」と話します。

 藤原市議のもとには、「職場で『小野市は怖いまちや』『人権無視やいじめ、差別をまちごと奨励しているんやな』と口々に話していました。全国に小野市が、いじめ・差別を増長するまちと宣言する内容で恥ずかしい」という声が寄せられています。

 同市には2月28日までに、全国から88件の問い合わせがありました。松野和彦市民福祉部長は本紙の取材に「この間の報道にあるような『監視』や『差別』は想定外の反応です」と答えました。また、「市として実際にパチンコ等に頻繁に行く利用者は把握していない」としています。

 兵庫県社会保障推進協議会神戸市協議会の森口眞良議長は「生活保護の利用者などを犯罪者扱いするような条例案です。利用者への偏見・蔑視が前提にあります。いまの生活保護全体を悪者にする風潮に乗ったもの」と批判します。16日、同市市民会館内の「コミュニティセンターおの」で緊急学習集会が開かれます。

 憲法の精神に反する
全国公的扶助研究会会長 花園大学教授 吉永 純

 条例が成立すれば、監視の対象は無限に広がってしまいます。江戸時代の五人組の発想で、地域でお互いを見張らせる仕組みです。
 憲法25条で保障されている生存権を行使するのに、周りから監視されるようなものです。
 貧困となった人が福祉事務所に相談に行けなくなり、結果的に生活保護の利用を抑制することになりかねません。憲法25条の精神に反する条例案です。
 福祉利用者への差別、偏見に満ちたものといわざるを得ません。
 そもそも、生活保護費の使い方は制度の趣旨に反しない限り、個人の自由です。そうはいっても、生活が成り立たなくなるほどパチンコなどをしては困ります。中には、パチンコやギャンブルなどの依存症の人もいるでしょう。
 こうしたケースこそ、ケースワーカーの役割が発揮されるところです。ケースワーカーが寄り添い、支援しながら適切な治療を継続することが必要です。
 生活保護利用者に自立を促すことを目的とするのであれば、ケースワーカーの増員こそすべきです。

 改悪の流れに悪乗り
全国生活と健康を守る会副会長 辻 清二

 小野市は条例案の市議会提出について、「不正受給防止のための、全国的にも例のないとりくみ」といっているようですが、国の生活保護削減の流れに悪乗りした一つの典型だといえます。
 パチンコや競輪などの遊戯、遊興などに浪費するのを防ぐといいますが、本来そうした生活上の問題があれば、ケースワーカーが親身に援助するべき性格の問題です。
 生活保護法の第1条では、最低生活の保障と自立の助長をうたっています。自立とは、病気や障害などで生活保護を利用していても生き生きと生活できるように支援するという趣旨です。
 今のように1人のケーワーカーが100人も担当するような貧困な体制ではなく、抜本的に増員して、きめ細かく支援するのが本来のあり方です。それをせず行政的に脅しているといわざるを得ません。
 市民に通報を求め、警察官OBが調査するのも大問題です。保護行政が警察行政に変質していく恐れがあります。警察官OBがケースワーカーに対しても仕事ぶりを監視することにならざるを得ないでしょう。


 追記 2013.3.30 

昨日の赤旗を見ると、まことに信じがたいことだが、この小野市の恥ずべき条例案は本会議で可決されている。
このような愚かな人(議員)たちが多数を占める小野市は、日本中の良識ある人々からさげすまれることだろう。
赤旗2013.3.29付

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